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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード10『決戦前夜!』

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エピソード10-10

2017年2月7日付:加筆調整
 午後4時、比叡ひえいアスカは――まだ落ち込んでいる状態にあった。
その理由は自分が一連のネット炎上に肩入れをしていたという事実――そこにある。
気が付けば、一部のネット炎上勢力に反応した事が理由で炎上勢力一掃を宣言し、更には襲撃者事件や他の事件を含めて関わっていた。
その他にも一部ネット勢力の掃討などにも加担し、事実上の手駒として利用された格好である。
彼女自身、一連の事件に加担してしまった事に対して落ち込んでいるだけであれば――深刻な表情はしていないだろう。
「何処で――こうなってしまったのか」
 比叡が深刻化しているのには別の理由もある。それが、アカシックレコードEに関する事だ。
一部の人物がEの領域へ近づこうとしたが到達できていない。それは、明石零あかし・ぜろも同じ状況である。
「ウェースパイト――その正体が、アカシックレコードEだったのか」
 ウォースパイト、それを手に入れたのはある情報を検索していた時だった。
ある種の偶然で手に入れ、その力は想像を絶する存在――チートに近い存在だったのである。
しかし、それはチートとは判定されず、ARゲームでは正常のデータとして認識されていた。
「あるいは、ウォースパイトは将来起こるであろう事件を想定したデータだったのか」
 現状でも最新と言われるようなARガジェットを所持するプレイヤーでさえ、ハンデを付けても勝てる――それ程の能力を持っていたのだ。
他のプレイヤーからはチート呼ばわりされる為に――俗にいう公式チートと同然だった。
一部のARゲームではバランスブレイカーと言う物も存在するのだが、それとウォースパイトは全く違っていた。
何故かと言うと、このデータはARアバターと言う存在なのだが――ARアバターはARゲームで使われている気配がない。


 その正体が主人公属性なのか――と言われると、その答えはNOである。
【ARゲームに主人公属性などない。ARゲームでは誰でも主人公になれる】
【だからこそ、超有名アイドル等の露骨な宣伝を禁止にしていたのか】
【それこそフェアではない――そう言う事だな】
【超有名アイドルの芸能事務所は、デウス・エクス・マキナ――それよりも上の存在になろうとした】
【それこそ、自分の思う通りに世界を操れる――と】
 つぶやきサイトでもARゲームに主人公はいないという意見が多い。
これは、既にガイドラインに記載されており、逆に言えば――それを知らないでARゲームをプレイしていたという事は説明書を読まずにクレームを付けるユーザーと同じ原理だ。
ARゲームで得られる力は全てが自分の思うように出来るような物ではない。あくまでも、ARゲームはみんなで楽しくプレイする物であり――特定の個人が独占していい物でもない。
「これが、ガイドライン――」
 比叡はタブレット端末でARゲームのガイドラインを見ていた。
理由として、今回の一件がライセンス停止に当たるのか調べる為でもあったのだが――。
「自分も関係がありそうな部分しか見ていなかったけど、こんな事が――」
 そこに書かれていた文を見て、比叡の腕は震えていた。
超有名アイドルによる宣伝禁止等の理由がネット炎上を防ぐ為の目的だけだと思われていたのだが、更に別の理由もあったからである。
それに加えて、数多くのガイドラインを見て――自由があるように見えて、実は彼らが想定しているであろう自由は違っていたのかもしれない。
その認識の違いこそが、一連のネット炎上の原因となった。
確かに不正ガジェットや違法なチートを使うのは許される事ではない。
しかし、その辺りの禁止行為はガイドラインにも書かれており、それを知らないで使用していたのは明らかな認識ミスである。
一部のチートクラスなガジェットや武装もチートと認識されており、それを知らずに使えば彼らもチート使いと言う事になるだろう。
「何としても、運営の認識を変えさせないと」
 そこで比叡は――今まで頼ろうとしなかった声を頼ろうと、つぶやきサイトへと書き込みをする。
【ARゲームの現実は超有名アイドルが使用する事を想定している手段を封じるために――他のゲームでは認められている行為でさえも禁止されている現実がある】
【だからこそ、ARゲームの未来を変えようと考えているのであれば――意見を聞かせて欲しい。その声を運営本部へ届け、本当にルール厳守を考えているのであれば、ガイドラインを改めて欲しい――と】
 この書き込みは瞬時に拡散していき、ARゲームをプレイするユーザーの目に留まることとなった。


