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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-18

2017年2月24日付:加筆調整、サブタイトル修正
午後4時、遂にレースは始まった。それと同時に曲が流れるのだが――イントロは特に何もないように思える。
何ないというよりは、逆に言えば『拍子抜け』とも感じられるほどだ。
「一斉に飛び出した割にはフライングがないというのは――」
「そう言う競技ではない。あくまでもリズムゲームがメインシステムである以上、そう言ったルールはないのだろう」
「リズムゲームでフライングって、ネットワークマッチングのラグじゃないんだからな――」
「リズムゲームで重要なのは不正プレイだけだ。1回の不正プレイが――人生を狂わせることだってある」
「陸上競技で薬物が問題視されたように、ARゲームでもチートや不正行為を告発出来れば――」
「それをもみ消そうとしたのは――芸能事務所じゃないのか?」
 観客は、さまざまな事を思いつつもレースの行く末を見ていた。
勝者は誰なのか――気になるのは、そこだけである。外の雑音やネット炎上等はどうでもいい――今は、このレースを楽しむべきなのだ。
そうした雑音が求めるのは、『構って欲しい』事なのだ。それを商売として利用しようとした週刊誌やまとめサイトは――規制されるべきと言う声も多い。
最終的に、そうした勢力が埼玉県で活動不能になるのは――このレースが終わってからの事だが、それを語るのは今のタイミングとは違う。


 最初に動きを見せたのは、目の前に現れた連続する白いオブジェクトをブーメランで破壊していくリベッチオだった。
それ以外のメンバーにも同様のオブジェクトが出現するが、他の3人はテンポよく破壊したり、オブジェクトその物にタッチしたり――。
アクションは人それぞれだが、間違いなく個性と言う物を感じ取れた。ゲームによっては攻略本片手の様なプレイもあるのだが、それでは面白くない。
ARゲームに求められるのは十人十色のプレイスタイルなのかもしれないだろう。仮にクリアと言うゴールは同じでも、プレイが同じでは――。
「焦った?」
 リベッチオは、自分でも予想もしない様なオブジェクトの出現に慌てており、その場で連続して破壊してしまったのである。
これがアクションゲームやシューティングであれば、ハイスコアやコンボボーナスなどもあるだろうが――これはリズムゲーム。
リズムを無視したオブジェクト破壊はミス扱いになるのは――他の3名も分かっており、リベッチオ自身も分かっていた。
だからこそ、今のニアミスとも言えるプレイは致命的と言わざるを得ない。
「序盤のミスならば――後から取り戻せばいい。今は――自分の持てる力を――」
 ARバイザーのマップに表示される矢印を頼りに進んでいき、迷子になるような気配はないのだが――それでも先ほどのミスが影響して、判断が鈍っていた。
ミスを長期的に引っ張れば全体的に失敗プレイへ繋がる事は――他の競技等でも一緒である。
「捨てプレイ等と言う――無気力プレイは出来ない。そんな事をすれば、八百長と言われる――」
 リベッチオは覚悟を決めた。そして、彼女はあるシステムを起動する為のパスワードを左腕のタブレットに入力する。
このシステムは出来る事ならば使いたくはない。それによって、あっさりとクリアできてしまっては面白くもないだろう。
《マキシマムシステム》
 マキシマムシステム、それは別のARゲームで言う所のブーストに該当する。
リズムゲームにブーストと言う概念が必要なのかは不明だが、ARパルクールのシステムも使っている為、こうした移動速度上昇系アビリティ等は重宝しているのだろう。
リベッチオが金色に輝きだしたりはしないが、ある意味でも加速装置を使用したかのようなスピードで指示されたコースを通過していく。


 リベッチオのミスプレイを目撃したヴェールヌイも、同じような状況になりつつあった。
楽曲が聞こえにくい状況は――彼女にとっても不利である。
本来であればARバイザーに搭載されたスピーカーから聞こえるはずなのに、ボリュームの調整をミスしたのか?
「また超有名アイドル勢力の妨害行為なのか――」
 ヴェールヌイが疑い出したのは、超有名アイドル勢による妨害行為である。
しかし、このコースは大和朱音やまと・あかねが設定した物であり、それこそ尚更あり得ない。
仮に大和が超有名アイドル投資家等に情報を売り渡したと考えれば――と思ったが、彼女の性格からしてあり得ないことと切り捨てた。
「何でもかんでも超有名アイドルの仕業と考える――こうした考えも、やがて悪と思われてしまう」
 次の瞬間、何を思ったかヴェールヌイはバックパックの一部カバーをパージしたのである。
自分のメンテナンス不備だとしたら、この考えに至った事が恥ずかしい。そして、彼女は切り札を使う事になった。
パージ後のカバーはCG演出の様に消滅した為、このカバー自体がダミーと言う可能性は高いが――。
「ならば、自分は自分が信じたARゲームをプレイするだけだ!」
 カバーの外れた箇所から展開されたのは透明のエネルギーチューブであり、そこから青色に変化していく。
そして、エネルギーのチャージされたチューブは彼女の持っているロングソード型ガジェットと直結、フルパワー状態に変化した。
その後、ガジェットのクリスタル部分が青く輝きだす。この光は今まで彼女が使う事がなかった禁忌の力――アカシックレコードのフルアクセス。
フルアクセス後は楽曲が聞こえにくい状態は解消された。おそらく、ヴェールヌイの何らかの迷いが聞こえにくい状況を生み出したのかもしれないが。
リベッチオとは違い、ヴェールヌイはホバー移動ではなく自分の足で走っている。この状況はアイオワも同じだった。


 2人に共通していたのは、経験の違いでもある。
ヴェールヌイもリベッチオもパワードミュージック時代にはプレイ回数はトップランカーとは大きく異なっていた。
その為、ビスマルクとアイオワにある経験の差を何とかしようと考えたのが――譜面研究で動画サイトを使う事。
これによって、譜面のパターンを理解する事は出来たのだが――実際にプレイした訳ではないので、見るのとプレイするのでは違う現象が起きている。
リベッチオは序盤のミスが影響、ヴェールヌイは途中でのスタミナ切れが影響し、集中力が途切れた結果としてオブジェクトを対処する能力が削られていった。
完走こそは果たしたものの、2人の疲労は頂点に達したと言ってもいい。
リアルでダンスを行うリズムゲームを複数回プレイしたかのようなカロリー消費をしていたのを知ったのは、ゴールしてからの話であるが。
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