挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード10『決戦前夜!』

105/137

エピソード10-9

2017年2月7日付:加筆調整
 5月4日、更なる衝撃的なニュースがワイドショー経由で伝えられた。
『アイドルメンバーの一人が、芸能事務所のスタッフにネット炎上を指示していた事が判明しました』
 ガーディアン等も想定していないような、衝撃の走るような展開である。
芸能事務所の名称は言及されなかったが、アイドルグループのメンバーがネット炎上を指示していた――。
この事実だけでも衝撃だと言うのに、ネット上では更に衝撃的なニュースが拡散されている。
【一部の非BL作品をBL化させる勢力が動く。WEB小説サイトでランキング無双も?】
 これはまとめサイトの記事タイトルだが、これが1億総超有名アイドルファン化計画とも言及されるような記事内容の為、どう転んでもアフィリエイト狙いと見破られた。
ガーディアンもこのまとめサイトはスルーし、一般ユーザーがテレビ局へ情報提供した位なので――お察しと言えるのだが。
しかし、実況者や歌い手等の夢小説も小説専門のWEBサイトでランクインしている状況は、どう考えてもコンテンツ流通として正しい物とは思えない。
自分の考えと言うかカップリングの拡散は、もはや――と言えるだろう。
なお、この詳細に関しても第4の壁の先で同じ事が行われている関係もある為、詳細は省く。
「芸能事務所のスタッフがネタバレを利用して、ネットのコンテンツ炎上を――とは考えにくい。あなたの意見は、我々の想定を凌駕している」
 この結論は一般人であれば、誰もが思う事である。
ライバルつぶしとして卑怯な手や犯罪スレスレのグレーゾーンへ手を出す事も容易な連中が、ネタバレを利用するのか――と。
これは運営スタッフの人物の代表が発した言葉だが、他のメンバーも同意見だ。
この状況下で、運営本部の会議室を使って行うような重要案件なのか――周囲の誰もが思う。
「ヴェールヌイと言う名前、アカシックレコードには記述があったのです。彼女は偽名を使って、一連の超有名アイドル騒動を利用し――ネット炎上が戦争にも匹敵する悲劇を生み出すと、警告しようとした」
 白衣の下にはARインナースーツ、それに眼鏡を賭けていたのは大和朱音やまと・あかねである。
今回は彼女以外にも木曾きそアスナと長門ながとクリスにも参考人として、この会議室に姿を見せていた。
木曾は相変わらずの黒マントに眼帯という特徴的な姿をしているが――黒マントの下はメイド服の為、それを隠す為だろうか。
「古代ARゲームでも、さまざまな原因が重なって大きな災いに発展した結果――人類滅亡の一歩手前になったという」
 龍にも似たようなヒーローのマスクをしている男性スタッフが言及するが、会議参加者は古代ARゲームこそフィクションだと反論し始める。
一方で、古代ARゲームが学校の必修科目であるような記述は嘘である――と言う案件に関しても、一部参加者から発言があった。
「古代ARゲームこそ、フィクションだと言うのは芸能事務所も言っていただろう。それを悪用し、さまざまな事件を起こしたのもご存知でしょう!」
「超有名アイドルが海外人気を得ようとして、今回の炎上事件を発案した――とは考えにくい」
「アイドルグループも次々と卒業しているように思えますが、あれらは全てトカゲのしっぽ切り――」
「証拠は、どこにある? 芸能事務所が政府に裏金を渡している事も週刊誌の売り上げ上昇目的の虚構記事だと聞く」
「では、その週刊誌の記事を書いた記者の正体が誰なのか――そこまで言う以上は、証拠があるのですか?」
「証拠がなくても、雑誌の売り上げが不自然なのはつぶやきサイトのタイムラインを見れば明らかだろう」
 ヒーローマスクの人物と、参加しているスタッフの議論が続くのだが、矛盾や証拠不足などで平行線と言うのが現状である。
その状況を見て、長門のストレスが最高潮になろうとしている。
木曾に関しては、自分は無関係と言う様な表情で話の流れを見ているのだが――。
「超有名アイドルが一連のネット炎上にタダ乗りし、その宣伝で莫大な利益を得ようとするような事こそ――ご都合主義と考えています」
 その流れを止めたのは、大和の発言だった。
これによって、長門のイライラは下がって行く事になる。木曾の方は反応がなかったのだが――。
ある意味でも大和が言いたい事を代弁してくれたのかもしれない。
その後も大和は身振り手振りを使用したり、木曾や長門の発言を認めたりして自分の流れに持っていく事に成功した。
会議に参加しているメンバーも、大和の発言を一定は理解し、遂には作戦をゆだねる事になる。
「既にARゲームのガイドライン設定を強化する事で、一部の勢力に関しての活動を停止していますが――未だに一部勢力は残っています!」
 大和の発言は、はっきりとしている。そして、その視線の先も――。
周囲にいた議員の発言とは違い、下手に会議を長引かせようと言う意思は全く感じられない事も大きい。
おそらく、会議の参加者の一部には敵勢力から大和をある場所へ向かわせないように足止めするように――という指示が出ているのかもしれないが、そんな事はどうでもよかった
「我々が叩くべきは、超有名アイドルを神化するような勢力ではなく――ネット炎上で利益を得ようとする勢力でしょう。どのような――」
 その後、大和は詳細な説明を行う。
本当の敵は一部が拡散したメッセージを悪用し、ネットを炎上させて悪ふざけをするような人間である。
それはネタバレと言う単語を悪用し、不安をあおるような――虚構サイトを立ち上げ、混乱させようと言う全ての元凶だろう。
「結局は、一連のネット炎上はアカシックレコードをヒントに得たという事か。まるで、過去にあった脅迫事件――それらのヒントを漫画等から参考にしたのと同類か」
 木曾は思う。過去にあった事件の数々、その時はアカシックレコードと言う概念がなかった。漫画や小説などを参考にして起こした事件――それらがコンテンツ流通の阻害と言う意味では元祖かもしれない。
こういう事例に元祖と言う言葉は使いたくないのだが――これがあったからこそ、グロ表現や事件を連想させる作品が次々と姿を消す事になったと言う。
一部勢力は『表現の自由の侵害』と言えば、別の勢力は『大規模なテロが起きてからではは遅い』という。
こうした保護主義的な流れを打開したコンテンツが超有名アイドルと言うのであれば、おそらくは間違いだと――。


