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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード4『大和、出撃!』

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エピソード4-2

2017年1月15日付:加筆調整
 4月15日午前12時15分、比叡ひえいアスカが帰路についた頃、島風朱音しまかぜ・あかねがアンテナショップに姿を見せた。
あの後、木曾きそアスナはパワードミュージックをプレイする為に離脱、ビスマルクも別の用事を思い出して店に残留したので、結局は一人でアンテナショップへ向かう事に。
「アンテナショップへ向かうのであれば、この近くにあるショップへ行くといいだろう。マップは――ARガジェットであれば誘導可能だが」
 木曾は島風がアンテナショップへ行くと言った際、このような事を言っていた。
しかし、自分は該当するガジェットも持っていなかったので、スマホアプリにARゲームのアンテナショップを検索可能なマップツールを入れる。
そして、それを頼りにして到着したアンテナショップは、比叡が来店していたアンテナショップだったのである。ある意味でも偶然は恐ろしい物かもしれない。


 同時刻、太陽光発電エリアに工事車両が止まっていた。どうやら、設備のメンテと言う事らしい。
メンテ以外にも設備の拡張がメインかもしれないが――それを現場の人間が知っている訳もなかったと言う。
太陽光発電システムはARゲームにとっても欠かせないシステムだが、それよりも驚くのは――。
「風力発電、水力発電、それに太陽光か――」
 通りかかったARガーディアンの男性提督が、工事車両の方を振り向く。工事車両が不審車であれば、警察が動くのは確実だろう。
しかし、警察も大きくは動いていないので現状では問題なしと考えているのだろうか?
「莫大とも言えるようなARゲームに使用する電力、それを太陽光などで80%近くフォローできるようになったからこそ――」
 彼は太陽光発電システムが確立されたからこそ、ARゲームが運営可能になったと考えていた。
そうでもしないと、市民から理解を得ることなんて不可能だったからである。
そして、この太陽光発電システムを独占しようと考えているのが――アイドル投資家や芸能事務所の存在だ。
その目的は使用料を徴収しようと考えている可能性。徴収した利益で超有名アイドルの劇場等を建設しようと考えているのかもしれない。


 一方で、一連のレースを動画で視聴していたのは大和朱音やまと・あかねだった。
彼女は運営本部で視聴していたのではなく、ゲーセンの店内で動画を視聴している。
今回は上着を着用しているが、これはARゲーム用のインナースーツを隠すためらしい。
あえて下着代わりにインナースーツを着用する理由は不明だが。
「やはり、一連の騒動はまとめサイトが芸能事務所から賄賂を受け取り、芸能事務所の超有名アイドルを力押しで神コンテンツにしようという路線か――」
 過去にも同様の騒動があり、それがつぶやきサイト上等で拡散した事でネット炎上した事は日常茶飯事となっている時期もあった。
大和は一連のネット炎上も一種の『戦争』であると位置づけている人物として、ある勢力からブラックリスト入りされたほどである。
それこそ、瞬時に騒動を鎮静化させるネット神とも噂される明石零あかし・ぜろと並ぶほどのレベルだ。
明石に関してはネット神について自分は該当しないと否定をしているようだが、それでも明石の能力は神に等しい能力を見せている。
「日本政府は超有名アイドルファンであるとされる約10万人規模のアイドル投資家だけで、日本経済をバブルの時期まで戻そうと言うのか」
 この程度の話で動揺しているようでは、ARゲームをプレイするのは至難の技だと言う事は自分も知っていた。
過去にもARゲームで起こった騒動、それは間違いなく富裕層の一握りと断言出来るアイドル投資家――それを生かす為に政府が起こした騒動と考えている人物もいる位である。
しかし、大和はそうした過激派思想には便乗せず――自分なりの考え方でARゲームを変えようと考えていた。
それも、ARゲームのガイドラインやARゲームのルールに様々な物を加える事で。
「――違うな。おそらく、そう言うシナリオを望んでいる人物がいると言うのだろう。第4の壁の向こうに」
 大和は自分のタブレット端末を見つめながら、ふとつぶやく。
今回の一連の事件は確かにパワードミュージックの評判を落とそうという意図は感じ取れる。
しかし、ロケテスト当時に盛り上がらなかったような作品を潰す理由が何処にあるのか?
情報解禁時の盛り上がりを踏まえれば、考えを変えたとも受け取れる。
「こちらが大きく動けば、それこそゲームの運営そのものに支障が出る。ここは、証拠集めを含めて地道に動くしかないか――」
 しばらくして、大和はゲーセンを後にする為に出入り口の自動ドアへと向かう。
その際の表情は無表情に近い物だが、それは周囲に何かを悟らせないようにするための配慮だろうか。


