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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード5『炎上マーケティングの始まり』

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エピソード5-6

2017年1月19日付:加筆調整
 午前10時50分、谷塚駅に到着した人物がいた。
それは、以外にもアイオワである。私服姿なのはインナースーツを持参しなかった事が理由の一つ。
それに加えて、別件の用事もあった為かアスリート思わせるようなジャージを着用していた。
この姿でいると、周囲の反応はインナースーツの時とは大きく異なる。
何故かと言うと、アガートラームを使用して乱入した際の出来事が脳裏に焼き付いている為と言うのが有力だろう。
「なるほどね――」
 電車を降りた後、ARゲームのセンターモニターを発見し、それを見ていたのだが――相手プレイヤーの動きに違和感を感じていた。
その機動力は、どう考えても通常の3倍と言うレベルではない。下手をすれば、スピードにプレイヤーの方が耐えられないほどだ。
アイオワに関してはデカリボンの人物をチェックする事はなかった。とある疑惑がネット上に拡散していた、有名コスプレイヤーらしいが――。
「あの速度を再現できるようなARガジェットは存在しない。それに、時速50キロクラスのスピードは、レースゲームでも安全上の理由で出せないと言うのに」
 アイオワの指摘に対し、周囲のギャラリーもざわつき始める。偶然通りかかった通行人もざわついていたので、それほどの衝撃があるのだろうか?
何か悪い事を言ってしまったのか――と考えたが、そうではないらしい。正論だと判断しているユーザーが多いようだ。
「確かに、パワードミュージックの最大速度は20キロと聞く。それを踏まえれば、50キロと言う速度はプレイヤーが耐えられるはずもない!」
「インナースーツやアーマーの耐久力は――」
「それは、どう考えてもおかしい。戦艦並の装甲と言うのは――架空設定の話じゃないのか?」
 モブの会話は、どう考えても架空設定と現実設定が混ざってしまい、メタ発言と化してしまっている印象だ。
それをアイオワがまともに受け入れるとは考えられず、途中でその場を去ってしまう。
モブの方もアイオワが去った事には気づいていないようだ。それに加え、アイオワが最初からいなかったかのように感じる人間もいるほどである。
【あの動画――何かがおかしい】
【あのスピードを出せるようなARガジェットは現段階でも開発されておらず、ロケテストも行われていないという話だ】
【まさか、チートなのか?】
【さすがにチートでも、時速50キロとか100キロのスピードを出せるシステムはないだろう】
【それが自動運転自動車にでも搭載されたら、一歩間違えると大事故につながる】
 つぶやきサイトでも、あの動画に関するつぶやきが拡散しており、大方の予想ではチートと言う事らしい。
実際、あれだけの速度が出せるシステムが実装された場合、大事故に繋がると言う話もある。
「あれだけのスピードが出せるガジェットが小型化すれば、スポーツ競技大会等で新記録ラッシュとなるだろう」
 提督服の男性ガーディアンの一人がつぶやくのだが、その発言に反応する気配はない。
おそらく、動画の方に集中していて気づかないと言う可能性が高いだろう。


 午前10時55分、アンテナショップに到着した西雲響にしぐも・ひびきが直面した物、それは――。
『何だ、このゲームは? これがリズムゲームなのか』
 西雲が入って早々に見えたのは、軽装アーマーを装着し、サポートメカと思わしき小型ロボットを使用しているプレイヤーの姿である。
衣装の形状や体格からして女性プレイヤーだろう。西雲は彼女の体格を見て、自分の目を疑った。
『小柄の女性でも、あれだけの動きが出来るのか? まるで、ARサバゲの上級者並だ』
 サポートメカで的確に白いプレートを撃ち抜き、ARバイザーに出てくる方向マークの指示に従って動く姿は、ARサバゲにおける上級者プレイヤーに匹敵すると――。
その他にも、ARサバゲやARFPSで有力プレイヤーがかすむようなスーパープレイを披露する人物もいる。
本当にリズムゲームなのか――と西雲は疑う。その疑い方は相当なものであり、まるでリズムゲームを色眼鏡で見ているようでもあった。
『同じARゲームのプレイヤーとは到底思えない』
 他のプレイヤーを見ると、大男の様な体格の人物やプロレスラーを思わせるような人物もいる。
体格等はゲームをプレイする際には関係ないのだが、ARゲームではそうも言ってられない。
実際、ジャンルによっては体格によっては不利な状況になるとも言われているからだ。
ソースはネット上ではなく、ARゲームのアンテナショップだが。
「ゲームのエントリーですか?」
 受付に到着した西雲は、受付のスタッフに声をかける。すると、この反応が返ってきたのだ。
しかし、西雲はゲームのアカウントも持っていないので事情を説明し、アカウントの取得方法を尋ねる。