 これよりも衝撃的な話題と言えば、一部勢力には致命的であろう案件だった。
その事実に辿り着いたローマが、該当の人物を追い詰めるのだが――そのフィールドはARゲームのフィールドである。
同日午後1時――竹ノ塚駅近くのARゲームフィールド、そこではある意味でもARゲームを変えるかもしれない事件が起ころうとしていた。
「あなたが一連のつぶやき――超有名アイドルが唯一神であるという案件を拡散した――」
 ローマの武装はARゲームのジャンルが違う為、一部が反映されていないという状態である。
その為、レンタルガジェットである両手剣タイプのガジェットを構えているが――その刃はチェーンソーに似ていた。
「だったら何だと言うのだ? 日本の借金が、どの位の規模なのか――お前も分からない訳ではないだろう?」
 喋り方が明らかにラスボスを思わせる人物だが――黒いスーツにシルクハット、明らかにこの世界の人間ではないと言いたそうなARアーマーを装着している。
彼は武器を一切持たず、主に魔法等でローマを追い詰めるのだが――その魔法はローマには通じない。
「愚かな――チートを使えば、その反動はプレイヤー自身を破滅に追い込む事になる。それは今までの事件を踏まえれば、分かっただろうに」
 彼の使用する魔法はローマをすり抜ける。
既に同じような光景を何度も見ている為、彼はそろそろ自分の身に何が起こっているのか自覚してもよいのだが――。
魔法が命中したエフェクトが発生しないという事は、あの人物はチートを使用している証拠である。
Bというゲームで使用する魔法でAというゲームの相手に効果があるかと言うと――それは【ない】と断言出来るだろう。
おそらく、その原理で彼はチートを使用している可能性が高い。
「私は――アカシックレコード以上の力を手に入れたのだ! 世界を滅ぼせるような力を得て――全ての人間が超有名アイドルに絶対服従する世界を――!」
 神を自称する人物を、ローマはチェーンソー型ロングソードで一刀両断にする。
あくまでエフェクトで一刀両断されたように見えるだけであり、実際には斬られた訳ではないが――。
そして、八つ裂きにされたようなエフェクトが発生した後に――彼はARアーマーが解除された状態で倒れる。
「かみはバラバラになった――と言うべきか。別のゲームで例えれば」
 ローマは、あまり冗談などは言わないのだが――今回ばかりはジョークも口に出る。
それ程に彼女は、一連の元凶とされる人物を倒した事に安堵していた。
しかし、この人物がローマの想定していた人物でなかった事は、後の事情聴取などで判明する。
超有名アイドルの解散ラッシュが止めらなかった事、一部コンテンツに対して批判的な意見を拡散するまとめサイト等も――こうした流れを止められなかったと気付く事になる案件だった。
彼が『ネット神』の一人と言う事も判明するのは――これより後の話になる。


