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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード1『比叡、エントリー』

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エピソード1-10

>誤字修正
・8月15日午前3時42分付
照明しなくては→証明しなくては

・2017年1月5日付
加筆調整

 4月11日午前10時45分、ボードユニットで該当エリアへ向かっていた長門ながとクリスと木曾きそアスナは、目の前の高家に驚きを隠せなかった。
「これは――どういう事だ?」
 長門が驚くのも無理はない。太陽光パネルに関しての修理の方は全て完了した後、パネルを盗んだ犯人もあっさり判明する。
犯人の逮捕は警察の方が情報を掴んだらしく、指定されたポイントに待ち伏せただけで姿を見せ、そのまま御用となった。
この一件があっさりと判明したのには、一つの理由があった。
アイドル投資家の勢力にはAと言う事務所とBと言う事務所に肩入れする投資家が存在するが、それとは別に他の事務所へ投資する人物もいる。
この犯人に関する情報を通報したのが、Aと言う事務所に投資しているアイドル投資家だったのだ。
あからさまな偽名であるディープスロートまで使って。
そこまでして通報するのには、ライバルを減らす等の理由がありそうだが――。
「犯人は既に逮捕されたみたいだ」
 木曾が該当するニュース記事が掲載されたタブレット端末を見せるのだが、そんな事をしなくても長門がARバイザーでニュース記事を見れば早いはず。
「ガーディアンがここまで早いとは――!?」
 長門は感心するのだが、逮捕したのはガーディアンではない。
ニュース記事をよく読むと捕まえたのは警察らしいのだ。警察の方が早かった理由は定かではなく、ネット上でも憶測情報ばかりが拡散している。
「器物破損、窃盗――どちらも警察案件であり、ガーディアンにとっては越権行為だったという見方も――既にまとめサイト等で書かれている」
「どう考えても早すぎるだろう。一体、何が起こっているのだ?」
 長門も警察が逮捕したにしては手回しが良すぎる事に疑問を抱く。
警察も110番を受けて出動した訳ではなく、ある情報を手に入れた事で動いたらしいという別のまとめサイトによる考察もあった。
「こうなってくると、連中の目的は単純にARゲームコンテンツに対するネット炎上――だけとは限らないか」
 木曾の方もため息をするほどに事件の手回しの速さに驚くしかない。しかし、木曾は肝心な事を忘れている。
「そう言えば、ここに呼ばれた理由は事件の事ではないはずだが――」
「そうだった。ARゲームの順番――」
 長門のツッコミで木曾が我にかえり、ARガジェットを確認する。すると、事件関係で捜査等で遅れると言うお知らせが公式サイトに載っている。
「5分か10分は遅れる覚悟をした方がいいか」
 木曾がARメットを脱ぎ、ひとまず深呼吸をする。
その頃には野次馬が集まっている、ARゲームどころではなくなっていた。
しかし、マスコミや報道機関、テレビ局が来なかったのは不幸中の幸いかもしれない。


