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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-7

2017年2月15日:加筆調整、サブタイトル修正

 午前12時50分、各会場の予選結果が出揃った。
しかし――唯一結果が出ていないのは、比叡ひえいアスカとゴーストデータであるウォースパイトのレースが行われる事になった、あの会場のみである。
【上位ランカーの方は予想出来ていたが、まさかの展開だったな】
【木曾、日向、アイオワは予想出来ていたが――長門の方が来るとは】
【天津風もリザーバー枠だ。他の結果待ちで状況が変化する】
【それよりも、リベッチオとヴェールヌイの会場は――失格者続出と言う事になったようだ】
【参加者中6人が失格処分、その内の4人が例の不正アプリか】
【残り2人もチェックを通過する為の旧式チップを使っていたとは――】
【いまどき旧式チップが効果があったとは思えない】
 上位戦の方には若干の波乱があった。何と、長門ながとクリスが決勝に残ったというのだ。
ブロック決勝に残った4名は、午後から行われるレースで2名に絞られる。それは他の会場も同じなのだが――。
【2名しか残っていないブロックがある以上、これはどうするべきなのか?】
【別の会場の方も島風とビスマルクで確定らしい。どうやら、あちらは別のアクシデントがあったらしいが】
 竹ノ塚の会場では12位のプレイヤーも勝利したのだが、こちらはチートガジェットではなくシステムのエラーでレース続行が不能になっていた。
ゲームのプレイに支障をきたすクラスのシステムエラーに関しては、レース中には発生はずがないのに――。
しかし、起こってしまった物は仕方がない。該当プレイヤーが棄権と言う扱いとなり、最終的には島風朱音しまかぜ・あかねとビスマルクが勝ち残ると言う事になった。
これに関しては周囲も納得がいかない結果なのだが、それでも一部プレイヤーによるチートガジェットや妨害行為が原因で結果の取り消しもあり得たのである。
盛り上がってきた流れに水を差す訳には――と思っての対応が、まさかの後手に回ることだってあると言う証拠なのかもしれない。
「一部のプレイヤーが起こした迷惑行為でレースその物が中止になるのは――」
 本来ならば勝ち残るはずだった男性プレイヤーは、今回の件に関して結果の取り消しをしないで欲しいと運営に頼み込む。
「確かに――あの原因を作ったのは、一部のチートプレイヤーに責任がある。その1プレイだけでレースその物をなかった事にするのは、こちらとしても本望ではない」
 ビスマルクの方は無条件でトーナメントに進めるのだが――運営側のレースその物を取り消し、くじ引きでビスマルクと島風がトーナメントに進出と言う事で書類を通そうとしたらしい。
それで通したとしても根本的な解決にはならない為、アクシデントの一件は運営に伝えるべきだとも言及した。
「分かりました。運営側には、そう伝えておきます」
 最終的にスタッフの方もビスマルクの話を理解し、アクシデントの一件を伝える事にした。
これによって、ネット上がちょっとした炎上騒ぎになるのでは――と一部では懸念されているが、そこまでは発展しないようである。


