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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-13

2017年2月20日付:加筆調整、サブタイトル修正

 午後2時45分、急ではあるが――リベッチオと比叡ひえいアスカのバトルが組まれる事になった。
「ゲームのジャンル指定は、そちらに任せる。リズムゲームでもいいし、エキシビション風味に別ジャンルでも構わない」
 リベッチオは頭を冷やし、ブーメランの方も既に収納している。
しかし、一時的な感情とは言え――自分が言ってしまった事に関して、反省はしているようだ。
「こちらとしても、リズムゲームプラスパルクールで対戦したとしても――と思う」
 そして、比叡がガジェットの端末をタッチやスライドを駆使して検索、その結果で見つけたのは――。
【ARアスリート】
 まさかと言えるジャンルに驚いたのは、リベッチオの方だった。
ARアスリートとは、さまざまな競技をクリアしていく物である。過去には超人スポーツ的なゲームやアニメもあったが――。
ARゲームでジャンル化できないのはネタバレが致命的となるジャンルだけ――とは良く言った物だが。
「競技は3本勝負と行きたいが、1本勝負にする。体力的な問題もあるからな」
 比叡の方はやる気である。確かにジャンルは任せると言ったが、自分もプレイ経験のないゲームが選択されるとは。
自分に有利過ぎるARゲームを選択しても、それでは逆に炎上しかねない懸念もある。それを踏まえて、選んだというのもあったのだが。
比叡の方も全ジャンルのARゲームをプレイした訳でも、完全把握している訳でもない。そこまで完璧なゲーマーがいれば、会ってみたい物である。
「その前にチュートリアルをプレイしてもいいか?」
「それは構わない。こちらとしても、未プレイの人間を倒したとしても――面白くない。それ以前に、観客が望んでいない」
 比叡は当たり障りのないような発言をする。まるで、リベッチオの表情を見て話をしているかのようだ。
周囲の観客も、比叡の言う事も一理あると言う事で――未プレイのプレイヤーを倒すのは逆に初心者狩りみたいに扱われる可能性もある。


 プレイする競技に関しては複数あり、走り幅跳び、走り高跳び、障害物競走、100メートル走等が存在する。
当然だがARガジェットの使用はチートや不正改造の物でなければ問題はない。記録の方も一般的な陸上競技よりは――タイムも早い記録が多い現状もある。
しかし、こうした記録は公式競技や陸上の世界選手権などで言及される事は一切なかった。当然と言えば当然の話だが。
【ARアスリートの記録をプロの陸上選手が破れるか――という挑戦をスポーツバラエティー番組がやった事があるのを思い出した】
【その結果は?】
【100メートル走で10秒弱――世界記録に並ばないが、陸上未経験者が出したという事で驚いていたようだ】
【結局、プロのアスリートには勝てなかったようだが――参加したプレイヤーがアマチュアであり、ランカーが参戦したら変わっていただろう】
【ランカーがテレビに非協力的だったのも、あの結果になった理由だが】
【宣伝活動が制限と言うか、禁止されていた時代だ。今は違う】
【それに、プロアスリートに近い体格の人物であればアイオワがいるだろう】
 リベッチオが100メートル走のチュートリアルをプレイしている間、ネット上では色々なタイムラインが流れていた。
【果たして、実況者がプロランカーに勝てるのか?】
【凄腕のランカーであれば、100メートル走でも8秒は出せると言う話だ】
【8秒? 世界記録更新レベルじゃないのか!?】
【それだけ、ARガジェットの補助が優秀と言う事だろうな】
【太陽光をエネルギー源にしてるとは思えない。一体、どれだけのパワーが出せるのか?】
【パワーを出そうと思えば、それこそバーベル上げ等のパワー競技でもプロアスリート顔負けの記録が出るだろう】
【ARゲームを国際スポーツ大会の種目にしようという動きがあったのは――】
【おそらく、日本政府もARガジェットの有用性に気付いたのかもしれない】
 リベッチオの走りは100メートル走で11秒台である。初見プレイとしては、まずまずの結果だ。
何回かこなしていけば、10秒を切れる所までは行くだろう。実際、実況者の中には9秒台前半を叩きだしたプレイヤーもいる。
下手にチートを使って5秒台とか4秒台を出したとしても、それこそSFアニメの話と笑われるのが落ちだろうが。


 プレイする競技は100メートル走に決まった。そして、比叡はARアーマーを軽装バージョンに変更した。
「ゲームによってARガジェットやカスタマイズを変えるのは、特に反則ではない」
「それ位、こっちだって分かってる」
「100メートル走は、基本的に直線を走るだけだ。飛行は反則として判定される。羽根は外した方が――」
「これは、単純に翼として運用する以外にも使い道がある」
 リベッチオは比叡の忠告を無視して、ウイングを展開する。
ただし、飛行システムはガジェット側でロックされた為、飛ぶ事は出来ない。
100メートル走で空を飛ぶのは――と言うのもあるのだろう。


