挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード3『比叡、出撃へ』

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

34/137

エピソード3-8

2017年1月13日付:加筆調整
 4月15日午前10時51分、比叡ひえいアスカは誘導の指示通りにコースを進み、楽曲を演奏していた。
「特に動画で見たようなシーンに遭遇するような場面は――」
 周囲を警戒しつつも、出現する白い壁に対して手持ちのロングソードを振り下ろす。
振り下ろしたタイミングは若干ずれていたらしく、白い壁は真っ二つに斬れた物の――判定としては通常だった。
リズムゲームでは、良→通常→ミスと言う順番で判定が変化し、判定によってはスコアが違ってくる。
上級者同士のバトルの場合、判定1つの違いが順位を分けるとも言われていた。
他のプレイヤーのプレイでも、1度の平凡なミスが後半のプレイにも影響し――スコアを大きく落とすケースも実例である。
「何かが――?」
 プレイ途中で比叡は何かのノイズを感じ取った。ノイズと言ってもミリ単位の物であり、普通にプレイする分には問題にならない物である。
ここまで細かいノイズを気にするとしたら、音質にこだわっているプレイヤー位だろう。
実際、ノイズに関してはリズムゲームの場合であれば意図的な演出で淹れているケースも存在する為、アーティスト側から仕様と言われてしまえばそれまでだ。
そう言った事もあり、ノイズでクレームを出すとすれば超有名アイドルの楽曲でノイズが入った場合のクレームの口実――と指摘されるのは暗黙の了解にもなっている。
単純な音源のノイズであれば、ARガジェットに干渉するなんてあり得ない話なのだが。
 結局、比叡はノイズが気になってプレイに集中出来なかった訳ではないが――知らない内にミスが連発していたのである。
ARガジェットにノイズが発生した訳でもなく、ガジェットの初期不良や欠陥と言う訳でもない。
最終的には自分でも気づかないような気の迷いが――プレイ中の乱れにつながり、あのプレイ結果にもつながった。
なお、他のプレイヤーはノイズを気にしていなかった、あるいはノイズ発生に気付かなかった――可能性が高く、特に足を止める事はなかったと言う。
類似したノイズ発生に関しては、発見出来た物でこの事例のみである。この段階では発見できていなくても、数日後には動画が増える可能性も――あり得るかもしれない。