 午後1時、会場の移動を指示されたのは島風とビスマルクだった。
向かう場所は谷塚駅近辺のアンテナショップと言う事で、リベッチオとヴェールヌイが向かっている場所でもある。
本来であれば、比叡及びローマも移動指示が入るのだが――こちらはレース中でもあった。
一足先にローマは会場移動をするべき気配もしたが、あえてレースを見届ける事に――。
【フリースターズ】
 楽曲に関しては、敢えての指定楽曲である。
本来であれば楽曲は運営による指定なのだが、こちらに限っては比叡の要望もある為に楽曲は比叡の指定した楽曲になる。
何故に比叡がこの楽曲を指定したのかは分からないのだが――。
【この楽曲は、どのカテゴリーだ?】
【ヴォーカル曲ではないような気がする】
【会場が盛り上がっているから、メジャー曲のように思えるが】
【違うな。逆に超有名アイドルの楽曲ではないと言う事に対する反応かもしれない】
【マイナー楽曲と言う訳ではないようだが、CD流通?】
【CDランキングや音楽番組では見かけない。パワードミュージック時代からのオリジナル曲か?】
【オリジナル曲と言われれば、そうかもしれないが――どちらかと言うと、移植曲だな】
 ネット上では楽曲の発表があってから、まさかの盛り上がりを会場で見せていた。
しかし、この盛り上がりに関してネットでは判断しづらいという流れの様である。
「まさか、この楽曲を選択するとは――」
 コンビニ前で休憩をしている明石零あかし・ぜろは、ARスーツも解除して昼食を取っていた。
お昼と言っても、簡単な物なのでチョココロネ等の菓子パンとサイダーなのだが。
「これは別の意味でも宿命と言うべきなのか、あるいは――」
 明石はこの楽曲については聞き覚えがあった。
実機では聞いた事がないのだが、アカシックレコードには該当する動画が公開されている為――そこから聞く事は可能である。
実は、この楽曲はとあるフリーゲームが由来となっている楽曲なのだが、その詳細はアカシックレコードで事情を知った者でも、あまり話したがらない。
その事情が、まるでネタバレの正体なのでは――と疑われるほどにはネット上でも疑問視されている。
しかし、一連の事件に関係したネタバレの正体が判明した今では、それを疑う事はないだろう。
後に、この楽曲は複数のリズムゲームに収録され、それはパワードミュージックも例外ではなかった。
この楽曲を作曲した人物は、現在では複数のリズムゲームでオリジナル楽曲を提供するまでになっている程の知名度を持つ。
「WEB小説の投稿者が、商業小説でデビューするのと同じ事――それをリズムゲームで実現させるまでになったのが、あのフリーゲームとは」
 明石は色々と思い出を語るかのような表情で比叡のレースをタブレット端末で観戦する。
そして、明石はこの楽曲が選ばれたのも何かの運命を感じる――と思い始めた。


 比叡とウォースパイトのレースは、別の意味では出来レースなどとも言われそうな気配がする。
しかし、比叡の動きはそれを感じさせない――華麗なリズムを奏でていた。
それを見た周囲の観客からは手拍子が鳴り響くほどである。まるで、フィギュアスケートを思わせるような気配だ。
ウォースパイトの動きは、比叡のソレと同じというか互角に近い。
比叡自身のゴーストデータを使用しているので、それは当然と言われれば当然である。
「これが、比叡アスカの成長と言う事か――」
 トップランカーと言われる程の実力を持つ、木曾きそアスナもセンターモニターでレースの観戦をしていた。
そして、彼女の動きを見たことで飛躍的とまではいかないが、確実に成長している事を感じ取っている。
ゴーストのデータは過去のデータにすぎない。それを上回る程の技術を――彼女は短期間で習得していたのだ。
その成長速度はARゲームから見ればリアルチートと言う風に言われるかもしれないが、彼女はリズムゲームのプレイ経験もある。
別のゲームをプレイした事があるのならば――ARゲームだけをプレイするプレイヤーよりも、若干の揺らぎや差が出るのは当然なのかもしれない。
「このレースを出来レースや八百長と言う言葉で片付けるような勢力こそ、反ARゲーム勢力やスピーチ勢力と――」
 木曾は、あえて特定の単語を出せばSNSで炎上すると思い、途中で言葉を止める。
しかし、これだけの物を見せつけるような実力者がネット上でチートと叩かれる事自体、ネット上を荒らそうと言う炎上勢力と同類かもしれない。
「結果がどうあれ、このレースは一部勢力の便乗宣伝に悪用される可能性が――否定できないか」
 ガーディアンの人物と思われる軍服姿の男性が、比叡のレースを見定めてつぶやく。
彼は比叡が失敗した場合には『超有名アイドルの楽曲が日本で唯一無二の神曲』とプロパガンダに利用し、逆に成功した場合には――。
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