 午後3時、大和の言う作戦は実行に移されようとしたが――その前に事件は解決してしまった。
ネット炎上を誘導していた人物がローマによって撃破された事も理由の一つだが、それ以上に――。
「まさか、お前が真犯人だったとは――」
 比叡ひえいアスカが不審者の様な動きをしている人物を草加駅へ向かう途中で発見し、その人物を尋問した。
その結果、彼は自分が一連のネット炎上を誘導していたことを白状したのだ。
「超有名アイドル事変――お前達が、そうネット上で伝えている事件、それは我々――」
 その先は言わせないとばかりに、瞬時に気絶させたのは比叡ではなかったのである。
拳の一撃による気絶なのは、比叡にも分かっていたが――その拳とは白銀の右腕ことアガートラームだった。
「アイオワ――せっかくの復讐を無駄にしたと言うのか」
 比叡の言う復讐、それは超有名アイドル事変で自分が被害を受けたコンテンツに対する風評被害である。
これによって、比叡はトラウマを残すような傷を受ける事になったという。
「あなたのARゲームフィールド展開は、明らかに不自然だった。不審者も逃走されるのを防ぐ為にARガジェットを使用した――」
 アイオワは比叡が今回使用した事例がARゲームの禁止しているネット炎上を誘発する行為と考え、アガートラームでチートプレイヤーを沈黙させたのだと言う。
アガートラームがチートキラーと言う位置づけなのは、アカシックレコードにも記されている。比叡も――分かっていたはずだが。
「今回の事は大和には黙っていてあげる。それと、アガートラームの事は他言無用よ」
 そして、アイオワは姿を消した。一体、何を彼女は知っていたのか?
比叡には分からずじまいだったのである。せっかくの復讐のチャンスを――潰された事に。
その怒りの矛先は――誰に向けられようとしているのか?


 その後、超有名アイドル事変に関する犯人が逮捕されたとネット上では速報されるも、その熱は30分もしない内に冷めてしまう。
ネット上では別の事件が話題となり、超有名アイドル事変はどうでもよくなったのだろう。
あるいは、それを取り上げれば超有名アイドルの宣伝にもなりかねない。
結局、超有名アイドル事変が引き金となったネット炎上は――別のネット炎上に話題を奪われる結果となった。
一連の超有名アイドルに関連した事件は、これで全て解決し、アイドルグループ解散ラッシュも止まる。
しかし、それでも一時的な物に過ぎず、同じような事が起こる可能性も――と言うのはネット上でも既に話題となっていた。
それを止める為のアイディアは、ネット上でも話題には上がるのだが、決定的な物がない。
第一、ネット炎上を一種の戦争であると例えるような勢力がいる限り、コンテンツ流通も正常なネット文化も実現できないのだ。
一連のネット炎上事件の解決により、様々な部分で憎しみは減りつつあったのだが――ごくわずかな勢力は現実を受けられていない。


 その中で、比叡は悔んでいた。
本来、ARゲームに触れた理由は純粋にゲームを楽しみたいと言う意思だったのに――。
気が付くと彼女は、そのARゲームでネットを炎上させただけではなく、自分が他のコンテンツで目撃した風評被害を――自分の手で起こしてしまったのである。
「どうして――」
 彼女は苦悩する。何時の段階で、自分はネット炎上をさせてしまったのか?
ある意味でも無自覚な荒らしと同じ事を、彼女は行ってしまったのかもしれない。
「アカシックレコードが全てを――違うわね。超有名アイドルに対する復讐心が、ネット炎上を呼び込むような――」
 果たして、本当に自分の行動が変わってしまった理由はアカシックレコードなのか――。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