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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-2

2017年2月12日付:加筆調整
 谷塚駅付近、25位~32位までのメンバーが集まる会場では、今にもスタートしようという雰囲気になっていた。
ここで注目されたプレイヤーは、31位のヴェールヌイである。
彼女は過去にも別のARゲームでランカーに並ぶ実力があった――と判明した為だろう。
【このメンバーだと、ぱっとしない】
【ヴェールヌイが圧勝したとして、それ以外の1名で誰が残るのか――】
【25位のプレイヤー、実力はあるのだが――どう考えても20位よりも上にいそうな気配はする】
【やはり、順位操作の工作か】
【工作をやったとしても、それで有利にレースが進められるとは限らない】
 そして、最初に行われるのは下位4人である32位、31位、30位、29位のレースから。
それに対して先に上位4人のレースを行った方がいいという意見まで出るほどだが――これに関しては覆らない。
あくまでも下位4人と上位4人と言う組み合わせで予選を行う事は、既に運営側で決めた事らしいのだ。
人気プレイヤーだけ走らせて、他はおざなりという対応になる事を防ぐ意味合いがあるのだろうか?


 29位と30位のプレイヤーは重装備タイプではなく、スタンダードタイプのARアーマーを装着している。
タイプ的には汎用アーマーに独自カスタマイズをした物と言ってもいい。しかし、ヴェールヌイには遠く及ばないだろう。
「なんて事だ――。まさか、あのヴェールヌイが参戦していたとは」
「こっちも同意見だ。妨害をしてリタイヤを誘発したとしても――それではライセンス凍結も避けられない」
「どうする? 棄権するか?」
「それは――さすがにお断りだ」
 29位と30位のプレイヤーは、そんな事を事前に話していた。
さすがに談合となると反則行為になるのだが――実際は、ここで知り合ったばかりと言う可能性もある。
物によっては、こうした選手同士のレース前における接触を禁止している競技もあるが――ARゲームでは、そこまで制限がある訳ではない。
スパイと言う要素が絡むようなジャンルでは、さすがに制限を賭ける可能性は高いのだが。
『それでは、ルールに関して説明します――』
 スタートラインに4人のプレイヤーが揃った事で、ルール解説のアナウンスが流れる。
声としては男性スタッフのようだが、アンテナショップの店員が兼任する訳ではなく大会の方は独自でスタッフが招集されているようだ。
『ルールは1曲勝負、楽曲はこちらが指定した物をプレイする形となります』
『なお、使用ガジェットに制限はありませんが、チートの部類や不正ガジェットの使用は発覚次第に失格処分となります』
『ハプニングの類が想定されるのは、こちらも承知しております――』
『地震等の不測の事態により大会の運営に支障が出ると判断された場合、大会を中断する場合がありますので予めご了承ください』
『お客様にお願いがあります。プレイヤーに対する妨害、大会の運営を妨害する行為は強制退場となります。ご注意ください』
 プレイヤーに対するルール説明よりも、周囲のギャラリーに対する注意の方がメインのように見えたのは気のせいだろうか?
ギャラリーの数は多くはないのだが、レースが始まる前よりは増えている傾向がある。
有名プレイヤーが集まる場所では大混雑とまではいかないが、かなりの人数が集まっている情報も――。
「ARゲームといえども万能ではない――それを改めて証明させるような注意にも聞こえる」
 周囲の様子を見ながら、ARメットを展開していたのはリベッチオである。
彼女のARアーマーは天使と思わせるようなガジェットにアーマー、翼をブーメランに出来るような箇所――。
リベッチオ独自カスタマイズと言われると、若干他人に引っ張られたような気配も見えた。
翼のブーメランは飛龍丸ひりゅうまるも使っているガジェットである。敢えてこの装備を使用しているのか、それとも動画で研究済みなのか――?
「ルールが若干変わったとはいえ、複雑化した部分の簡略化がメイン――初プレイでも何とかなるか」
 既にARメットを装着していたヴェールヌイは、以前に使用していたソード型を今回のバージョンアップでも引き続き使用している。
しかし、ソード型の場合は色々と修正が入っているという話もネット上で聞かれるが、中には意図的な嘘を拡散するケースもある為、アンテナショップの変更ガイドをさらりと見た程度だ。
対戦格闘ゲームではダイヤグラムと言う物が存在し、有利不利が起きないように調整されていると言う。
実際、9対1で有利という組み合わせも20年以上前の格闘ゲームには存在したほどだ。現在は、そこまで極端な割合ではないようだが。


