挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード3『比叡、出撃へ』

27/137

エピソード3

2017年1月12日付:加筆調整
 4月14日、イースポーツ反対派や賞金制度反対派等と言った勢力は、規模縮小をせざるを得ない状況に追い込まれていた。
アイオワの運動能力を甘く見ていた事もあるが、彼らの過激な発言がアイドル投資家やまとめサイト勢力による超有名アイドルの宣伝に利用されていた事が原因である。
 しかし、その炎上を瞬時にして止めたのがアガートラームの力を持っている明石零あかし・ぜろ、この人物に関する情報はまとめサイトやニュースサイトで報じられる事はなかった。
その理由の一つにアガートラームが伝説上の存在であり、それを再現しようと言う人物がどうなったのかと言う末路が――ネット上の噂もあるが、あくまでもソース不明と言う事で拡散が避けられている。
こうした一連の動きを比叡ひえいアスカは全く気付かなかった。
ネット上のタイムラインは見ていたかもしれないが、それよりも重要な作業をしていたからである。
『西暦2019年4月9日、ARゲームのアンテナショップである作品の情報が解禁された――』
『その作品の名は『パワードミュージック』、名称だけは知っていたユーザーもいたのだが、その詳細が判明したのはこの日である』
『自分も4月1日の段階ではシステム解説を見てもARゲームのソレとは大きく趣向が違っていた』
『システムとしてはARパルクールと言うパルクールにも似た競技にリズムゲーム――要するに音楽ゲームを足した物と言える』
 比叡が自宅に戻って見ていた動画、それはある人物によるパワードミュージックに関するレポートである。
実は、この動画を発見する事になったのは資料を手に入れる為に立ち寄ったアンテナショップ、そこで動画サイトを検索している際、この動画を発見した。
その後、比叡は動画のURLをARガジェットにメモ、それを何度も見ていたのである。
「この動画を投稿した人物、確かビスマルクと――」
 動画を何度か見ている内にビスマルクと言う名前が気になって検索サイトを調べるが、某国の戦艦、その戦艦を擬人化した物、人物名――。
目当てのビスマルクにはたどり着けなかった。アカシックレコードには二つ名を持ったビスマルクが確認できたが、その外見は目当ての人物とはほど遠い。
そこには『鉄血のビスマルク』と記述されていたが、残念ながら彼女とは別人と見るべきだろう。第一、彼女はこの世界には実在しない人物だからだ。
もしかすると、別のビスマルクのコスプレをしている可能性もあるが――探すだけ無駄な時間と言う可能性も否定できない。
「今は、パワードミュージックの詳細を知る方が先かも」
 公式ホームページを見ても、まとめウィキを調べても攻略法が見つからない。
やはり、リズムゲームに一定の攻略法は通じないのか? あるいは攻略法は一つとは限らないのか――。
冷たい麦茶を口にしながら、データ検索を続けるが――その後も有力な攻略法は見つからなかった。
しかし、攻略法とは違うプレイ動画はいくつか発見出来た。それらは大抵がARゲームとは別のリズムゲームである事も多かったが、何らかのヒント位にはなるだろう。
有名実況者はパワードミュージックに手を出していない為か、動画をランキングから検索するのは一苦労だったが。
「大抵の実況者はアクションゲーム等をメインにしている。それはARゲームでも変わらない――」
 実況と言う仕様上でリズムゲームが不向きなのかは分からないが、アクションゲームやFPSの実況動画が多いように思えた。
ARゲームの中には実況を許可しているジャンルも存在し、対戦格闘はその中でも一番盛り上がっていると言えるだろう。
「一体、リズムゲームには何があると言うのか――」
 その他にも動画が発見出来るだろうと考えた比叡だが、先ほど発見出来た位しか動画の方は見つからない。
やはりランキング経由では、発見出来るのはスーパープレイばかりで現状のスキルレベルでは無理なものばかりである。
それも動画のランキング傾向によるところが高いのだが――そして、気が付くと動画の捜索がメインになっていて、本来の目的が出来ないでいたオチが付く。


