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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード3『比叡、出撃へ』

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エピソード3-5

2017年1月13日付:加筆調整
 4月15日午前10時40分、比叡ひえいアスカがアーマーの装着を完了した頃、別のプレイヤーがレースを終えて戻る所だった。
そして、その人物は比叡の前を通過すると思ったら、別の方向へと歩いて行ったという。一体、何が起きたのか?
別方向へ向かった人物を気にしても仕方がないので、比叡は早速センターモニターへと向かったのだが――。
「まさか――それこそ、あり得ない話になる」
 別のプレイヤーの歩いて去っていく方角を見ていたのは、先ほど別機種で騒動を起こしていた日向ひゅうがイオナである。
彼女は事情聴取をされる事はなかったが、何時も通りに数日間のライセンス停止処分となった。
【またライセンス停止処分らしい】
【またか】
【別のARゲームで一週間クラスで停止→他のARゲームで活動をしているというのもテンプレになって来たな】
【また、超有名アイドルというか芸能事務所Aが日本を支配するディストピアでも唱えているのか?】
【どちらにしても、1作品でライセンス凍結でも生ぬるい。いっそのこと、2作品規模で出来ない物か】
【疑似的に2作品で凍結された事ならば、1月にあったな。ただし、ゲームAの凍結解除が明後日に控えていたから、事実上は――】
【一体、どれだけのサブアカウントを持っているのか】
【あれはサブアカウントではない。ARFPSで5作品、AR格闘ゲームで5作品、ARカジノ2作品、ARリズムゲーム1作品か】
【最近になってARパルクールに参戦したという話もある】
【パワードミュージックか?】
【今探したが、そっちではないようだ。別のパルクールタイトルらしい。確か、パルクール――】
 つぶやきサイト上では早速、日向のアカウント停止に関する話題が拡散していた。
その速度は、誰かが情報をリークしたのと同じ位に匹敵する。


 午前10時41分、ネット炎上を誘発するようなレベルの煽り文句やまとめサイトの仕事の早さ――本格的な炎上も時間の問題である。
しかし、草加市内のARゲームプレイヤーが慌てるような様子は全くない。
慌てているのは、せいぜい別コンテンツのファンや一部のアフィリエイト系まとめサイトの管理人だけだろう。
「吠えたければ、吠えるがいい。あくまでもARゲームに対して牙をむけるのであれば――アカウント停止も恐れはしない」
 日向はさりげなく一連のタイムラインをチェック済だった。彼女にとっては、アカウント停止は怖くないのだろうか?
普通のプレイヤーであれば、禁断症状は出ないにしても――アカウント停止となれば事件になるのは避けられない。
中には停止理由に不服申し立て、更には運営へ殴り込みを仕掛けるプレイヤーもいる位だ。
しかし、こうしたプレイヤーの暴走が超有名アイドルファンや投資家に拡散され、ARゲームに対する風評被害が――と言うのが現状である。
「どちらにしても、今は様子を――」
 それからしばらくした後、先ほどのプレイヤーはアカウントを停止されたという情報が拡散したのである。
その理由は超有名アイドルの楽曲をレース中のプレイヤーに流し、マインドコントロールまがいの方法でCD購入を薦めたという物だ。
つぶやきサイト等ではCDランキング対象の店舗で購入するように薦めるメッセージも拡散していた為、即座に足が付いたらしい。
これを通報したのは日向ではない。付け加えるのであれば、比叡でもなければ――。
「壁に耳あり障子に目あり――超有名アイドルという単語を感知しただけで、魔女狩りまがいの方法で犯人を捕まえていく」
 日向は――ため息交じりにつぶやく。自分が言えるような発言ではないのは自覚しているつもりだが。
「ARゲームを風評被害から守るのに、ここまでの方法を使って――逆にディストピアと気づかれないと思うのか?」
 この発言自体が魔女狩りの対象になる可能性を承知で、日向は逮捕された人物の方角を見ながらつぶやく。


