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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード2『ビスマルク、始動』

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エピソード2-9

2017年1月11日付:加筆調整

 4月13日午前10時51分、楽曲の長さとしては約2分と言う事で――既に半分は経過しただろうか?
スコアでリードしているのはビスマルクだが、ヒット数を途切れさせていないのはアイオワと言う展開である。
一方のトルネードは慎重すぎる気配がするのだが――稀に大きな動きに出るようだ。
主にアクション的な動きであり、その動きは動画サイト等でも有名なパルクールグループの動きをトレースしたような物を思わせる。
「あの動きは――?」
 アイオワはトルネードの動きに若干の見覚えがありつつも、それを密告しようとは思わなかった。
パワードミュージックも該当するのだが、危険なアクションに関しては禁止としているARゲームが、草加市内では非常に多い。
その理由は怪我人が出ないようにする為――と言うのは表向きであり、ネット炎上防止と言う路線が有力のようだ。
アイオワは下手に慌てれば、自分の動きにもブレが生じると考え――今は自分のプレイに集中する事にする。
下手に動揺すれば八百長プレイを通報されかねない――と言うが、それはネット炎上勢や超有名アイドル投資家が芸能事務所から金をもらう為の資金源としてだ。
「あの動き、見ただけで真似できるのか?」
 トルネードの見せるスピンやバク転を織り交ぜたアクション――そう言った物を簡単に真似できるとは思えない。
ギャラリーも容易にトレースできる物ではないと考えているのだが、一般人から見ても動きを真似出来るとは思えないのは当然だろう。
「さすがに動画の動きをモーションデータにして、ARガジェットに組み込むような技術は――」
 その後でチート技術でもなければ無理だ、と言おうとしたギャラリーに横やりを入れる形で姿を見せたのは、あきつまるだったのである。
「あのアクションを再現できる技術、それに一般的なチートツール検知をすり抜ける事が可能な物――そう言う事ですか」
「お前は、まさか――!」
 迂闊な事をしゃべると、ガーディアンが現れると言うのはネット上でも言われており、いわゆる負けフラグとして伝わっている。
あきつ丸が地獄耳と言う訳ではないのだが、偶然通りかかったと言うべきか。
その後、迂闊な事をしゃべってしまったギャラリーの男性は、あきつ丸とは別のガーディアンによって事情聴取の為に連行された。


 同刻、レースの生中継動画も流れた頃、様々な場所で十人十色という様な反応が見られた。
生中継動画はアンテナショップ以外でもセンターモニターを設置している場所でならば視聴が可能である。
それ以外の場所でも、専用チューナーをレンタルすればテレビに接続して中継動画を見られるのだが、この原理はCS放送のチューナーと同様の物だ。
しかし、大抵はARガジェットで動画を視聴する事が出来る為、ガジェット未所持のギャラリーでもない限りはセンターモニターを利用するケースは少ない。
節電思考だったり、ARガジェットでは別の動画を見ているという様な特殊ケースであれば――。
「ARアーマーとガジェットを組み合わせれば、多少は無茶なアクションも可能になる。元々、この技術も救助活動用に作られていたという話もあるが――」
 アンテナショップからレースを見ていた男性も、ネット上のつぶやきを見て驚きを感じていた。
この人物は、タブレット端末でレースの様子を見ていた男性の一人である。
彼の服装はグレーの背広であり、いかにもサラリーマンを思わせるような印象だ。
「これだけの技術があると言うのに、それで特許等を取ろうとしないとは――何を考えている」
 背広の人物の隣、そこにはブルー系の背広にノーネクタイと言う男性がいた。3人の座っている席の中央にいる人物である。
「Web小説の異世界転生系があふれている現象と同じ事を狙っている可能性もあるかもしれない」
 左側にいる男性は、いかにも野球観戦に行くような法被を着ている。さすがに野球帽はARメットの関係で被っていないのだが。
「この権利を独占する事が出来れば――超有名アイドルを超える億万長者になれるだろう。それも軍事方面で――」
 ノーネクタイの人物が不用意な発言をしたことで、ある人物に目を付けられてしまった。それは、比叡ひえいアスカである。
比叡は既に彼らが違法な取引をしているのでは、と考えてスタッフに通報済みだった。
実際に動いたのはつぶやきのログを確認した後であったが――手回しが良すぎた事には変わりない。
 彼らはスタッフに逮捕される前、抵抗しようと隠し持っていた銃型ARガジェットをスタッフに突きつけるのだが、それには簡単に動じる事はなかった。
その理由は、ARガジェットのトリックをスタッフが既に知っていた事にある。
それを知っている以上、彼らが仮に発砲したとしてもスタッフに被害を加える事は出来ない。
下手に人を傷つけた場合、殺傷の罪で逮捕されるのは目に見えているのだが――それ以上にARガジェットの運用ガイドラインにも引っかかる。
「その行為自体が無駄だと言うのは――分かっているだろう?」
 比叡が銃を突きつけている男性をにらみつけるのだが、向こうは既に腕が震えていて――引き金を引けるような状況ではなかった。
これがARガジェットではなく、本物の銃だったら――と思われるが、そんな事をすれば銃刀法違反で逮捕されるので末路は変わらない。
「人命軽視は今に始まった事ではないだろうが、お前達の様なアイドル投資家の勝手な理由でデスゲームを始められては困る理由が――こちらにはある!」
 その後、比叡が何をしたのかは誰にもわからずじまいだったが――何かの遠距離兵器を使ったようにも思われた。
ただし、そのトリックを見る為にはARバイザー等のARゲームを見る事の出来る環境出ないと無理なのだが。
おそらくは――比叡の考えている事は不明だが、この様子は録画モードにしていない可能性が高い。


 犯人を拘束後、スタッフは比叡の所まで駆け寄った。どうやら、お礼を言いたいらしいが――。
「今はレースの観戦に集中したいので」
 比叡はモニターの方を指さし、今は忙しい事をアピールする。しかし、その指差す先には別の人物も観戦していた。
その人物の外見を見る限り、ARゲームをプレイするような服装ではない。メイド服タイプのインナーもあるかもしれないが――。
「あなたは――?」
 比叡の方を見て、何があったのか――という表情をしていたのはコーヒーを飲んでいたローマである。
彼女もレースを観戦していたのだが、周囲が若干騒がしくなったのでその方角を振り向いたのだ。
そして、比叡の指がローマを指さしているような構図になったのである。
ローマの方も自分が何をしたのか――という表情をしていたのだが。特にローマが驚くような表情はしていない。
「特に用事がある訳ではないので、お気になさらず――」
 比叡の方もローマに対して申し訳なさそうな顔をしつつも、気にしないで欲しいと言うのだが――。
ローマの方もレースに集中したいので、無言で一礼をして画面の方に集中する。
「それにしても、一体何が起きたのか――」
 レースの方が気になりつつも、何が起きたのかは気になっていた。
しかし、自分には特に関係なさそうだろう――と比叡のリアクションから判断する。
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