 その中継をセンターモニターではなく、ARバイザーでチェックしていた人物は――周囲の状況を見回し始めていた。
いつの間にか囲まれたような様子ではない。おそらくは――中継をチェックしていた際に隙を突かれたのだろう。
しかし、彼女がそれに気づかないわけがない。相手が悪いと言わざるを得ないのだ。
「さて――ここからが、全ての本番と言う事か。こっちも準備に大変だったけど――ね!」
 パチンと指を鳴らしながら中継エリアの映像を確認していたのは、明石零あかし・ぜろだった。
彼女は順位が32位以内ではなかったのと、プレイ規定数が満たなかった為のエントリー対象外だったのである。
一定の回数を条件に入れたのは、サブアカウント勢や不正行為のプレイヤーを参加できないようにする為だろう。
他にも32位以内に入りこめなかった有名プレイヤーは何人かいるようだが――。
「見せてもらうよ――それぞれの覚悟を。ARゲームに情熱をささげてきた、君達の演奏を」
 まるで何かの結末を知っているような表情で、明石はARガジェットを起動し始めた。
彼女の持っているガジェットは、ARゲーム専用と言うよりは――別の用途をもっていそうな気配もする。
アカシックレコードEの技術とは限らないようだが――ショップでは見かけない形状か?
「アイオワが使用していたアガートラームは、さすがにレースでは使えないという事で拝借してきたが――真剣勝負に水を差す連中もいるのか」
 彼女の使用しているガジェットの正体、それはアイオワから拝借してきたアガートラームだった。形状は汎用的な小型タブレットにも見えるが。
装着された明石のARアーマーは飛龍丸ひりゅうまると同系統、むしろ蒼龍丸そうりゅうまると言えるようなデザインをしていた。
それを知らないで飛龍丸と勘違いし、彼女を狙ってくるのは――。
「ARゲームプレイヤーの夢小説やフジョシ向け――むしろ、こちらとしては言及したくないが、ナマモノを扱うとは――タダ乗り便乗としても、やり過ぎとは思わないのかな」
 襲ってきたのは夢小説勢とフジョシ勢。しかし、アガートラームを持った明石の敵ではなく、あっという間にガジェットを無力化される。
明石がブーメランを使うまでもなく、アガートラームによる格闘戦だけで沈黙させられるとは――相手側も思ってみないだろう。
彼女が使用している物はアイオワの使用した大型ナックルではなく、同じナックルでもカイザーナックルが近いだろうか。
次々と明石は相手プレイヤーを再起不能にしていくのだが、ワンパンチ決着になる事に声が震える事もあった。
それ程に破壊力が高い――と言うよりも、弱点をピンポイントで突いていると言った方が早いだろうか。
「馬鹿な――事が――!?」
 彼女達が使用していたのがチートガジェットと言うのもあるが、それ以上にアガートラームには解析不可能なブラックボックスもあった。
しかし、それを見破れるような隙を明石が与える訳はなく、かませ犬にも劣るような勢力は何の活躍もすることなく、ガーディアンに確保される事となる。
連中の言っている事も支離滅裂な事ばかりなのだが、それ程にアガートラームと言う力におびえているのだろう。
「アガートラームは、元々貴様たちも使っているだろう? それがブーメランしていると言えば――おのずと分かるだろう」
 アガートラームはチートキラーという側面を持っているが――チートプレイヤーとの対決以外では、この攻撃力は発動しない。
つまり、正規のガジェットで戦えばこのパワーが発揮される事はないはず。
それを知らないで挑んだ一部勢力は――文字通りの自業自得だった。
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