 その情報が送られて来たのは午前10時30分、事件が確認されてから5分と言う早いタイミングだった。
それも関係して、いたずら通報と言う可能性を捨てきれなかったのが、ARゲーム運営本部だったのである。
それ以外にも、通報自体を誤報と切り捨てた勢力もいる為、この情報を信じて受け取ったのは金になると思った勢力、有名になろうとした悪目立ちつぶやきユーザー等と言うのも――彼にとっては皮肉な話だろうか?
【私の名はディープスロート――ARゲームの妨害活動を行った一連の事件に関する犯人の情報を知っている】
【今回の事件の犯人、それは2016年年末に解散した超有名アイドルグループ――その解散をなかった事にしようとしている暴走したファンによる凶行に間違いない】
【彼らの行っている事は、我々にとっても風評被害でしかなく――何としても排除する必要性がある】
【しかし、我々が行えば――それこそコンテンツ流通に大損害を生み出し、それこそバブル崩壊に匹敵する冬の時代が来る】
【あの勢力は、言うなれば大量破壊兵器と同然――ネット炎上やコンテンツ流通障害だけでなく、特定の超有名アイドルのみしか認められない暗黒時代――】
【超有名アイドル1グループのみが頂点に立つような時代は、2000年代に終わりを告げているのだ!】
【それさえも信じない――時代に取り残された勢力には分からせないといけない】
【彼らにアイドルグループは解散したという事実だけを分からせればいいのだ】
【虚構と現実を理解出来ない時代に取り残された人種――それを完全駆逐する為に】
 当然のことだが、運営側はディープスロートというあからさまに罠と言えるような偽名に対し――疑問を持っていた。
しかし、送られて来た太陽光パネルを外していた人物の写真、報道機関に送られ高い文章の原版、犯人が所属しているグループの情報――運営側が把握していない情報ばかりである。
だが、この音声メッセージはノイズが多いだけでなく、意図的な工作を行った形跡も確認できた。
だからこそ、彼ら運営は慎重になっていたのである。これが仮に偽情報であり、まとめサイト等のネタにするという目的だとしたら――。
 それでも、悪目立ちしようとした勢力やまとめサイト等が次々と記事を作り、アフィリエイト系まとめサイト等も巻き込んだ結果――大事件を引き起こすきっかけとなったのだ。
悲劇を繰り返す事は、コンテンツの価値を下げるだけでなく――海賊版等の流通を許す可能性でさえ存在している。
「ソースのない情報を信じるとは――何処まで見下げ果てた勢力もいるのか」
 素顔を周囲に見せる事無く、アンテナショップへ向かうメイド服姿の人物――天津風あまつかぜいのりは、今回の件に関して動く必要性を感じなかった。
確かに自分にとって、超有名アイドルは許されない事件を引き起こした元凶であり、諸悪の根源とも言えるのだが――。
「しかし、この煽り方はアカシックレコードを悪用する勢力の可能性も否定できないか」
 天津風は更に別の勢力が関係している事で、動こうとも考えるのだが――やはり彼女は動けない。
自分がこの力を得た理由、それはARゲームのトラブルやネット炎上等を止める為の力を求めた為である。
しかし、今回はARゲームが関わっているとはいえ――その内容は窃盗事件であり、自分が出るのはお門違いと考えていた。


 ディープスロートと名乗った人物、彼はARゲームの運営だけでなく複数の勢力に声をかけていたのだ。
ガーディアン組織、反超有名アイドル勢力、マスコミやまとめサイトの管理人にまで。
その為、ソース探しを徹底した勢力、情報の真偽を後回しにして犯人を捕まえようとした勢力等で対応が二分した結果――。
「これが全ての序章――コンテンツ業界を揺るがせる事件の幕開けだと言うの?」
 ARゲームをプレイする前の為、メイド服姿だった飛龍丸ひりゅうまる。服のデザインは似ているのだが、天津風とはカラーリングが異なる。
どのように異なるのかは不明だが、天津風が飛龍丸のコスプレをしているような物と考えれば――と言う可能性もあるだろう。
「まさか、今からARゲームを始めようというタイミングで――」
 彼女はアンテナショップで別のARゲームをプレイする為、着替えに訪れたアンテナショップでディープスロートの動画の存在を知った。
その他の勢力がソース探しをしていたころなので、午前10時35分ごろか?
「この情報の広まっている大元を見つけないと――」
 仕方がないので、飛龍丸はカバンからARガジェットを取り出し、そこからネットに繋いで情報を調べ始める。
しかし、このタイミングでは既に遅かったのは飛龍丸は気づかなかった。


