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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード1『比叡、エントリー』

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エピソード1-6

12月31日付:若干加筆
 4月10日午前11時37分、比叡ひえいアスカは別の部屋へ通された。
先ほどの男性スタッフではなく、今度は女性スタッフが同行している。
別の部屋は、何かの実験室的な光景だが――さすがに人体実験をする訳ではない。
周囲に置かれているコンテナを見る限り、ARゲームに関する部屋なのは間違いないが。
「ARガジェットだけではゲームは出来ません。特にアクション系はARアーマーが義務化されていますので――」
 他にも女性スタッフは色々と話していたが、専門用語に関しては分からない物が多いので比叡は聞き流していた。
しばらくして、個室の試着部屋に案内されたのだが――中に入るとお店にあるような試着室と変わりがない。
ここで何をするのかは分からないが、女性スタッフが案内している以上は試着関係と言うのは把握している。
「ここでは、こちらの動作テストをしていただく事になっていますが――」
 どうやら、試着ではないらしい。手渡されたガジェットを受け取り、画面に表示されたボタンを押すと自分の周囲が光に包まれた。
数秒後には黒いインナースーツ姿になっていたが、どんな構造なのかは比叡には分かっていない。
しかし、これに深いツッコミを入れるのも無粋な事なのだろう――と判断した。おそらく、それが正解なのだろう。
印象としてはSFアニメにあるような瞬間装着のイメージが近いだろうか?
「これがARスーツ――」
 実際はインナースーツだけでなく、アーマーも装着するのでスーツとは若干違うかもしれないが。
比叡は瞬時にスーツが装着されただけで驚いている一方で、これから起こる出来事について行けるのか――若干不安になっていた。


 午前11時50分、草加駅前には別のARゲームが展開されていた。ジャンル的にはダンスバトルと言うべきだろうか。
このARゲームは賞金制度は対象外だが、そこそこの人気があるようでギャラリーの方も50人~100人の範囲で集まっている。
身長170センチ位、メイド服に黒髪ツインテールと言う外見に注目を浴びそうな気配もするが――彼女は体格がぽっちゃりと言う事もあり、あえてスルーという可能性もある。
しかし、周囲からぽっちゃりだと言う事でスルーされたとしても――それを気にして激怒するような表情は見せなかった。性格がマイペースだからだろうか?
メイド服と言う割には動きが凄かったというのもあり、ギャラリーの注目を浴びた可能性は高い。
「ARゲームのイースポーツ化は加速していくか――」
 彼女の名はローマ。しかし、それが本名でないのは有名な話でもある。
カタカナで有名過ぎるネームはネーム被りも多く、ARゲームでも例外ではなかった。
そうした事情で、誰もローマと言う名前には突っ込まないのかもしれないが。
【賞金制度の影響でチートや不正が減る事を祈りたい】
【あからさまに不正をしようと言うプレイヤーは出るのか?】
【ARゲーム自体が18歳以上でないとプレイ出来ないような環境に近い。そこまで警戒する必要はないと思うが】
【賞金と言っても、税金で持って行かれるのだろう?】
【ガイドラインを見ていたら、予想外の記述があったぞ】
【簡単に説明するならば、賞金額が低い代わりに税金が免除されるとの事だ】
 ローマはARガジェットではなく、手持ちのスマートフォンでつぶやきサイトのタイムラインを見ていた。
イースポーツとは色々な意味で差別化を図ろうとしているのか、あるいはARゲーム独自の賞金制度を作ろうと言う努力があるのか――その詳細は分からない。
「どちらにしても、ARゲームを取り巻く環境は変わっていく。それは、もう過去の形へ戻らないという意思表示なのか」
 ローマは遠目で見ていたARゲームの結果も気になるが、それよりもお昼を食べようとお店を徒歩で探し始めている。
リズムゲームの方のスコアは、そこそこと言える物だが――ランカーには程遠く、スコアで注目を浴びる事はなかった。
しかし、ローマはヲタクゲーマーやプロゲーマーの様なカテゴリーの人物ではなく、このスコアでもさほど驚かれないのは別の理由がある可能性も高い。


 午前12時、お昼のニュースではトップニュースに国際スポーツ競技大会の件を取り上げると思われたが――。
『ニュースの時間です。本日、超有名アイドルグループに所属する新人グループのCDが初日でファイブミリオンを――』
 男性のニュースキャスターが伝えたニュースは、ネット上でも予想外とするような話題である。
アイドルの新曲がシングル売り上げ初日500万枚突破と言う物だが――どう考えても国営のニュースでやるような物ではない。
この手のニュースはバラエティー化したワイドショー、アイドルファンを呼び込む為の視聴率稼ぎに利用するテレビ局のやるようなことだ。
一体、何が起きていると言うのか? それを知る事が出来る手段は存在しない。
おそらくは過去にあったような超有名アイドルの行う事に疑問を抱いてはいけない――あるいは超有名アイドルの言う事は絶対とするディストピア――そうした可能性もあった。
しかし、アカシックレコードでも過去に事例があったとはしても、今回の様な明らかに不信感をあおるようなニュースを大きく取り上げる事はないだろう。
つまり――スポーツ競技大会の中止に関して、超有名アイドル絡みという取り上げ方をしないようにと言う指示があった結果、ニュースその物をなかった事にしているのかもしれない。
事実は変わらないというのに、マスコミは何をしているのか?
「結局、国際スポーツ競技大会のスポンサーに超有名アイドルが絡んでいたのは間違いないのか――」
 ファストフード店のテーブル、そこにはトレーにやきそばパンとベーコンピザトースト、ホットコーヒーが乗っている。
1人用の席に座ってスマートフォンのワンセグを視聴していたのは、身長187センチ、黒髪のセミロングに黒眼の女性だった。
しかし、彼女の服のセンスは皆無と言ってもよく、ミニスカートに胸の谷間も隠すようなワイシャツを上着として身に付けている。
貧乳なので、胸の谷間を強調出来る訳ではないのだが――彼女は巨尻であった。バランスが悪い訳ではないので、3サイズは普通だとしても――。
なお、服に関しては別のファストファッション店で購入し、それに着替えているのだが――センスが良くなったとは言えないのは、宿命なのかもしれない。
「ARゲームの存在を抹消しようという存在が、意図的にニュースを差し替えているのか」
 長門ながとクリスは、報道されているニュースに関してアフィリエイト系まとめサイト等が差し替えている可能性を示唆する。
しかし、国営のテレビ局がネットイナゴやフーリガン、アイドル投資家等を利用してコンテンツ炎上を行う勢力――アフィリエイト系まとめサイトに力を貸すのだろうか?
あるいは報道バラエティー系で超有名アイドルの特集ばかりを組むのは、特定グループのステマなのでは――。
色々と探す事はあったのだが、今は食事の方が先だろう。
「深く考えても、エンドレスになるだけか」
 今は昼時である。せっかくの食事も冷めてしまう可能性もあり、食事に集中する事にした。
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