 その後、大和はゲーセンを後にして別の場所へと向かう事にした。一体、何処へ向かったのかは本人にしか分からない。
そして、彼女が言う『証拠』が何を意味しているのかは予測も難しい。彼女が見ている先とは、一体どこなのか――。
「どちらにしても、まとめサイトがマスコミと手を組んで超有名アイドルの神コンテンツ化――それが第4の壁で行われない事を祈るばかりだが、こればかりはどうする事も出来ない」
 ゲーセンを出た大和の目の前には、トライク位のサイズのホバーボードが置かれていた。
デザイン的にはボードと言うよりはホバーバイクと言えるかもしれない。これもARゲームに使用するガジェットだろうか?
バイクと言うにはレバー等が存在しない為、どうやって乗るのか――と周囲のギャラリーも気にしているようだ。
大和がボードに乗る直前、両耳にヘッドフォンにも似たようなガジェットを装着する。
そして、装着後には大和の周囲にはARアーマーが装着される際のエフェクトが発生し、全身にARアーマーが装着された。
アーマーの形状は汎用と言う物ではなく、ワンオフと言うべき様なデザインをしていた。
その形状はモチーフがはっきりと分かるような気配がある。分かる人物が見れば即座に分かると言うレベルのデザインなのは明白――。
「全ての鍵を握るのは、アカシックレコードと言う事なのか――全ての発端となった鍵と言うのは」
 大和はアカシックレコードがあるとされるビルへと向かおうとしたのだが――。
しばらくして表示されたメッセージは、大和も驚くような内容だったのである。
【この場所にアカシックレコードはありません】
 大和のARバイザーには精密なマップと高性能レーダーを搭載していた。この手のカスタムバイザーにはよくある装備だが、大和の装備している物は精度のケタが違う。
しかし、そのバイザーが示したのは向かおうとしたビルにはアカシックレコードがないという結果が表示されたのである。
「ビルの解体が終了している――だと?」
 大和も思わず驚きを隠せずにいた。
アカシックレコードがあるとされていたビルは1年前に解体工事が行われ、今は全く別の施設が立てられている。
その施設とは――何とARゲームのアンテナショップ。一体、これはどういう事なのか?
「ARゲームのアンテナショップであれば、申請が必要のはず。この場所には申請がなかったと聞いていたが――?」
 大和は何かが引っ掛かり、地図データの更新を改めて行う。
すると、アカシックレコードを示す地図の中心点があったのは――。
「谷塚駅の近辺――そう言う事か」
 申請がなかったのではなく、おそらくは運営に事後申請、あるいは申請自体がない違法ショップと言う可能性もある。
大和は即座に向かおうとも考えたが、場所が場所なので現状では泳がせる事にした。
下手に動けばガーディアン組織や別勢力にも気づかれる可能性があり、まとめサイトの管理人やマスコミなどに知られれば――そちらの方が大惨事となる。
違法のショップだった場合、運営とは別にARガーディアンが動き出すのは間違いないだろう。それを踏まえると、放置されている理由は――。


 午前12時20分、島風はアンテナショップを見て回る。昼ごろと言う割には、客足が少ない訳ではないようだ。
ショップ内にフードコートのあるアンテナショップもあるが、ここが該当するアンテナショップなのかは島風には分からない。
店内には最新のARガジェットや関連オプションなども販売されているが、彼女の目当ては――。
「先客――?」
 島風がコーナーの近くまで進むと、パワードミュージックのコーナーの一角で男性スタッフと話している人物の姿が見えた。
身長187センチ、黒のロングヘアーと言ったら――彼女しか考えられない。
島風でもネット上でARゲームのプレイヤーを検索する事がある。
それは、自分がコスプレイヤーと言う事もあって、衣装の着こなしやデザインのヒントになれば――という意味合いがあった。
その中でも高い身長でアスリートを思わせるような外見の人物は、ついこの間見たばかりでもある。
「長門クリス? どうして、彼女が――」
 長門ながとクリス、ARゲームをプレイしているユーザーで新規や初心者ではない場合、あるいはARリズムゲーム等の特定ジャンル以外で彼女の名前を見ないユーザーはいないだろう。
彼女はARゲームのイースポーツ化に関して、周囲を動かすような発言はしていない。おそらく、長門なりの配慮だろうか?


 島風が遠目から様子を見ている中で、長門はARガジェットの品定めをしていた。
「ARFPS等のガジェットも使用可能ですが、大体の方がガジェットを別に用意していますので――」
 男性スタッフが長門に別のARガジェットを薦めるのだが、特に強制力がないような口調の為、長門の方も若干困惑している。
「ARリズムゲームでは専用のガジェットがあると聞いている。そちらをお願いしたいのだが――」
 長門は直球でパワードミュージック用のガジェットを要求する。
しかし、スタッフの方はさまざまなクレームなども来ている作品を薦めるよりは、他の作品を――という心情があるのかもしれない。
それに加えて、ノルマと言う物は存在しないが、別の売れ筋ガジェットがあるのならば、そちらを売って人気が出た方が良いともスタッフは考えていたのだろうか。
「こちらとしては、別のARゲームよりも――優先してみて見たいと言う事で、ここにいるのだが」
 長門としても後には引かないような気配である。
男性スタッフの方もパワードミュージックを薦めたくない事情はあるのだが、お客的な事情もあって、スタッフの方が諦める事にした。
「とりあえず、マニュアルの方はこちらですが――後でプレイして後悔するのはなしにして下さいね」
 引き下がった男性スタッフだが、長門に対して釘を刺した。その後、彼はマニュアルを長門に手渡し、別のコーナーへと案内する。
この警告とも言えるような発言は長門にとって、後々に重要な意味を持つ事になるのだが――それはもう少し後の話となる。
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