 午後1時、一連の太陽光パネル事件が報道されたのは埼玉県内のローカルニュースや関東地方の一部エリアのみにとどまった。
ARゲーム運営側が報道規制をした訳ではなく、犯人の正体的な部分もあったからである。
『逮捕されたのは、いずれも16歳の――』
 アナウンサーは未成年の少年少女のグループによる犯行だったと伝えていたのだ。
これから分かる事は、少年犯罪の助長を防ぐ建前が存在する一方で――。
「ARゲームの――それもインナースーツ使用型は18歳からでないと使用できないはず」
「それに、高校生以下ではスーツに耐えられないという実験結果も報告されていた中で――このような事件が起こるとは」
「彼らの目的はARゲームの年齢制限の緩和だ。一部ジャンルでは年齢制限はないに等しいが――」
「我々としては、無闇にネット炎上を煽るようなコンテンツを生み出す気はないと――他のコンテンツを扱う企業に分かって欲しいと言うのに」
「ARインナースーツ及びARウェポンが及ぼす危険性と少年犯罪を結び付けようと言うマスコミ――どう考えても、超有名アイドルの芸能事務所に依存したコンテンツを生み出した結果だろう」
「結局、彼らは政府とも手を組んで超有名アイドルコンテンツで世界征服をしようとでも企んでいるのだろう?」
「世界征服は関係ないだろう! そうしたいい加減な体勢が一連の事件を繰り返させるのが分からないのか?」
 草加駅近くにある某ビル――そこではARゲームに関係する様々な報告を聞いていたのだが、一連の太陽光パネル事件は幹部にも伝わっていた。
その為、彼らは改めて今回のARゲームを立案した関係者に対し、クレーム処理を依頼していたのだが――。
「こちらとしても、事件は全て把握しています。しかし、優先的に行わなければいけない作業がある中で、芸能事務所の一件に集中するのは自滅行為でしょう」
 会議室の幹部に対し、唯一強気だったのはパワードミュージックの企画原案を担当した、身長159センチの巨乳女性である。
それ以外にも黒髪のツインテール、メガネ、ARゲーム用のインナースーツを隠す為の上着を着用していた。
「パワードミュージック、確かにチートや不正対策に関しては他のARゲームよりも一歩リードしているのは認めよう。しかし、フジョシや一部勢力を締め出すような姿勢が認められるとは――」
 幹部側もパワードミュージックに一定の評価はしている。
しかし、それでも他のARゲーム以上にガイドラインが厳しい事には、自分達の利益的な事を踏まえても肝心出来る事ではない――と釘をさす。
他の幹部も別勢力をゴリ押しや強引な手段で排除する事に関しては賛成できない。それは周囲の空気を見れば分かる事だ。
彼らは、マスコミなどに叩かれないような方法で、一部コンテンツ事業者等の暴走を止めたいのである。
それが都合のよすぎることと言うのは知っているが――。
「確かにどの勢力でも争いをする事なくプレイ出来る環境――それが重要なのは分かっています」
 メガネの彼女は幹部からの視線を逸らす事無く、怯む事無く立っている。
他の開発者はパイプ椅子に座っている人物もいると言うのに。
「それが分かっていて、何故プレイヤー制限をかける?」
 ある幹部の質問に対し、彼女はこう答えた。
「まとめサイトにARゲームのありもしない事を書かれ、ネット炎上した件は消える事のない傷になっています。だからこそ、傷を加える元凶になった勢力には責任を取ってもらう――そう言う事です」
 その後、幹部達は質問をする事も出来ず、黙り込むしかできなかった。
一部の人間は挙手をして意見を出すのだが、彼女に対する質問が出る事はなかったのである。
「これ以上、有意義となるような意見が出ないのであれば――」
 10分後には、彼女も別の用事がある為に会議室を退室――ビルを後にしたのである。
彼女の方は勝手に退室したわけではなく、ちゃんと会議室の出入り口にいた受付の人物に許可を取っていた。
「ARゲームを守る為にも――不可侵領域が存在する事を証明しなくてはいけない。その舞台が、パワードミュージックなのよ」
 彼女の名は大和朱音やまと・あかね、これでも20歳と言うARゲームに関係するスタッフの中では一番若い人物でもあった。
彼女の技術力などをもってしても、ネットが100%炎上しないようにする事は不可能に近い。
それこそ、魔法の世界――あるいはご都合主義の世界とも言えるだろう。
だからこそ、限りなく炎上件数0へ近づける為の準備を行う必要性があった。
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