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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード3『比叡、出撃へ』

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エピソード3-2

2017年1月12分付:加筆調整

 4月15日午前10時20分、比叡ひえいアスカは木曾きそアスナとすっかり話しこんでいた。
「そろそろ書類をスタッフに渡さないと――」
 そう言い残し、比叡は足早に受付の方へと向かった。一方で木曾の方は、そのまま別のセンターモニターの方へと歩いて行く。
「比叡アスカ――そう言えば、数日前にリズムゲームの方でランカーに近い技術を持ったプレイヤーが彗星の如く現れたという話を――」
 木曾は比叡の名前に少し引っ掛かるような物を感じ、ARガジェットでデータを調べ始めていた。
調べる対象は木曾もプレイしているリズムゲームのプレイヤーデータである。
木曾自身のデータから、何かたどれるヒントはないかと考えた矢先――。
「そう言う事か――通りで」
 木曾が比叡の名前を知る事になったのは、リズムゲームではよくある逆ライバルシステムだ。
その逆ライバルのプレイヤーに比叡の名前を見つけたのだ。これが偶然なのか、必然なのかは本人にしか分からない。
逆ライバルされている以上、相互登録をすればデータ比較などが可能になる。その為、木曾は比叡を早速ライバル登録したのだが――。
データに関しては一部楽曲のみで、全体の4分の1もプレイしていない。自分のプレイ曲数と比べると、半分以下だろうか。
しかし、比較可能な楽曲のデータをチェックするとそのスコアは理論値に近い物ばかりだった。
「プレイ回数は1回の物もあると言うのに――あのプレイヤーは、リズムゲームのリアルチートとでもいうのか」
 木曾が驚くのも無理はない。彼女が理論値を叩きだしたのは、プレイ回数1回の物に集中している。
難易度が一番簡単な譜面での達成である事を差し引いても、よっぽどの実力や才能等がない限りは、初見の譜面で理論値到達や同程度の評価は難しい。
木曾の驚く理由は、これだけではない。ネット上ではリズムゲームで初見フルコンボをあっさりと決めるようなプレイヤーは複数目撃されている。
その中でも、比叡のスペックは初見フルコンボを決める勢力で一番上になると考えていた。
それこそ、彼女がリアルチートと懸念するかのように――である。この現象が偶然で片づけられれば、都市伝説程度で話題にはならないだろう。
しかし、このケースに限って言えば、ある意味でもリアルチートと言う称号を得るクラスの実力と言っても問題はなかった。
「おそらく、彼女の実力は複数のリズムゲームをプレイした事による影響が大きいだろう。格闘ゲームと違い、コマンドなども共通しないと言うのに」
 格闘ゲームならば、入力コマンドが一部共通と言うケースが多い為、コマンド表を把握すれば必殺技もあっさり出せる可能性が高い。
しかし、リズムゲームはそうはいかない。入力デバイスが機種によって異なるゲームが多く、メーカーやベース機種が同じでない限りは格闘ゲームの様にはいかない。
仮に同じ楽曲が入っていたとしても、楽曲の尺等の関係で全く同じようなプレイが出来るかと言われると不確定な部分がある。
その為、同じメーカーの機種のオリジナル楽曲でない限りは――ほぼ参考になるかどうかは微妙と言える可能性が高い。
ただし、その認識は単独機種オンリーや数機種程度のかけもちをしているプレイヤーだけだろう。
「かけもち機種が2ケタ、それも稼働中の機種を1回ずつプレイするような――そこまでの人物ならば、リアルチートと言えるような第六感を持っている可能性も――」
 木曾は――自分ではあり得ないかもしれないが、10機種以上のかけもちをしているプレイヤーであれば――第六感のような能力に覚醒する可能性があるだろう、と。
ただし、それがARゲームにプラスとして働くかどうかは別問題なのだが。