 午後5時、ネット上ではARゲームに改善を求める提案が次々と送られていた。
これはウイルスの類と言う訳でも、F5連打の様な迷惑行為に該当する物でもない。
【ARガジェットの種類を増やすべき】
【ジャンルが思ったほど少ないので、緩和をするべきである】
【初期投資が負担になるので、もう少し軽くして欲しい】
【施設の増加を求む】
【24時間は無理でも、プレイ出来る時間を増やして欲しい】
 単純に意見が多いのは、この辺りだ。
ガジェットの種類はカスタマイズ用素体を増やすという意味、カスタマイズ済で種類を増やして欲しいという意見がある。
【ネット炎上がするようなシステムでないのは理解できるが、ガイドラインが恐ろしい程に厳しい】
【ネット炎上の項目が、説明書の途中で書かれているが――明らかに読むのを放棄するような仕組みなのが――】
【明らかに説明書を見るのを放棄しそうなガイドラインは――明らかに罠だ】
【あの説明書を読まなければ分からない部分もあり、不親切すぎる部分があるのは事実】
【これが超有名アイドル勢力を一掃する為に仕組んだ事であれば、コンテンツ炎上は起こるべくして起きた物ではないのか?】
 こちらも説明書の内容を見た上で、反応している意見だ。
説明書を簡略化し、それを解説するウィキサイトもあるのだが――それはARゲーム運営の非公認サイトに当たる。
こうした行為をARゲーム運営側は禁止していない一方で、外部ツールや不正プログラム等の配布が行われる事もあって一部ジャンルでは禁止にしている事がある。
【プレイヤーのプライバシー保護のレベルが異常としか言えない】
【一部フジョシの暴走によるBL化等を防ぐという目的もあるが――】
【プレイヤー同士の交流が重要なジャンルもある以上、ARゲームでもプレイヤーの交流はあってしかるべき】
 この辺りも、今までARゲームでは一部ジャンルで解放されている部分のあった要素である。
しかし、FPS系やTPS系、一部アクションゲーム系限定解放のみであり、ライバルシステムのあるリムズゲーム等では何故か交流と言う概念がなかったと言う。
この他にも多数の意見が投稿され、サーバーはパンク寸前になっていた。
その状況を利用し、一部勢力がハッキングを仕掛けてくるとも考える人物がいた。
それは意外な事に日向ひゅうがイオナだった。
「一部勢力の暴走で、ARゲームその物が終了するのは――」
 今までも日向はチートハンターだけでなく、ARゲームを守る為に動いていた。
しかし、過度な干渉等は時としてライセンス凍結と言ったペナルティ等に直結し、彼女の行動は何時しか過激派と同類と見られるようになる。
それを踏まえると、実は比叡の行っていた事も同じなのではないか――と思われるのだが、これは日向と比叡では行動のレベルが違う事だろうか。


 午後7時、特に想定されていた非常事態は発生しなかった。
ニュースを放送しているテレビ局でもARゲームを大きく取り上げなかった事が理由の一つかもしれない。
【テレビ局が不思議とARゲーム運営側に協力的だったのは、どういう事だ?】
【協力的と言うよりは、視聴率が取れるニュースではなかったという判断をしたのだろう】
【結局、テレビ局は金で動くと言う事か。アニメを放送していたあのテレビ局以外は――】
【明日にでもワイドショーが取り上げる可能性は高い】
【そんな短時間に解決できる事案ではない。もう少し時間を置く必要性がある】
【それに、ゴールデンウィーク中と言う事もあってARゲームで満員状態のジャンルもある以上――】
【仮に対応できたとしてもゴールデンウィーク後か】
 ネット上のつぶやきでは、テレビ局がARゲームの話題に触れなかった事についての言及があった。
実際は別のニュースを放送していて、ARゲームを取り上げる暇がなかったという認識のようだが。
「これで良かったのか――アカシックレコードEの一件を含めて」
 比叡は自室で見ていたのはアニメの再放送である。
ニュースには一切興味を示さず、パソコンでつぶやきサイトの記事で追っていたにすぎない。
そして、様々な意見を受けて運営も改善をする必要性があると公式サイトで発表したのは、午後8時ごろである。
その際は速報レベルとして、例のガイドラインを改善し、それ以外でもユーザーが希望している物を実装するとも言及したと言う。


 これにより、1人のARゲームとは無関係な人物による不用意な発言を巡るネット炎上は、一応の決着を付けることとなる。
最終的に怪我人等を出さずに決着で来た事を奇跡と言う人物もいるのだが、精神的にネットを断とうとした人物もいる事を踏まえれば、被害は甚大だったと言えるだろう。
結局、一人の悪目立ちによる発言が日本全土を巻き込んでのネット炎上――コンテンツ流通の根底を覆すような事件を起こすとは、誰も予想していなかったのかもしれない。
今回のネット炎上で脚光を浴びる事になったアカシックレコードと言う単語も、ネット上で引き続き言及される事にはなるが――ピーク時よりはアクセス数も減っている。
熱しやすくも冷めやすい――ネット炎上でしか注目されないようなコンテンツでは、今後のコンテンツ流通を生き残れないという事を実証する機会にもなった。
「こうした事案が繰り返されれば、規制法案が考えられる可能性も高いだろう」
 大和朱音やまと・あかねは一連の事件が繰り返されれば、規制法案が国会に提出される可能性も否定できない。
ネット炎上は、ある意味でも戦争と同義と明言するまとめサイトも出ている為、このままでは――と思う。
その一方で、ARゲームに関する誹謗中傷等をテレビ番組風にMAD動画としてアップロードするネット炎上勢力もいたのだが、こうした勢力は違法動画のアップロードを行ったとして逮捕される。
中には未成年もいたらしいのだが、それらも問答無用で実名報道された――というのはネット警察が警察とは別に勝手な行動を行い、自分達が正義と主張する為だろう。
結局、こうした法律さえも逆に自分達の目立つ為に使われる『ツール』となっている以上、ARゲームにおける保護主義的な過剰なガイドラインも改訂すべき――という声が上がるのも無理はない。


 それから2週間後には、ARゲームの構造改革が本格的に始まったのである。
超有名アイドルの様な露骨なメディア展開は行わないものの、未だに観光客の足は途絶えない――そんな街並み。
『リズムゲームプラスパルクール』とタイトルを改めたパワードミュージック、それが再始動しようとしていた。
それは草加市側の意向があったのか、それともARゲームのランカー勢が関係していたのか、それはまだ分からない。
今度こそ、悪質なネット炎上が発生しない事を――ファンは願っているだろう。
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