 午前10時42分、センターモニターに到着した比叡は、ARガジェットを装着した右腕を近づけても反応がしなかった事に疑問を持った。
【ポイントがチャージされておりません】
 画面にはエラーメッセージが表示され、ポイントのチャージを行うか100円硬貨を指定口に入れるようにと指示される。
しかし、比叡はポイントチャージをしたはずなのでは――と考えたのだが、改めて残りポイントをチェックしてみると、そのポイントは――。
【残りポイント:90】
 何と、まさかの10足りないだったのである。ガジェット購入時にポイントで支払った以外に思い当たる様な個所もない。
まさか、パスワードを読み取られたのではないか――とも考えたのだが、別口の説明によるとセキュリティ的にはあり得ないとの事らしい。
仮にあり得るとすれば、クレジットカードの暗証番号をATMで盗み取るような方式、あるいはコンビニ等に置かれているARガジェットリーダーのパスワードを店員が勝手に使用した――辺りだろう。
さすがに、そこまでの不正をやったとすれば即日ではないにしても足が付くのは明白であり、それこそARゲームに対する風評被害が加速する。
「そういえば――」
 比叡は、ARアーマーのカスタマイズをした際にポイントで支払うという趣旨の発言をしたような――と。
改めてポイントの使用ログをガジェットで再チェックすると、その考えが正しかったのである。
「ARガジェットとアーマーって別料金なの?」
 まさかの痛恨とも言えるミスだった。ARアーマーの購入で2500ポイントを消費しており、その段階で残り90ポイントになっていたのである。
ARガジェットとアーマーがセットになっているのは、あくまでもARサバゲ―やAR格ゲー等に限定されるようだ。
パワードミュージックは、ARリズムゲームのカテゴリーと言う事でガジェットとアーマーは別料金らしい。
実際、2種類以上のARガジェットを所持しているプレイヤーも多く、そう言った観点で別料金制度を取っているらしいが――。
「財布は持ってきていない以上、どうすれば――」
 アンテナショップ内のコンテナに荷物を預けている以上、現金でチャージをするのも難しい。
そんな中、困っている比叡に声をかけてきた人物がいた。
見た目はあきつまると同じように提督服を着用し、軍帽を被っている女性に見える。
「一度、アンテナショップへ戻れば――何とかしてくれますよ。スタッフに事情を説明して、コンテナを開けてもらえば済む話です」
 もっともらしい事を言っているようだが、もしかすると順番の割り込みを考えている可能性もある。
実際、ARゲームは機種によって1時間待ちとまではいかないが、30分規模で待つ必要のある作品も存在し――プレイ順番は重要になってくるのだ。
結局は近場と言う事もあって、アンテナショップへ向かう事になった。


 比叡がアンテナショップへ向かった頃、先ほどの提督服を着た人物は何もない所から表示されたボタンをタッチ、その後にはスーツはCG演出の如く消滅した。
その正体は、何とビスマルクだったのである。何故、彼女が比叡のアドバイスをしたのかは分からない。
ビスマルクの服装はARガジェットの機能を使う都合上、改造軍服をモチーフとしたARアーマー用のインナースーツを着用している。
こちらの方は別のARゲームに使用する物であり、パワードミュージック専用ではない。スーツの互換性がないと言えばそれまでだが。
「以前のアイオワに対するログが解析されるのも時間の問題――と考えるのは、現状では早計か」
 ビスマルクは、ふと自分が行った事を思い出したが、その行動が比叡に見破られる可能性も懸念する。
しかし、今の彼女では辿り着くのも難しいのに加えて――それだけの実力があるのかも見極めていない。
まずは技術がどれだけなのか様子を見るのが先と考えた。
「他の勢力が警戒しているのは、夢小説なのか、それとも――」
 ビスマルクが警戒するのは超有名アイドルの芸能事務所に肩入れする勢力全てだが、その絞り込みを行うのが困難を極めている。
アカシックレコードにアクセス出来る人物でも、不要情報を削るのが一苦労すると言う。
「不用意に削った情報が、思わぬ部分で大きく影響する。新たに判明した情報も――」
 不要な情報が多ければ多いほど、敵勢力の正体を絞り込むが難しい。それは、万能なアイテムを手に入れた近年でも言われている。
ネット上でより正確な情報を掴み、全ての混乱を起こしている元凶を突きとめる事――それが簡単にできれば、アカシックレコードの様な物は必要ないだろう。
結局はガーディアンも人海戦術で犯人を追いつめ、そこから新たな情報を得る事もある為――ネットが進化したこの時代でも、やる事は同じと言えるのかもしれない。
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