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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード4『大和、出撃!』

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エピソード4-7

2017年1月16日付:加筆調整
 4月16日午前10時、アンテナショップでも対応が二転三転するような場所もあったが――無事にパワードミュージックの新規登録が再開された。
再開を喜ぶプレイヤーが大勢いるのかと言うと、そうではなく――直前でエントリーをしようとしたらキャンセルされた等の事情を抱えているプレイヤーがエントリーするのみ。
実際、エントリー再開を喜ぶユーザーがいる一方で、今回の再開を悔しがる人物と言うか勢力もいたからだ。
たとえばフジョシ勢、夢小説勢、あるいはヴィジュアル系バンドの夢小説を書いている勢力等――いわゆる妨害工作を行ったとされる勢力とネットで炎上する事になった勢力である。
彼らは他のARゲームでも妨害工作を仕掛けたと疑いをかけられており、再びエントリー中止の為にタダ乗り便乗や悪目立ち勢が自分達の名前を騙って妨害行為をする可能性も否定できない。
そうした事情もあって、彼らはエントリー再開を喜べなかったのだ。
【アイドル投資家自体が海外へコンテンツを売り込む為のテストケースだった説も――】
【それこそ、一部政治家の人気取りに使われたと言っても過言ではない】
【あの芸能事務所こそ、全世界の支配者であるべきという思想に超有名アイドルが悪用されたとでも?】
【特定芸能事務所を神化する動きは、第4の壁の先でも行われている】
【超有名アイドルはコンテンツではない。株式投資であるのは――】
 他にも色々な発言もあったが、その一部は投稿が削除されていた。削除されていたつぶやきは、どれも芸能事務所Aを名指しした物ばかりが狙われている。
その理由はネット炎上等の被害防止ではない。それに加えて、一部勢力による圧力でもなかった。
仮にネット炎上狙いであれば、芸能事務所Aを批判せずに別のコンテンツを批判すれば、ネット上の反応もあるはず。


 こうした裏事情もあるのだが、表向きはパワードミュージックのエントリー再開を喜ぶプレイヤーが圧倒的だったのは事実であり、ネット上でも同様である。
しかし、アイドル投資家のやっている無差別とも言うべきアイドル投資はコンテンツ産業にとっては、非常に邪魔な存在になっていた。
その理由に関しては、ここで言及しなくても察しの良い読者はすぐに分かるだろう。
芸能事務所Aのアイドルグッズなどしか売れなくなる世界、それは正しいコンテンツ流通ではない。ディストピアと同様である。
超有名アイドルは、この世界では別世界における大量破壊兵器と同様にチート以前の問題と言及され、その存在は――。
「意図的に削除されたつぶやきのアカウント――捨てアカと言う事か。やはり、あの連中は――」
 一連のつぶやきによるタイムラインを使い捨てアカウントを利用したサクラだと断定したのは、明石零あかし・ぜろである。
アンテナショップの場所は特定できたのだが、バスが思わぬ混雑で到着が遅れているらしい。
その理由とは、別のARゲームで道路が使用されている為に迂回しているとの事だった。
ARゲームを推進した結果が、このような渋滞を生み出すとは――皮肉と言うべきなのだろうか。
「それに、まとめサイトの書き方も似たような物ばかり――超有名アイドルファンへ乗り換えるべきと言う発言が目立つ」
 明石はチェックしていたまとめサイトの書き方に関しても、疑問を抱かざるを得なかった。
どれもコピペで作られたものであり、自分の文章で書いた物ではなかったからである。おそらくは、アフィリエイト収入等を狙った物だろう。


