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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード2『ビスマルク、始動』

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エピソード2-7

2017年1月10日付:加筆調整
 4月13日午前10時39分、レース用フィールドの方では乱入してきたモブ7人とビスマルクもスタンバイ済。
「あのプレイヤーの正体を見極めるつもりが、こうなるとは――」
 そう考えていたのはビスマルクである。それ以外にも、様々な情報が入ってきているが――敢えて口にはしていない。
仮に口へ出したとしても、ARバイザーを被っている事もあって周囲に声が漏れていないが。
それを踏まえると、あのトルネードという人物も同じように声が外部へ漏れないようにしているのかもしれない。
「楽曲の選曲は既に終わっているが――誰かが準備完了していないのか?」
 ビスマルクが周囲を見回しても、特に変わった様子はないようだ。普段のARゲームで行われている時と何ら変化がない。
天気が曇りに変化する事もなければ、緊急で道路舗装班などが出ている事もないので、非常事態は起こっていないと言える。
ARバイザーの方にも続々と準備完了を示すメッセージに変わっている為、準備が終わっていない訳ではないようだが。
『ご来場の皆様へお知らせします。ただいま、スタート直前でシステムエラーを検知いたしました。そのままの状態でお待ちください』
 アナウンスによると、システムエラーを検知した事でレースの開始が遅れているらしい。
『誰だ? チートガジェットを持ちだしたのは?』
『我々は知らない! ガジェットは芸能事務所関係者から受け取った物を使用している』
『芸能事務所――? まさか、A社ではないだろうな』
『会社名は聞いていないが、A社ではないと向こうは答えた』
『それだけでは証明にならない。ちゃんと身分証明書を提示しろ――そう指示したはずだ』
『疑われるのは、明らかに我々だ。トルネードも、おそらくは――』
『何だ、システムが強制的に遮断され――』
 7人のモブプレイヤーのシステムが強制的に遮断、更にはトルネードのシステムも遮断されると思われたが――トルネードは遮断されていない。
つまり、トルネードは不正ガジェットを持っていないという事だろうか?
最終的には7人のモブプレイヤーが強制退場、ガーディアン組織に事情聴取される事となる。
トルネードは、逮捕されていくモブプレイヤーに対して無実だと言う事を言う事もなかった。下手に介入すれば、自分もチートを疑われるからだろうか?
その辺りは不明だが、トルネードの方角にガーディアンが向かう事はなかった。
ガーディアンの詳細は、他の選手に語られる事はない。この辺りは守秘義務という可能性も高いだろう。あるいは、ガーディアン側の事情だろうか?
「あのトルネードと向こうの連中は、利害が一致しただけなのか――あるいは、向こうがタダ乗り便乗という事か」
 ビスマルクは、モブプレイヤーの行動を踏まえると、トルネードと利害の一致で行動したが途中で裏切りにあった――あるいは単にトルネードの名前を利用してタダ乗り便乗をしようとした――と考えている。
しかし、タダ乗り便乗だとしたら――彼らは何が目的だったのか?
トルネードではなく別の地下アイドルを宣伝する為に動いていたのか、あるいは過去に超有名アイドルが行ったコンテンツ流通妨害を行うつもりだったのか?
どちらにしても、今はレースに集中する事を考える事にした。
「アガートラームの件も、今は考えるべきではないだろう。レースに集中しなければ、スコアでも負ける可能性が高い」
 今のビスマルクは集中力を高めるのが重要と考えている。下手な雑音を気にしては――スコアを落とすと考えたのだろう。


