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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード2『ビスマルク、始動』

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エピソード2-6

2017年1月10日付:加筆調整
 4月13日午前10時38分、今回のアイオワと相手プレイヤーのレースを別角度で見ていた人物がいた。
それは、つい先ほどレースを終了した木曾きそアスナである。
彼女はレース終了後に気になるレースが始まった事をセンターモニターで知り、その相手が――。
「機械仕掛けの神――デウス・エクス・マキナとなり、全ての事象を操るつもりなのか――あの芸能事務所は」
 木曾が吐き気を催しそうなリアクションを見せたのは、アイオワではなく別の対戦相手だった。
そのネームはアンノウンと言う訳でも無名でもなければ名無しでもない。基本的にはARゲームで名無し登録は不可能となっている。
ARガジェットのレンタルであったとしても店舗名とレンタルガジェットである事を示す名前が表示される為、名無しはゲーム的にもあり得ないのだ。
【トルネード】
 相手プレイヤーの名前を見て、木曾は即座に有名芸能事務所のアイドルグループを連想した。
カードゲームで使われているカードであれば、サイクロンのはずだからである。
トルネードを日本語名にすれば――第四の壁を超えた先のアイドルグループ名になるのだが、それはアカシックレコードでも――。
実際にこの世界で言及して、向こうの芸能事務所が訴訟準備を出来るのか――という事もあるのかもしれないが、どうなるのかは不明かもしれない。
「アナグラムとも考えにくいが、そこまで直球の名前を出せば芸能事務所側も黙ってはいないだろう」
 ARゲームではNGのエントリーネームが存在し、下ネタやそれを連想する卑猥な名前、宗教的な問題が発生する名前、他社の商標権に影響する名前は登録時に強制変更される。
逆に、そうした名前出なければグレーゾーンとしてエントリー出来てしまうのは明白だろう。
炎上騒動になりそうな名前を登録できるようにしたのは、運営側のミスなのでは――と指摘するような記事も出てきそうだが、現状では未確認である。
「それを踏まえたとして、彼らは何が目的なのか――」
 木曾は大まかな目的がある程度予測出来たのだが、それを口にしてしまうと周囲に無用な警戒を生み出す恐れがあった。
その為、憶測で物を言うのは危険だと判断し――今回の件に関しては特に言及するのを止める。
下手に言及すれば、何処かで芸能記者やまとめサイト管理人などがARゲームを炎上させる為に記事を書く可能性が高い。
それに、木曾は別の何かに関しても気にしていたのである。それは――。
「しかし、このような事が続けば、いずれは大きな事件に発展する。そうなってからでは遅い事を、炎上勢力は知るだろう」
 今から会場に駆けつける事は時間的にも可能だろう。しかし、別のコースで練習する物がある為か木曾は自分の用事を優先する事にした。
一部勢力が行っている事、それは法律的にはグレーである可能性が高いかもしれないが――明らかなアウトである事を。


 同刻、谷塚駅のアンテナショップより若干離れた足立区に近い位置にある草加市内のアンテナショップ――そこでは予想外の盛り上がりを見せていたのである。
今回のアイオワとトルネードと名乗るプレイヤーのレース、ここでは別の見方で盛り上がっていたのだが、アンテナショップ内は私語厳禁と言う雰囲気が見て取れるほどに静かだ。
実際、アンテナショップは迷惑行為を禁止しているが、周囲に迷惑にならない範囲であれば応援での歓声等は認められている。
それでも静かな事には、一つの理由があった。それは――。
【あのモブ達が余計な事をしなければ――】
【あれがトルネードのやり方だと言うのか?】
【あの某芸能事務所ならば、別のグループを解散に追い込んでいる実績もある。売り物にならなければ、即刻切り捨てだろうな】
【アカシックレコードに書かれていた文書――あれは本当なのか?】
【あくまでも、アカシックレコードはWeb小説にすぎない。フィクションと断りを入れている作品がノンフィクションになるはずがない】
【その例えは二次創作が一次創作に変化するという事があり得ないのと同じ理論か?】
【そうではない。アカシックレコードは、あくまでもコンテンツ流通を阻害している勢力に対する警告――そう受け取られるような文書だ】
【どういうことだ?】
【いずれ分かる。トルネードを騙る――地下アイドルのファンは、後悔する事になるだろうな。風評被害で、芸能事務所Aにご都合主義とも言えるような――】
【レースが間もなく始まるようだ】
 パーテーションで仕切られた個人スペース、そこではタブレット端末でレースの動画を見ている男性が3人いた。
これらのやり取りもつぶやきサイトには載っておらず、鍵付きのコミュニティなどに流しているメッセージだろうか。
アンテナショップでも犯罪を助長するようなログは警察へ提出する等の自衛策はしているが、基本的には――手を出せないでいる。
「あの人物は――」
 偶然、そこを通りかかったのは、必要な書類を探していた比叡ひえいアスカだった。
おそらくは見間違いの部類だろうが――映像にビスマルクが映っていた事に疑問を持っている。
一体、彼女は何をする気なのか――と。


 一方、ネット上ではアイオワに関して妙な噂が飛び交っていた。
彼女が使用したARガジェットに関係する事だが――。
【彼女の使用しているガジェット、おそらくはアガートラームの可能性が――】
 このコメントは途中で文字化けをしていて解読出来なくなっているが、何故に文字化けをしたのかは分からない。
規制対象であればコメントは削除されるか白塗り状態になるはずであり、このような文字化けはあり得ないのだ。
ネット上ではアガートラームと言う単語を見て、一斉にスルーする人物が多い。
しかし、その単語に振り向かざるを得ない人物は確かにいた。
「アガートラーム――アカシックレコードに存在する、ARガジェットの一つ。それが、実在していたのか――」
 今、レースにエントリーして走りだそうとしたビスマルクが、その言葉に反応していた。
何故に反応したのかは分からないが、アカシックレコードに関連して――と言う可能性が高い。
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