 4月15日午前10時、比叡は谷塚駅近くのアンテナショップに到着した。その際に持参したのは、ARガジェットと書類のデータを保存したメモリーチップである。
お金の方は小銭単位で1万円は持っているが――ARゲームでコインプレイは相当なこだわりがなければ行わないだろう。
ARゲームはARガジェットを端末にタッチするだけで支払い可能な電子マネーのシステムを導入しており、そちらの方が順番待ちの際にも便利という声がある。
「しかし、電子マネーでもコインプレイでも1プレイが100円と言うのは――某有名アミューズメント施設もビックリだな」
 比叡は改めて値段設定に驚いていた。秋葉原等ではどういう設定なのかは不明だが、草加市内では1プレイ100円でARゲームがプレイ可能だ。
あれだけ大掛かりな物だと、設置している場所代、電気代なども比べ物にならないと思われたが、その回答をしたのはスタッフではなかったのである。
「ARゲームは太陽光パネルを利用したエコシステムを導入している。それだけでなく、ARガジェットそのものにも太陽光充電システムが組み込まれているのだ」
 比叡の隣に姿を見せたのは、提督服に眼帯と言う女性である。その人物を見て、比叡は見覚えがあると思っていたが――大声を出す訳にも行かない事情があった。
彼女の名は木曾きそアスナ、リズムゲームではトップランカーとまでは行かないが、その実力は五本の指に入るほどである。
リズムゲームでの知名度も比較的に高く、ARゲームでの知名度よりも高いと言われるような事もあるが――。
「あなたは、木曾さん――ですよね?」
「ああ。木曾アスナとは自分の事だが」
 比叡が緊張のあまりに固い挨拶だったのに対し、木曾の方は緊張と言う言葉を知らないような感じである。
その後も何気ない会話を2人は続けていた。リズムゲームの事、パワードミュージックの事も話したのだが――。
「偶然と言うのは恐ろしい物だ――」
 2人が遭遇した場面を目撃したのは、アイドル投資家の一人である。服装が投資家と言う雰囲気ではないラフな物なので、顔を知っている人物でないと気づかないだろう。
それに、彼は比叡の方は知っているようだったが、木曾の方は全く情報を仕入れていない人物なので――少し有名な人物程度の知識しかない。
彼は2人がどのような関係の人物なのかは全く知らないので、別のターゲットを探す為に電車で草加駅の方へと向かう事にした。
「デスゲームと言う物がなくても、日本は超有名アイドルの芸能事務所が支配する国家である事は――有名な話と思うがな」
 そして、彼は2人をスルーするかの様に駅のホームへと向かう為にICカードで改札口を通過する。
それを見て追跡をしようとする人物はいなかったが、監視カメラには彼の姿が記録されており、そこで先回りをされてしまうとは――この段階では気づかなかった。
草加市で超有名アイドルの知名度を上昇させる為に行動しようと言う人物は――行動を起こす前に逮捕されるのは、テンプレやご都合主義を超えているのかもしれない。


 同刻、天津風あまつかぜいのりはARガジェットにARアーマーと言う臨戦態勢でフィールドを駆け回っていた。
彼女の走るフィールドは草加駅の構内も使用するフィールドであり、危険性がない事を確認した上で草加市側が許可を出したコースでもある。
さすがに駅の構内と言っても、駅のホームは使用しないタイプのコースだ。今の時間帯ではないが朝の混雑がピークになっているような時には、さすがに市側も許可は出さない。
おそらく、これを許可したのは乗車する客などの人数を踏まえて――という可能性もあった。
そのコースを慣れたような動きで走る姿は、上級プレイヤーと思わせるほどなのだが――天津風自身からすれば、これでも上級者とは言えない。
ARゲーム自体よりも、おそらくはARパルクールやアスリート系ARゲーム自体が初めてなのだろうか?
「リズムゲームのプレイヤーは、よく実力を自慢したがる傾向がある。それに、他の勢力と衝突する事も――」
 色々と思う事はありつつも、天津風はコースを走り抜ける。ARパルクール8の経験はないが、ガジェットの使用するタイミング等は非情に慣れているようだ。
おそらく、天津風も別のARゲームでは経験者と言う可能性が非常に高いと思われる。
「しかし、今は――ゲームに集中するべきか」
 プレイしていた楽曲は、さりげなくだがハッピーハードコアというジャンルのオリジナル楽曲だ。
この楽曲は曲名こそ長すぎて覚えにくいが、『メガダイバー』として一部プレイヤーには人気の楽曲でもある。
楽曲をセレクトしたのは天津風であり、他の並走している相手プレイヤーではない。
相手の方は既に別の曲をプレイ済で、次に回ってきたのが天津風だったのだ。
 この曲のポイントは、ノーツをタッチするタイミングが非常に分かりやすく、リズムゲーム向けに制作されたという部分もある。
逆にリズムゲーム向きではない楽曲も存在し、超有名アイドルの楽曲は一部のアイドル投資家プレイヤーしかプレイしない為、需要としては低い。
そうした楽曲は回転率が悪く、ぶっちゃけて言えばしばらく経てば楽曲後とリストラされるのだが――。
しかし、超有名アイドルの楽曲が消える事はなかったと言う。これが後に大きな騒動の引き金になるとは、この段階で気付く者はいなかったという。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