 同刻、いくつかのARゲームを観戦していたのはアイオワである。
今回は自分もプレイする可能性を踏まえ、インナースーツでアンテナショップ内を歩いている。
アンテナショップ内ではインナースーツを着用しているプレイヤーも多く、特に呼び止められる事はない。
ARゲームを未プレイのゲーマーにとっては、異様な光景と思うかもしれないが――。
その証拠として、インナースーツを着ているプレイヤーの隣にはカジュアルな服装で歩く男性の姿もある位だ。
「パワードミュージックは相変わらず強豪プレイヤーも出てこない。稼働から数週間弱で全てを極めたプレイヤーが出る事が――?」
 その時、アイオワがセンターモニターで目撃した中継、それは天津風あまつかぜいのりの物である。
彼女はパワードミュージックでは天津風とは名乗っていない。しかし、リングネームではなくプレイヤーデータとしては天津風と表示される。
つまり、アニメでよくあるような覆面キャラが視聴者にとっては正体がバレバレであるのと同じ現象が起こっているのだ。
これは周囲が把握していても、公然の秘密としてスルーと言うケースが多い。あるいは、ネタバレ的な要素だろうか?
しかし、パワードミュージックはミステリー要素を暴くようなゲームでもなければ、ストーリーモードの様な物がある訳でもない。
ネタバレと言う概念を気にする方が負けなのかもしれないだろう。ただし、隠し楽曲等に関しては若干のネタバレが生じるのかもしれないが。
【アマツよりも強いプレイヤーは存在する】
【格闘ゲームでも絶対王者は存在するが、彼女の実力ではその領域には達していない】
【リズムゲームの場合は王者と言う言い方もあるが、それ以上にランカーと言う呼び方がメインとなっているだろう】
【しかし、格闘ゲームやFPSであればイースポーツイベントでも王者は出場するが、リズムゲームのランカーはどうやって目撃すればいい?】
【リズムゲームのランカーは、機種によって人数が異なると言ってもいい。数人しか出ていない作品もあれば、百人以上と言う機種もある】
【100人以上? それでは王者が量産されている事になるぞ】
【リズムゲームの場合は、スコアを極めるプレイヤー、譜面のフルコンボ数を増やすプレイヤー、パフォーマンスに特化したプレイヤーと別れている】
【その中でもランカーを探すのは至難の業だ】
 アイオワはつぶやきサイトでアマツに関する記述を探したが、あまり期待していたような内容ではなかった。
しかし、アイオワにとっては強豪プレイヤーを探す為の物差しが分からずじまいだった事もあり、とりあえずは情報としては役に立たない部類ではなかったのである。
途中からは超有名アイドルの話題等がタイムラインを独占していた為、そこはミュートしたのだが。
「アマツ以外にも強豪プレイヤーが――。まずは、動画を検索――っと」
 アイオワはセンターモニターで動画検索をしようとしたが、中継を見ているギャラリーもいる為、自前のARガジェットで調べる事にする。
強豪プレイヤーと言っても、ゲームも始まったばかりなので数人程度――多くても10人いるかいないか。
稼働してから一週間で強豪が量産されるようでは、ゲームの方が簡単すぎると言う認識になるかもしれない。


 中継映像に映し出されている天津風は、他のネームドプレイヤーに苦戦しているように見えていた。
場所は草加駅近辺エリアなのは間違いないが、病院エリア等を避けたコースになっているので、1周回1キロ強のコースが完成している。
ARパルクールで1キロ強は短い方であり、逆に400メートル走や短距離アスリート競技に慣れている人物だと――苦戦が必至だろう。
映し出された場所には居酒屋や小規模店舗も見えるのだが、通行客の邪魔になっているという様子はない。
この辺りは客サイドがARゲームに理解をしているからこそ、このような協力体制が出来ているとも言える。
しかし、ニュースで取り上げられているのはマナー違反やモラルのないプレイヤーによる暴走がメインだが、これを起こしているのが――。
【結局、何処の世界でも超有名アイドルは自分達芸能事務所が唯一の支配者であれば何をしてもいいという――】
【この世界の芸能事務所は第4の壁における芸能事務所の暴走、神格化が――】
 つぶやきサイトの謎のコメントがあったのだが、これらのコメントも文字が途中で識別不能になっており、読む事が出来ない。
あえて読めないようにした訳ではなく、意図的に文字を潰されたとも言える。芸能事務所や関係者が潰したのであれば、全文黒塗りにするはずだ。
後の文章だけ読めなくすると言う手際が悪いような事を、彼らがするのだろうか?
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