 100メートル走が始まる前に、別のアナウンスが流れ始めた。
『この道路は、これからARアスリートの専用フィールドになります。自動車等の通行は出来なくなりますので、迂回をお願いいたします――』
 まさかのアナウンスにリベッチオは驚いた。何と、ARゲームで道路を丸ごと使用すると言うのである。
ARゲームでゲーム専用フィールドがあるのは知っているが、それ以外に実際の国道を使用するとは。
ただし、救急車や消防車に代表される緊急車両等が通る場合はARゲームの方がプレイ中断と言う事になる為、その辺りの優先度は配慮されている。
暴走族等に関しては入りこまないシステムも構築されているが、警備上の理由でこの辺りは非公開とされているのだが。
「これがARゲーム本当の醍醐味だ。覚えていておいて損はない」
 比叡の方は既に準備が出来ている。リベッチオの方は、緊張をしているようでもあるが。
「これがARゲーム――なのか?」
 リベッチオの慌てる様子を見て、過去にも同じような事があったと比叡は思った。
比叡がARゲームに足を踏み入れた理由――それを考えると、あの時のように暴走したのはなぜなのか?
「中途半端な覚悟が――いつの間にか、ARゲームを荒らす勢力と同じように捉えられる事になったのか」
 発言の重要性、ランカーとしての振る舞い、マナーを守ったプレイ――ARゲームに求められる物は、そんなに難しい物ではない。
説明書をチェックしてからプレイすれば、どれも守っているからこそ楽しめる要素も多いのも事実だ。
もしかすると、比叡はある程度同じジャンルでプレイ感覚を覚えていたからこそ、落とし穴にはまったのかもしれない。
結局、自分はARゲームでのわずかな勝利で天狗にでもなっていたのだろう。
その結果としてネット炎上勢力に間接的だが加担する事になり――あの惨劇を招いた。それは、おそらく消える事はなくアカシックレコードにも刻まれる。
「ARゲームはWEB小説にあるようなデスゲームとは違う――だったな」
 リベッチオがARメットのバイザー部分をオープンし、素顔を見せた状態で比叡に話しかけた。
その一言を聞いて、比叡は何故か涙を流し始めた。どうして――それを見落としてしまったのか。
デスゲームと言う単語やネット上での意味に縛られ過ぎた事が、彼女を追い詰めていた可能性も高いのだが――。
「何処で、踏み外したのだろうな――改めて」
 比叡はARメットのバイザーを展開し、手で涙を拭く。その後、改めてバイザーを閉めた。
「お楽しみは――これからってことね!」
 リベッチオが天に突き上げた右腕――その手の指をパチンと鳴らし、観客を盛り上げようとしていた。
それに反応し、観客の方も歓声を上げる。その観客の中には、ガーディアンのメンバーも何人か確認出来た。
その目的はそれぞれだが、フーリガンの取り締まり等が主な目的だろう。
「これだけ盛り上がっていれば、問題はないか」
「後は妨害をしようと言う勢力を探すだけだな」
 一部のガーディアンは、別会場でも確認出来た妨害をしようという勢力をさがしていた。
しかし、先ほどの狙撃犯の様な人物は見つけられない。
逆に言えば、妨害をする事が逆にコンテンツ業界をクールダウンさせてしまうと気づいた可能性も高いが――。
「ネット炎上――それで稼ごうとするノウハウが規制でもされない限りは――」
 一連のやりとりをネット中継で見ていたのは、覆面姿のヴィザールだった。彼は何処へ向かおうとしていたのか?
しかし、彼を見て指を指す人物はいないし、ガーディアンが不審者として捕まえるような気配もない。
それだけ草加市はコスプレ文化やオタク文化にも理解を示しているのだろう。だからこそ、ARゲームが成立している――そう彼は考える。
ネット炎上で稼ごうと言うのは、一部の悪目立ち勢力や――それこそ時代劇の悪代官に代表されるような連中、アウトローの勢力だろう。
そうした勢力を斬り捨て御免と言わんばかりに取り締まっていたガーディアンも、比叡の宣言によって弱体化した。
保護主義的な時代は――既に終わっているのである。今度は――別の方法でARゲームを悪用しようとする勢力を取り締まるターンだ。
「こちらとしても、強行手段を取らせるような事が起きない事を祈るが――ラグナロクのような、あの悪夢は二度と起きて欲しくない」
 ヴィザールもまた、比叡等と同じくネット炎上の悲劇を多く目撃した人物のようだ。
しかし、彼の言うネット炎上の規模は――比叡のソレとは比べ物にならない可能性は高いかもしれない。
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