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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード5『炎上マーケティングの始まり』

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エピソード5-5

2017年1月18日付:加筆調整

 4月20日午前10時45分、西雲響にしぐも・ひびきは男性スタッフからパワードミュージックを薦められる。
しかし、そのジャンルはリズムゲームだったのだ。これには、さすがの西雲も頭を抱える。
『リズムゲームと言うと、太鼓型の筺体とか、洗濯機のような形状とか、ギターとドラムセットの筺体とか――そのリズムゲームか?』
「その通りでございます」
 男性スタッフは何故か流暢な英語で答える。
しかし、未だに西雲にはパワードミュージックがリズムゲームとは理解できない。
『電子パンフレットを見る限り、アクション要素も非常に多い。それこそ、ARパルクールやアクションシューティングを思わせる』
「それでも、この作品のジャンルはリズムゲームです」
 西雲もパンフレットの内容を見た上で、この質問をしている。
決して、行き当たりばったりの質問をしている訳ではない。ネット上でもリズムゲームである事にはやっつけ等とも言われているが。
それでも男性スタッフの方は正論を述べるかのように答えている為、西雲はますます頭を抱えたくなってきている。
『過去のテレビゲームで、シューティングゲームなのにRPGを名乗っていたジャンル詐欺に近いような作品もあった。その系統ではないのか?』
「ジャンル詐欺ではありません。ARゲームでジャンル詐欺は景品表示法的な意味でもガイドラインで禁止項目に指定されております」
『それならば、尚更、この作品はジャンル詐欺ではないのか?』
「そこまで言うのでしたら、実際のプレイしている様子を直接見てはどうでしょう? 動画サイトで動画を探すという手もありますが、丁度――」
 何と、ジャンル詐欺はARゲームでは禁止されているらしい。しかも、違反すると罰金を取られると言う事まで明言されていた。
それでも――西雲としては苦手ジャンルであるリズムゲームをプレイするのは抵抗感がある。
苦手な理由は色々とあるのかもしれないが――。
そんなとき、もうすぐゲームが始まると言う事で『百聞は一見にしかず』と言わんばかりに会場の場所を教えられ、そこで実際のプレイを見る事になった。


 午前10時47分、西雲が到着したのは、谷塚駅から少し離れた場所にある道路である。道路標識には国道49号線と書かれていた。
見た限りでは交通規制もされていない道路なのだが、ここで何が行われるのだろうか?
車の通行量は、そんなに多い訳ではない。渋滞しているような道路でARゲームが出来るわけがないのは、他のARゲームで体験済みだ。
ARゲームは『最も安全でクリーンなゲーム』を宣伝文句にしている訳ではないが、そう言うレッテルが貼られているゲームと言う認識をしているユーザーもいた。
交通事故でも起きようならばARゲームだけでなく、VRゲームにも風評被害が出る事も避けられない――とでもゲーム業界は考えているのだろうか?
そうした裏事情はARゲームでも語るのはタブーとされており、下手に言及しようと言うのであれば『炎上マーケティング』呼ばわりされてしまうのは避けられない。
アイドル投資家が行う様なまとめサイト等は、こうした炎上マーケティングの一種と認識されている。
「パワードミュージックでしたら、この先ですよ」
 歩道を歩いていたガーディアンの男性らしき人物が、指を差してこの先のフィールドである事を案内する。
彼はパワードミュージックの担当ではないのだが、だからと言って塩対応でもしたらネット上で炎上する事は避けられない。
ガーディアン側も過剰なネット炎上は、世界大戦クラスの戦争が起こるのと同義と考えているのだろう。
西雲の方もガーディアンの話を信じて、指を差した先の道路へと向かう。
丁度、草加駅方面の道路を直線距離で歩いた所にスーパーが見え始め、その手前にアンテナショップがあった。
【パワードミュージック第5フィールド】
 立て看板にはパワードミュージック専用のフィールドであることが明記されていた。
【パワードミュージックのプレイ、エントリー、メンテナンス全般受付窓口】
 第5フィールドと書かれた看板の下に書かれた説明を見ると、パワードミュージック専用と名乗るのは伊達ではないと思わせるような――アピール文が書かれている。
『スーパーの方で買い出しをしてからフィールドへ行く事も出来るのか――』
 アンテナショップにはフードコートも常設されている場所があるが、ここに関しては飲み物はあるが、食べ物は少ないらしく、スーパーや近くのコンビニで弁当を買うケースが多いらしい。
出前も頼めるかもしれないが、頼めるお店が近くにあるかどうか――と言うレベルであり、ピザの配達受付までが限度だろう。