 ほぼ同刻、あるまとめサイトを運営本部ではなく、別所でチェックしていたのは大和朱音やまと・あかねである。
彼女がいたのは、松原団地駅近くのアンテナショップである。
ちなみに、明石が最初に向かっていた店からは200メートルほど離れていた為、明石は大和の姿を目的していない。
アンテナショップはコンビニ程に数百メートル先に設置されている訳ではないのだが、ジャンルによっては数十メートル間隔に2店舗が存在したというケースもある程。
彼女がアンテナショップへ向かった理由、それは運営本部から連絡を受けた物とは別件であり、本来であれば運営が干渉するのは越権行為と言われる物だ。
「貴様たちが――転売屋グループだな?」
 大和は既に重装備型のパワードスーツを装着しており、臨戦態勢を取っている。
このスーツを装着するのは、2年振りだろうか。それでも自分にフィットするのは、ARガジェットのバージョンアップの度に細部調整を行っている為だ。
そのデザインは、過去に存在したとされる戦艦大和をモチーフにしたとされているが――ソース不明な為に、本来のモチーフは不明。
デザインモチーフは三笠説も存在し、更には金剛や武蔵という説もある。戦艦をモチーフにした主砲や副砲等の装備は見る者が見れば、分かるだろうが――。
その為、ソースを調べないでまとめサイトをソースとするような迂闊な事を言えないのが現状だろう。
その武装は両肩の大型主砲を含め、あの身長で支えるには非常に難しい様な装備ばかりだ。それこそ、魔法技術で出来ていると言われてもおかしくはない。
実際は、これらの主砲はCGで出来ている為に重量と言う概念がない――と言うのはARFPS等の一部ジャンルだが、その考えで近い可能性もある。
「それを何処で聞いた?」
「貴様の様なゲーマーごときが知るような情報ではない!」
「あのアーマーは、まさか――!?」
「日本は超有名アイドルの売上で経済が回っていると言っても過言ではない――超有名アイドルの解散は、それだけでバブル崩壊を起こし、海外にも波及する程の――」
 他にも何人かが大和に対して銃を突きつける。この銃に関してはARではなく――モデルガンも混ざっていた。
しかし、それに対して大和がひるむ事は一切ない。まるで、トリックが分かっているかのように。
「こちらとしても、お互いに不干渉を貫きたい所だが――度が過ぎた干渉はコンテンツの価値を大幅に落とす。お前達は経験したのではないのか? 3年前に国民的アイドルグループが解散した――」
「それ以上言えば、貴様もこのバズーカ砲の餌食に――」
 大和の方も加減をしている暇はなかった。相手が大和の発言を遮るかのようにバズーカ砲を構えたのを見て、即座に大型主砲の狙いを定める。
そして、彼女が両肩に装備していた大型主砲が火を噴けば、瞬時にして周囲にいた100人単位のモブが一発で気絶した。
その爆発は絶大とも言えるような物で、半径100メートルは建造物が吹き飛ぶような威力だ。
しかし、周囲の建造物には傷一つも付いていないどころか、バリアが発生して衝撃を防いだというべき状況になっている。
「馬鹿な――この破壊力は、破壊魔法のソレと同じか、それ以上――!」
 一部のモブは戦意喪失と言う状態になっていたのだが、それでも一部は残っており、ささやかな抵抗を続ける。
しかし、それも無駄な抵抗である事は大和の戦力を考えれば、火を見るよりも明らかなのだが――。
「無駄な抵抗を続けるならば、次は本気を出す!」
 今度は両腰にマウントされていた副砲を発射、その衝撃波で更に50人規模が吹き飛ばされた。
下手に向こうの発言を聞いていれば、ためらいが生じるとでもいうのだろうか? 大和の攻撃は容赦なく続いた。
彼女の武器、巨大主砲等はARウェポンと言うCG技術で具現化した物であり、実際の主砲と言う訳ではない。
その為、命中した相手は気絶している程度、建造物にもダメージがないという状態なのである。
それこそ、魔法でもない限りは説明できない現象かもしれないが――彼女の技術は魔法ではなく、アカシックレコードの超科学とも言うべき技術が使用されていた。


 5分後、あの勢力にとっては効果絶大だったのは言うまでもないが――転売屋勢力は壊滅状態になっていた。
おそらく、自力での再建は不可能だろう。例え、やり過ぎと言われようが、彼らのやっている事はグレーゾーンであり、決して認められるような物ではない。
それを知っていて、大和が今回の対応に出るしかなかったのは言うまでもない。
仮にノウハウがARゲームに拡散すれば、悪質なチートプレイが蔓延、ARゲームで禁止されているRMTリアルマネートレードも拡散するのは目に見えている。
「馬鹿な――貴様は警察でもなければ、アイドル警察の様な勢力でもないのに――」
 リーダー格と思われる男性は、気絶する直前でこうつぶやく。
大和のやっている事は、明らかに先制攻撃と言われてもそん色ない行為だ。あるいは魔女狩りである。
「貴様たちはやり過ぎた。だからこそ、このステージからは退場してもらおうと――」
 記憶がもうろうとし、今にも気絶しそうな男性に対し、大和は断言した。
その言葉を聞いた一部の勢力も撤退するが、行動が一足遅かったのは言うまでもない。
「この場に居合わせた事――後悔するがいい!」
 大和はターゲットを目撃する事無く、肩の主砲を速射――あっという間に一石二鳥を狙った勢力をせん滅した。
更に10分経過した頃には、駆けつけた警察によってアイドルグッズやコンサートチケット等をの転売する勢力の一部を摘発した。
このニュースはお昼のニュースで大々的に報じられ、ネット上でも彼らが摘発された事を歓迎する声もあったと言う。
ただし、これを摘発した人物が大和である事は警察も発表をしていない。発表できないという訳ではなく、単独でせん滅できるような数ではないと判断した為だろう。
それに加えて、大量の警察官が転売屋だけでなくアイドル投資家やアイドルファンも同時に逮捕した事で、今回のニュースが大規模になったようである。


 その後、警察官は調査を続けるのだが、残念ながら大和を発見する事は出来なかった。それも、摘発したのが大和であると言えなかった理由かもしれない。
大和が使用しているステルス迷彩だと警官の装備でも、ARゲーム専用であれば姿は見えるはずなのだが、それも出来なかったという事は――あの警官もARバイザーをしていた可能性が高いだろう。
何故に警官はARバイザーを脱ぐ事をせずに現場を確認したのか? それらの調査結果がネットに流出する事はなかった。
「あれは警察と言うよりは、ARガーディアンの偽装か」
 大和は警察の警戒エリアから離れ、その後の動向を調べていた。
警察がARゲームに関しての調査権限を持っているはずもなく、この場に姿を見せたのはおかしい。
ネット上でもARガーディアンの装備が警察に配備されている事はない、と言及されている。
つまり、あの警官の正体は――。
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