 午前10時53分、比叡は気を取り直してARガジェットのソードを肩アーマーに固定し、改めて周囲を見回した。
建造物に不審者がいる訳でもない、逆に爆弾等が設置された様子もない、乱入者や妨害を狙っている人物がいる訳でもない。
一体、誰がレースを妨害しようとしているのか――そうした不安が、逆に比叡の腕を鈍らせていた。
リズムゲームでも、稀に野次馬の存在でニアミスを起こす場合がある。どんなゲームにも、こうしたハプニングは付き物なのだ。
「やはり、ARゲームのプレイ経験が少ないユーザーに見られる、あの現象か」
 店内でくつろぎながら、中継映像を見ていたのはビスマルクである。既にコーヒーは2杯目だろうか?
ビスマルクの言う現象とは、過去にARゲームが超有名アイドル勢力に制圧されそうになっていた時代があり、わずかな失敗が実はアイドル投資家の仕業ではないか――と思い始める物だ。
俗にいう『○○の仕業』や『風評被害を広めようと言う○○勢力の手先が妨害している』等と言うような思い込みである。
これは、悪夢の数日間や超有名アイドル騒動などとも呼ばれる事件が事例となっており、この現象は他人事ではなくなっているのかもしれない。
ネット上でも、迂闊に超有名アイドル関係の話題で『○○の仕業』と拡散すると芸能事務所の手先と間違えられる場合もある。
「古代ARゲーム自体も作り話である可能性が高いのだが――こればかりは、自分の足で情報を手にしない事には無理か」
 ネット上の情報を更に調べようともしていたが、次のレースは比叡が指定した楽曲と言う事もあり、つぶやき検索は休止と言う事になった。
ビスマルクの座っていた席のテーブルには、飲みかけのコーヒー以外にはフライドポテトとたこ焼きの様な物が置かれていた。
「隣の席、いいかしら?」
 女性の声が聞こえるのだが、ビスマルクは特に気にせず――そのまま『構わない』と言う様な様子で自分の荷物をどける。
その後、彼女がビスマルクの隣に座ったのだが、トレーにはカレーパン、チョコソース風味のフライドポテト、塩やきそばパンと変わり種揃いだ。
飲み物は特に頼んでいないと思われたが、ドリンクバーのコーラが入ったタンブラーを置いていた。
「誰かと思ったが、あのコスプレイヤーか」
 塩やきそばのにおいが気になって、ビスマルクがARガジェットから彼女の方へ視線を変えると、そこにいたのは島風朱音しまかぜ・あかねだったのである。
席の方も満席になりつつあった為、店員から相席を薦められ、この席になったという事だが。
「まさか、ここでビスマルクに会うなんて――」
 島風の方もビスマルクと遭遇した事には予想外と考えていたようだ。
いつものデカリボンが特徴なコスプレなので、目立たない方がおかしいのだが――分からない人にとっては、分からないままと言う事なのだろう。
それでも、コスプレイヤーに対しても態度を冷たくしないのは、草加市がARゲームだけではなくアニメやゲーム作品に対してもコンテンツ流通の促進を狙っての事である。
一般市民にとっては、何故に町おこしにゲームを使うのか――と思ったに違いない。これは何度かまとめサイト等でも話題になる物だ。
アニメやゲームで聖地巡礼者を呼び込むと言うのは、今に始まった事ではなく10年以上前から行われている物であり、タブーと言う訳ではない。
それでも否定的な意見が出てくるのには諸説あるのだが、超有名アイドルの出演ドラマのロケ地として呼び込みをした方が良かったのでは――と言う意見も存在する。
果たして、様々な個所で対立が続くこの話題には炎上が付き物なのだろうか?


 午前10時55分、2曲目の楽曲が予想外の曲だった事に対し、驚いている様子だったのは黄金の人物である。
【レベル6――何を選ぶと思ったら、ハンズアップか】
【ジャンルとしては音楽ゲーム向きだが、ARリズムゲームではどうなる?】
【ARリズムゲームでも、同じリズムゲームだ。似たような事例を出すとすれば、パルクールとフリーランニングを過剰に区別しようとするような物だ】
【レベル6が2曲目と言う事は、3曲目はレベル5か?】
【レベル5と言っても、譜面の配置や楽曲のレベル、紋章の獲得条件で変化する】
【紋章! すっかり忘れていた。他のARリズムゲームと同じと考えていたから、紋章の存在を忘れていた】
 島風がスマホでつぶやきサイトをチェックしていたのだが、そこで紋章と言う単語が気になっていた。
「ビスマルク、紋章って?」
 この一言を聞いたビスマルクは、表情が若干凍りついた。まさか、島風はパワードミュージックを知らないのか、と。
ビスマルクの方も一定のルールは理解し、設定されたゲージが0になったら演奏失敗、特定のミッションを達成する事で紋章を手に入れられる事は知っていた。
しかし、それをどういう風に言えば分かってもらえるのか。説明口調にして、逆に面倒と感じられるのも問題――と考えていた中、姿を見せたのは予想外の人物だったのである。
「紋章と言うのは、いわゆるノルマの様な物だ。一定の個数を集めれば、クリアとなる」
 ビスマルクと島風の目の前に姿を見せた人物、それは眼帯が特徴的な木曾きそアスナだった。
どうやら、偶然――2人の前を通りかかったような雰囲気でもある。本来は別の人物と待ち合わせをしていたような様子だが――。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