 その一方で、竹ノ塚駅近辺のガーディアンは動きがなかったと言う。
厳密には騒動を起こした集団が地下アイドルのファンであると判明、ガーディアンによる即時解散が命じられ、スピード解決をした。
警察に逮捕されていたら、それこそ解散が現実味を――と言う流れになるのだが、それを未然に阻止した格好である。
カメラ撮影が出来なかったのは、一種のジャミングであり、ARガジェットを悪用したパンチラ等の盗撮を防ぐ為の手段だった。
それに加えて、ARゲームの展開中は通常のスマホは撮影だけでなく一部アプリも使用不可能になるのだが、これはチート等の問題があるらしいが、真相は不明。
アカシックレコードにはそうした技術に関しても記述がされているのだが――大抵の人間はフィクションだろうと言う事で、一蹴しているのが現実である。
逆に言えば、フィクションの世界で使われた技術を自分達の世界で使用するなんて馬鹿げていると考えている人物が多い事を意味していた。
「アカシックレコードは万能ではない。それを彼らは分かっているのか?」
 ある場所から、竹ノ塚近辺の事件に関して様子見していたのは、大和朱音やまと・あかねである。
その場所とは竹ノ塚駅近くの飲食店であり、そこの窓から一部始終を見ていた。
「集まっている人数的に本来は大規模だったのか? それとも、この事態を想定して退却したのか?」
 ARゲーム用のインナースーツは上着を着用する事で隠しており、彼女がARゲームの関係者とは誰も気づいていないのである。
実際、大和の知名度は草加市内や埼玉県内のみであり、それ以外のエリアでは名前を聞いた事がある人物がいても顔は見覚えがないというのが大多数だろうか。
ネット上では人気があったとしても、実際にどれほどの知名度があるかと言われると――理想と現実はかけ離れているのかもしれない。
「あれだけのチートプレイヤーが別のロケテストで存在する以上、こちらも相応の準備をする必要性があるのか」
 大和は、現状では少数報告されている大規模不正ガジェットやバグを利用した不正プレイ、チートの類をなくそうと考えている。
こうした技術がARゲームで拡散すれば、いずれは軍事兵器に転用され、完全無敵の兵器に使用される可能性も懸念――というよりも、その方向性を考えているのは彼女だけか。
「Web小説で増え続けているチート物、別サイトでは二次創作無双――こうしたコンテンツ流通に風評被害をもたらす傾向は何としても減らさないと」
 そして、事件が決着したのを見計らい、大和は別の場所へと向かった。
草加の方へ戻る訳ではなく、竹ノ塚駅の方角へと歩いて行ったのだが、その後の行方を知る者は少ない。


 3分後の午前10時50分、フィールドの近くにあるアンテナショップに到着した西雲は、受付窓口を探していた。
広さ的には近場のスーパーより広い程度であり、ここでARゲームが本当にできるのか――と思うのも無理はない。
近くには小学校もあり、騒音問題は大丈夫なのか――と西雲は考える。
『地図を見る限り、この近くには小学校もある。それに、工場もあったか――』
 廃工場であればサバゲでも使われているケースがあるが、ここでいう工場は稼働中の物だ。
下手に大事故でも起こればARゲームどころではない。その辺りの避難誘導は大丈夫なのか――と若干不安にもなる。
レースゲーム等では交通整理が行われると言う話もあるのだが、そこまでしてARゲームを町おこしに使う理由も分からない――と一般市民は認識していた。
「あれって、西雲響か? とんでもないプレイヤーが現れたな」
「まさか、参戦する訳ではないだろう?」
「まとめサイトとかでは言及されていないし、西雲はARリズムゲームは苦手としている。それこそ、参加表明したら宝くじで1等が当たるレベルの確立だ」
「確かに、西雲はリズムゲームを苦手としている。しかし、リズムゲームの経験者ではないプレイヤーがスコアを伸ばしている傾向を踏まえると――」
「日向の事例を考えているのならば、それは違うと言う事だ。日向はARゲームのプレイヤーの中でも相当の実力者であると同時に、ブラックリストの常連だ」
「それもあって、リズムゲームに参戦するのはあり得ない話――というのがまとめサイトの見解だったな。しかし、それも外れた」
「まとめサイトに依存すれば、炎上マーケティングや超有名アイドル商法の宣伝として利用されるのは目に見えている。それこそ、炎上マーケティングの危険性は過去にも言われて来た」
 2人の男性が何かの議論をしているようだ。西雲の姿を目撃した事で、参戦するのでは――と考えているらしい。
しかし、2人の声は西雲には聞こえていない。爆音で音楽を聴いている等の理由ではなく、このやりとり自体がARバイザーを使用した秘密回線で行われていたからである。
『どちらにしても、一度でもARゲームが炎上すれば取り返しがつかないと認識している証拠か』
 色々と思う部分もあるのだが、まずは目的であるパワードミュージックを観戦するのが先と考え、足早にショップ内へと入る。
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