 午前11時5分、アカウント習得に手間取った西雲はレースのエントリーにも遅れていた。
【エントリー受付を確認しました。午前11時20分のラウンドでプレイ可能です――】
 ARバイザーにはエントリー受付のメッセージと共にプレイ可能の時間が表示されていた。
プレイ可能になるのは午前11時20分、フィールドは3と指定されているのだが――フィールドの場所を西雲は把握できていない。
「お客様、パワードミュージックは持ち込みのガジェットではプレイできません。こちらを使用して――」
 フィールドの場所を表示している案内所へ向かおうとした西雲に呼びかけたのは、先ほどの受付スタッフである。
どうやら、手持ちのARガジェットでは使用不可能らしい。手持ちのガジェットと言うと、別のARゲームで使用している物だろう。
『特にチート疑惑のあるガジェットではない。それでも、専用ガジェットが必要なのか?』
「パワードミュージックの場合、他機種のARガジェットでは使用できない場合もありまして――」
『その為の専用ガジェットと言う事か』
「そう理解していただければ――と。ここではレンタルも可能ですので、今回のプレイだけはレンタル、次回以降は新規で購入もできます」
 今のタイミングでじっくりガジェットを選んでいる時間もないので、今回だけはレンタルスペースへと向かい、そこでロングソードタイプの物をレンタルする。
その形状は通常の武器格闘で使用するような物ではなく、リズムゲームのコントローラを思わせるデザインをしている。
おそらく、これが他機種のガジェットが使用不可能と言う理由かもしれない。
リズムゲームでは、専用コントローラが多いという話も聞く。どんなゲームでも、慣れる事は必要なのだが――。


 午前11時10分、谷塚駅から姿を見せたのは、先ほどまで竹ノ塚にいた大和朱音やまと・あかねである。
「周囲が慌ただしいのは――」
 大和は電車から駅に降りた際、何かの違和感を持っていた。
それは、何かの襲撃者に狙われているのではないか――と思わせるようなオーラが漂っていた事。
それに付け加えて、ネット炎上させてアフィリエイト稼ぎでも考えている炎上サイトの管理人もいるような気配さえある。
しかし、実際には襲撃者やネット炎上とは無関係である事は、アンテナショップへ向かっている途中で判明する事になるのだが――。
それでも大和は一連の襲撃者事件の一件もあり、警戒を解除するような事はなかったと言う。
【危険なチート技術が流通している可能性があるらしい】
【これがARゲームで拡散すれば――】
【ARゲームが、さすがにスポーツの世界大会で採用される可能性はないと思うが――】
 大和はタブレット端末でつぶやきサイトのタイムラインを見ていたが、その際は立ち止っている状態でチェックしている。
歩きスマホ等が様々な分野で問題視され、ARゲームではゲームフィールド外でのARガジェットのシステムフル使用を禁止していた。
フル使用とは、ARゲームフィールドでゲームをプレイしているのと同じ状態を差す。
それがどのような仕様なのかは――運営側も把握していないらしい。
なお、これが分かっている人物はごく少数だが、大和さえも詳細を掴んでいないようにも――。
「アカシックレコードは万能ではない。それは分かっている。だが――」
 大和は眉間を手で抑えながら考える。
様々なコンテンツが超有名アイドルのかませ犬である――というアフィリエイトまとめに誘導するメッセージも見かけたが、大和は見向きもしなかった。
それ程に、今回の一件はこれから起こるであろう大きな事件の前触れに過ぎないと――そう大和は思っていたのである。
「企業機密や守秘義務さえもネタバレという言葉に言い換え、更にはそれを拡散してネット炎上を行う勢力は許す訳にはいかない。しかし――」
 大和は、今回のネタバレを巡るネット炎上が過去の戦国時代に匹敵するような大きな戦になると一時的には考えていた。
しかし、そうしたネット上の混乱を起こす事が敵勢力の狙いだとしたら?
ネタバレの解禁と共に企業機密などを入手し、それを特許申請して横取りを狙う転売屋等だったら――。
様々な思いはありつつも、大和は本来向かうはずだったARゲーム運営へは向かわず、パワードミュージックのアンテナショップへと向かう事にする。
「ARゲームを巡るネット炎上を警戒し、ライバル登録が可能なゲームでも特に友人関係であるような間柄でない限りは、相互ライバル登録はしないという」
 大和はARゲームで単独プレイをするプレイヤーが多い事に関して、ある懸念を持っていた。
対戦格闘などでもライバルと言う存在は、自分を強化する為にもプラスになると言う話を聞いている。それはARゲームでも変わりないはずだ。
それなのに――ARゲームではお互いのプレイヤーが情報交換をするようなケースは聞かない。ARFPSのようなジャンルであれば、クランを組む事もあるのだが――。
「ARゲームはぼっち専門ゲームと言う訳でもないはずなのに――」
 大和はため息をつき、何か哀しそうな目でARゲームを観戦していたという。
しかし、アンテナショップへ向かうと言う目的もある為、そちらを優先するのだが。
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