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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード11『強豪が集いしゲームフィールド』

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エピソード11-6

2017年2月9日付:加筆調整

 6月1日、ARゲーム運営サイドはある提言を芸能事務所側に提案していた。
簡略化してネットユーザーに説明すると――。
『我々としても事件が大規模化し、クールジャパンも風評被害達成できないようでは水の泡となる。そこで、ARゲームで決着を付けよう』
 こういう事である。どうやら、ARゲームで芸能事務所側のアイドルとバトルをしようとしたらしい。
しかし、条件面で折り合わずに交渉決裂となった。勝利すれば一部に関する項目は黙認すると言う条件があったはずなのに――。
芸能事務所側はテレビ中継やCM、それ以外の宣伝を含めて提示したようだが、テレビ中継とCM以外は却下された。
ARゲームが過剰なTV露出を好まないタイプなのは、事務所側も知っているはずなのに。
別の芸能事務所に持ちかけず、芸能事務所AとBの2社をピンポイントで交渉したのは――向こう側にも何か意図があるのだろう。
この事実はテレビでは、あまり報道されていないし――週刊誌の反応もいまいちだった。
彼らとしては絶対悪のような勢力を、圧倒的な力で打ち倒すという構図を望んでいたのだから。
それこそ、WEB小説のチート主人公が敵を次々と倒していくような展開等にもつながる。
「まさかの展開と言うべきなのか――」
 ガーディアンの一人は、今回の芸能事務所サイドの行動に不信感を持っている。
今までの事を考えれば、当然と言えば当然だろうが――。
「これを大抵の人物は罠と考えるのが圧倒だろう。今までの行動を踏まえれば」
 別のガーディアンも、同じような事を考えている。一体、彼らは何を考えているのか?


 6月5日、あの事件から1週間は経過しただろうか?
その後もテレビのワイドショー等では、様々なニュースを報道しており、今まで芸能事務所側が情報を改ざんしていた反動が――ダイレクトに反映されているのかもしれない。
今まで情報が流れてこなかったのは芸能事務所側の工作があったのでは――と言われているが、詳細はネタバレと言う名の情報規制で真実が隠されている。
今更ネタバレと言う単語が飛び交うのも問題はあるのだが、それが芸能事務所側の今までやってきた事と関係がないとは言えないのだ。
『芸能事務所Aが自分達のアイドルを売り込む為に、ここまでの事をしていたとは驚きです』
 テレビのコメンテーターらしき男性も、今までやってきた事のリストをスタジオのフリップで確認し、驚きのコメントをする。
書かれている物だけでも、漫画作品の実写化に自分達のアイドルを起用するように契約を迫る、海外映画の吹き替えでも同様な事が行われており、炎上した作品が数本あった。
吹き替えを話題の芸能人に任せ、炎上マーケティングにするような手段も――残念ながら規制される事はない。
さすがに規制するのは自由なマーケットではなくなる――という事らしいのだが、どう考えても芸能事務所側が自分達のアイドルを売り出す為の手段を奪われるのを懸念していたのは火を見るよりも明らかだ。
それ以外でもネット炎上サイトの管理人を利用し、自分達以外のアイドルの不祥事を利用して炎上させ、グループを解散だけではなく黒歴史にするという物もあり――そのやり口は、まさに吐き気を催す邪悪と言える。
【遂に芸能事務所2社による影の政治支配も終わるか?】
【海外でも似たような事件が表面化したという話を過去に目撃した事があるが――】
【芸能事務所は、自分達が地球の創造神とでも思っていたのか?】
【まるで、戦国時代よりも前のやり口だな】
【ネットと言う武器を手にした芸能事務所は、自分達のアイドルを賢者の石とする為に様々な物を犠牲にすると言うが――他社のコンテンツを生贄に自分達だけが無限の利益を――】
【こうした悪目立ち勢力等がいる限り――歴史は繰り返される。大量破壊兵器を使わずとも、ネットを炎上させるほどの大ニュースを拡散すれば、自分が支配者にもなれると勘違いしているのだろうな】
【何時まで、我々は同じようなループ物を繰り返せないいのか?】
【ネット上のWEB小説では、異世界転生や異世界転移等が流行していると聞く。つまり、手を変え品を変え――】
【さすがに、そこまではないだろう。超有名アイドルとしては自分達の二次創作小説が出回って風評被害を受ける方が――】
 さまざまなつぶやきがネット上に流れるが、それでも芸能事務所AとBが倒産しても同じ事は繰り返すという意見は一致していた。
結局は今までの失敗さえも黒歴史として扱わず、自分たちこそがコンテンツ業界の頂点に立つと目立とうとする存在が――と言う繰り返し。
この世界線を断ち切る為に、どのような手を使うべきなのか――ARゲーム運営も手探り状態なのである。
「芸能事務所の壊滅の時間の問題――後は、政府とのつながりの有無を見極めるべきか」
 無表情な顔でテレビを見ていたのは、あの時に神と名乗る人物を倒したローマである。
彼女はメイド服を着ているのだが、何時もの表情ではない。俗にいう無気力状態だろうか。
「神と名乗る人物――考えて見れば、彼がネット上で目立つ為に意図的に名乗った可能性もあって、本当にネタバレを広めた犯人と限らないのに」
 無気力と言っても、やる事が全くないという事ではない。ARゲームも楽しんでいるし、他にもやる事は増えた。
たまにコスプレ写真を使用すると言う事で撮影に応じ、その姿はネット上でも話題になっている。
「ARゲームを純粋に楽しむ――か」
 ARゲームを純粋に楽しむ為にも違和感を感じるような環境であってはいけない――その思いはローマにもあるだろう。
ゲーム環境を正常にする為に提案された、あの人物のガイドライン修正の影響は、思わぬ所にあったのかもしれない。