 午前10時45分、モブプレイヤーの回収が想定外に早く終了した為、プレイ再開が若干速くなるようだ。
システムの強制遮断でARガジェットが動かなくなり、向こうも打つ手を失ったのが最大の理由だろう。
ARガジェット及びARウェポンは種類によっては殺傷能力ゼロとは言われていても、力を入れて振り回せば振り回した分のダメージは入る。
ARウェポンはまくら投げ位の衝撃とネット上では言及されているのだが、プロの格闘家が使用すれば、それ相応のダメージは避けられない。
実際、AR対戦格闘でアイオワはARウェポンのグローブを装備していた。
パンチの威力はかなりの物だったらしく、プレイヤーが一発でKOする事もザラだったという。
いくらなんでもARアーマーで衝撃を大幅に吸収しているとはいえ、限度と言う物がある。
必要以上の力を入れないでください――とAR対戦格闘ではプレイ前に警告表示が出るのだが、アイオワのパンチの威力はパンチングマシーンでも80キロに満たないのだ。
それなのにアイオワは、AR対戦格闘ではワンパンチ決着が9割に近い。ARガジェット側に不正ツールが使用されている疑惑も疑われたが、不正ではないという結論が出ている。
「今回は――大丈夫だな」
 アイオワは自分のARガジェットを見つめ、同じような事があったとしたら――と懸念している。
モブプレイヤーが回収された際、自分がAR対戦格闘でワンパンチ決着した時の場面がフラッシュバックする。
そして、今までなかったはずの不安が一気に出てきた。あの時は相手が不正ツールを使用していた事が影響しての決着が7割、2割は純粋にワンパンチ決着だった。
「アイオワ――まさか、な」
 ビスマルクはアイオワを見て、何かを気にしていた。ガジェットの形状を見る限り、あのアイオワと同一人物とは考えにくいとの事だが――。
プレイの再開は10時50分、今から5分後と言う事になる。これは、別に行われたマッチング処理等の関係もあるらしい。


 同刻、このレースを別の場所から見ていた人物がいた。草加市と足立区の境目に近いような場所にあるアンテナショップ――。
そこには比叡ひえいアスナも書類を揃える為に姿を見せていたのだが、それとは別にもう一人がセンターモニターに目を向けていた。
身長170センチ位、メイド服に黒髪ツインテール、体格がぽっちゃり――その彼女はテーブルに座り、コーヒーを飲んでいる。
コーヒーに関しては缶コーヒーではなく、コーヒーメーカーで淹れた物であり、200円で飲み放題という値段設定だ。
「――この流れは止まらないのか」
 ローマはメインモニターでテロップとして表示されるニュースにも目を向けている。
【ARゲーム、イースポーツ化へ加速】
 そのニュースの見出しとは、やはりというかイースポーツ化に関する物だった。
スポーツという単語が運動という面に特化しているのは日本だけとも言われている。そう言う流れもあって、ローマがイースポーツ化に否定的だった理由の一つ。
実際、海外ではチェスやビリヤードなども頭脳系のスポーツと認知されている場所もあるのだが――そうした事例をローマが知ったのは、つい最近である。
「ARゲームは確かに運動という面に特化した物も存在する。しかし、あくまでもゲームとしてだ。体感ゲームもゲームと言うカテゴリーである以上、これ以上の細分化は混乱を招きかねない」
 スポーツだけでも複数ジャンルが存在する中、新たなスポーツとしてイースポーツが存在していた事もローマは気づかなかった――と言う訳ではない。
これに関しては単純に情報収集が足りなかったという事と言える。
「どちらにしても、何処かで新規ユーザーを取り込む為にあれこれ考える事は必要と言う事か。一部ファンしか付いてこられなかった超有名アイドルのようなコンテンツは――」
 ローマは頭の中ではイースポーツ化が新規ユーザーの取り込み策としては必要とは分かっていても、すぐに頭の中を切りかえるような事は難しいと感じている。
それだけ、今回のARゲームにおける変化は非常に大きな物だと言えるのかもしれない。
「やってみるか――パワードミュージック」
 とりあえず、このレースを見極めてからでも問題はないだろう――そうローマは思った。
未プレイの上、動画を見ただけと言う状態でパワードミュージックを語るのは、度々小説サイトで批判されているブラウザゲームの二次創作の夢小説等に言えることだろう。
こうした勢力が度々ゲームその物を炎上させた結果、風評被害を受け、更には損害賠償という展開にもなりかねない。
実際、夢小説勢のプレイを禁止している作品やメーカー公認以外の商品化を歓迎しない作品も存在する程、それ程にフジョシや夢小説勢は超有名アイドルファンと同一視されている。
同一視される事で風評被害を受けているのは芸能事務所Aの超有名アイドルファンとアイドル投資家かもしれないが。
「とにかく、レースを一通りチェックしてから――考えよう」
 パンフレットだけでは判断材料が足りない。今ではプレイ動画も少数ではなく、多く存在しているが初期プレイヤーよりも救われている。
パワードミュージックを始めようと言うきっかけを得る為の情報量が多い事――それが情報がなさすぎる時代よりは入りやすいと思われがちだが、全てがそうとも限らない。
逆に情報量の多さでパワードミュージックのプレイに迷うプレイヤーも、徐々に増え始めているとまとめサイトは伝えていた。
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