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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード3『比叡、出撃へ』

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エピソード3-10

2017年1月14日付:加筆調整

 4月15日、その日は他のパワードミュージックのフィールドでも類似案件が起きていたのだが――それを比叡ひえいアスカ知ったのは、翌日の事だった。
ネット上で情報規制がされていた訳でも、超有名アイドル勢力が過去のグループ解散記事を捏造したつぶやきを拡散する等の情報戦がされていた訳でもない。
単純に言えば、これに言及したとしても信じてもらえないと考えていた人物が圧倒的に多かった事――それが理由だった。
楽曲のノイズに関しては意図的な演出と言う公式発表があったのだが――それ以外の事例に関しては調査中として、説明を避けた格好である。
【あのラグは、もしかして――?】
【ノイズは該当する楽曲だけではなかった。しかも、ザッピングにも聞こえたような】
【どちらにしても、一連の事件はアイドル投資家やフーリガンと化したファンの仕業だろう】
【あの連中をフーリガンと言うにはサッカーファンに失礼だ】
【どういう風に呼べばいい? さすがにテロリストはドン引きだぞ】
【全世界を超有名アイドルの支配下に収めなければ気が済まない。そして、その邪魔をする物は全てかませ犬として引き立て役に仕立て上げる――彼らは、アイドルマフィアと言ってもいいだろう】
【埼玉県内ではリアルマフィアは全勢力が撤退――それも、薬物絡みの一斉摘発が原因と聞く】
【おそらく、リアルマフィアの件はフェイク。ニュースやネット上でも伝えていない真実は、何処かにある】
 ネット上のつぶやき、それらを見てワンパターンとつぶやくユーザーもいる。
あるいはSNS疲れ――とも言えるような症状を訴える人間もいるようだが、それらをニュースで報道する事はない。
逆にアイドル投資家や芸能事務所側が裁判を起こされては、自分達にも不利が生じると考えているのか?
それこそ、アカシックレコードに書かれている筋書きと同じ可能性も高いだろう。
しかし、本当にアカシックレコードに記されたWEB小説と全く同じ事が、現実に起きると――本当に考えている人間なんているのか?
その答えは、はっきり言うとゼロではない。一部のアカシックレコードからコンテンツ業界の危機を読み取ったプレイヤーは、確実に動きだしているのだ。
ある者はアカシックレコードへのアクセス能力を利用し、歪んだ情報を拡散する人間を通報し、アイドル投資家の違法な転売等を摘発する。
また別の者は、アカシックレコードに記された設計図などからARガジェットを復元、チートと言う不正行為を行うプレイヤーの排除を行っていた。


 午前10時58分、木曾きそアスナの解説に集中していたビスマルクは、またしても2曲目のプレイを見逃してしまう。
「3曲目の曲は――!?」
 楽曲名を確認したビスマルクは、若干固まっていた。彼女が問題にしているのは楽曲名の方である。
その楽曲名は一見すると、ある楽曲と類似しているのだが――。
「なるほど。これは、同名の別曲ではないのか」
 木曾はビスマルクが固まった理由が若干理解できていた。超有名アイドルの楽曲に似たような曲名があったからである。
本来、超有名アイドルの楽曲はARリズムゲームには収録不可能だったからだ。その理由が楽曲の使用料と言われると、そうではない。
だからと言って海外の事情に配慮した物でもなかった。ARゲームが稼働しているのは、現段階で日本国内に限定される。
海外でARゲームが稼働できない理由は場所が確保できないという理由もあるかもしれないが、おそらくはARガジェットの仕様的な部分が大きいだろう。
それが理由となって、海外からの観光客も草加市に集まっている現象が確認されているのだ。
つまり、ARゲームは一種の観光資源にもなっていたのである――と言っても、その辺りの周辺事情を説明してビスマルクが楽曲名の類似に納得するとも思えない。
「同名の、別曲?」
 ビスマルクが木曾に指摘され、曲名を改めて見ると――微妙に楽曲名は違っていたのである。
わずか漢字一文字の違いで、ここまで慌てるとは――ビスマルクはとんでもない事をしたと心の中で思う。


 午前11時、再びスタートラインに立つ比叡は、周囲の様子が変化しているようにも見えた。
「意図的にネット炎上を誘い――超有名アイドルコンテンツのかませ犬にしようとしているのか」
 比叡は一連の妨害が何かの意図を持って行われている事に気付き始めた。それが、超有名アイドルコンテンツである事にも――。
それを踏まえると、黄金のプレイヤーと白銀のプレイヤーも実はサクラなのではないか――と疑い始める。
もしかすると、初心者狩りなのではないか、上級プレイヤーに対するかませ犬として選ばれたのではないか――とネガティブな思考も入ってきていた。
「これが、一般的なゲームとも違うARゲーム――」
 比叡は動画サイト等では言及されていなかった事実に気付き始めている。
ARゲームとは拡張現実を使用したゲームであると同時に、リアルとバーチャルの区別がつかなくなる危険性も持っていたのだ。
これがプレイしてようやく分かった事実だとすれば、それをアンテナショップの段階でも注意すべき部分である。
それなのに、どうして――彼らはARゲームに熱狂出来るのか? 比叡が疑問に思った事は、ARゲームをスルーしている人間にも該当する事だ。
ARゲームをプレイする事にリスクが生じるのは、あながち嘘ではないらしい。
「フィールドは現実の物をそのまま流用し、ゲームサイドで用意する物は――と言う事か」
 フィールドをよく見れば、街の風景はARバイザーなしで見ていた風景と変わらない。
観客の姿も消えていないが――ARバイザーを身に付けていない一般客は色だけの存在となっており、認識はされていないように見える。
しかし、あくまでも見えるだけ。一般客に怪我をさせてしまった場合、厳重注意だけでなくライセンス停止に発展する事はガイドラインにも書かれていたように思えたが――。
【余計な情報に惑わされるな。ゲームに不必要な情報を取り入れる事は、炎上勢力やネット警察等と変わりない】
【ARゲームを純粋に楽しむこと――それがARゲームをプレイするのに最重要項目と言える。だからこそ、最低限の事以外をアンテナショップでは言及しない】
【何故、パワードミュージックを始めようと思ったのか――それを思い出せ】
 ARバイザーに表示されたショートメッセージ、それは自分を励ましているようにも思えた。
最初にプレイしようと思ったきっかけを思い出せ――確か、新たなリズムゲームを見つけた事による物だったはず。


 その後、比叡は出来うる限りの全力を発揮し、最終結果としては2位となったのである。
しかし、パワードミュージックを甘く見ていたのも事実であり、従来のリズムゲームと同じようにあっさりとクリア出来るだろうという慢心もあった。
【ARゲームはアドベンチャーゲーム等のように攻略本どおりにプレイすれば、パーフェクトのスコアを出せると考えているのであれば――その認識を改めるべきである】
 このコメントは別のウィキで載っていたARゲームの心構えの項目――そこに載っていたと記憶している。
自分としても動画サイトを見れば、容易にクリアできるヒントが見つかると甘く見積もっていた部分はあるだろう。
もしかすると、ネットで何でも見つけられる――それこそネットが便利アイテムみたいな認識をされている事こそが、今回の件に関する落とし穴だったと言えるかもしれない。
「1位だけを求めるあまり、チートと言う手段に手を出すまでになったプレイヤーか――」
 比叡はチートを持ち出してまで1位を取ろうと考えるプレイヤーの心理が、少しは分かったような気がしていた。
しかし、本当に目立ちたいだけでチートガジェットに手を染める――何故、そこまでARゲームにこだわるプレイヤーがいるのか?
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