 この状況は、日向ひゅうがイオナにとっては都合がよかった。
超有名アイドルの芸能事務所と言う絶対悪、それを倒すべくARゲーム運営が立ち上がる――。
日向は、そうしたシナリオを一番望んでいたのだから。ある意味でも必要悪と言う存在だ。
彼女としては、ARゲームのルールさえも破るような手段で勝ったとしても、達成感はない。
不正ツールやチートを使って勝利したとしても、それは芸能事務所側がやってきた行為と全く変わらないだろう。
だからこそ、比叡ひえいアスカの提案したガイドライン変更等は彼女にとっても有利に働く――はずだった。
「ARゲームの存在を潰そうとさえした芸能事務所――彼らの行為が許されるはずはないだろう。道を開けろ!」
 日向は谷塚駅より少し歩いた場所にあるARゲームのアンテナショップへ向かうはずだったが、その道中を遮った人物に対して道を開けるように指示する。
しかし、目の前にいるコスプレイヤーが道を開けるリアクションはしない。それどころか、彼女はARガジェットを起動してフィールドを展開しようとも考えていた。
デカリボンに金髪のセミロング――露出度の高そうなコスプレと言う人物、周囲のギャラリーの中にはARガジェットで写真を撮っている行動も――。
そこまでの現象が起こる人物は、彼女しかいないだろう。島風朱音しまかぜ・あかねである。
「ここから先は通さない! 復讐と言う感情でARゲームをプレイすれば――」
 島風の方はフィールドの起動に関して躊躇しているようにも見えた。
その証拠として、ガジェットのモニターがフィールド起動画面のままでYESを押していないからである。
「こちらとしても、そうした感情を爆発させて芸能事務所爆発とか行えば――それこそテロリスト認定されるだろう」
「だからと言って――ARゲームで復讐劇なんて――」
「そう言うシナリオの方が、一部ユーザーには反応がいいのは知っているだろう? 島風――」
「シナリオと言うのはWEB小説勢の事?」
 島風は日向の言う事に対し、まさか――と考えた。
彼女もアカシックレコードを知っている可能性があるのでは、と。
「自分達の身近にいそうな悪に対し、自分の代わりに討伐する正義のヒーローと言う構図を望んでいる――テレビでも、そう言ったバラエティーがあるのではないか?」
「それは第4の壁の話でしょ? フィクションの出来事を現実の世界に持ち込むのは――」
「第4の壁と言うよりは、アカシックレコードEと言うべきか」
「アカシックレコードEって、まさか?」
 日向の口から飛び出したのは、アカシックレコードEである。
第4の壁以上に想像を絶する存在――それが、アカシックレコードEだった。
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