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リズムゲームプラスパルクール 作者:桜崎あかり

エピソード10『決戦前夜!』

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エピソード10-4

2017年2月5日付:加筆調整

 午前11時15分、記者会見会場に入りこんだ西雲響にしぐも・ひびきは、ある人物と接触をしていた。
それは記者会見の進行役をしていた男性である。その人物は、記者会見をしている芸能事務所とは別の関係者だった。
『なるほど――。アカシックレコードの単語が出てきたのも、納得と言う事か』
 ジャミングに関してはARゲームのシステムにしか干渉しない物であり、記者会見をしていた社長の姿が消えた。
目の前にいた社長は、ARアバターだったのである。芸能事務所自体が税逃れのダミー会社と言う訳ではないのだが、周囲の記者達も困惑をしていた。
「この記者会見自体がでっちあげだったのか?」
「視聴率稼ぎで、別の芸能事務所を持ち上げるのが目的なのですか?」
「噂によると、芸能事務所Aは政治への介入をしている噂も――」
「井の頭公園の――」
「2020年の東京の国際スポーツ大会で芸能事務所Aのアイドルをタイアップさせるのは――」
「日本の国政に超有名アイドルメンバーを――」
「他のコンテンツ潰しは、全て超有名アイドルを――」
「第4の壁の先で行われている事例を真似したというのは――」
 ここにきて、記者たちが不満を爆発させたかのように質問をぶつける。これがガーディアンの目的とは全く違うのだが、別の意味でも想定外だ。
この状況に便乗して芸能事務所を潰すのも簡単かもしれないが――それは今回の計画を考えた人物の本来の目的ではない。
西雲としては、この状況で便乗すればARゲームにとっては今までの不祥事やスキャンダルなども上書き出来るかもしれないが――。
それをやってしまうと、やっている事がネットのまとめサイト等と同じである。あくまでも、そうした勢力とは別の考えで動かなくてはいけない。
「芸能事務所と国会が裏でつながっているとも――」
「超有名アイドルコンテンツ以外を規制する法案を提出すると言う話があるようですが――」
 この状況はしばらく収まりそうにない。
それ程、彼らがやってきた事は人心掌握や恐怖支配等の単語では片づけられないような――。


 午前11時20分、記者会見の場がカオスと化している中、ある人物の声が周囲に響く事になった。
『シャラップ!』
 スマホの主は記者達に対して黙るように叫ぶ。まだ、自分達の質問はしていない事に加え、答えももらっていない。
そんな中で割り込みを仕掛けようと言うのは、まるで恋人発覚や不倫騒動を無理やり聞き出そうとするようなマスコミの姿勢と変わらないのである。
それを踏まえると、現在も通販番組を放送しているテレビ局だけが神対応をしているようにも思えてくる。
ネット上では、そのテレビ局を名指しは避けるのだが『神対応』をたたえていた。
「これ以上は無理だ――あきつ丸、こちらも最後のカードを切る」
 西雲はスマホの主であるあきつまるに対し、何かの考えを伝え、遂にはARバイザーのシステムを切った。
システムを切ったと同時に、ARバイザーが開き、西雲の素顔が徐々に見え始めている。それは黒髪のセミショートヘアの女性だった。
目の色は銀なのだが、これはARシステムの影響による物であり、カラーコンタクトではない。それに、彼女の顔を見て誰かと分かって名指しする記者は皆無である。
それだけ、彼女の正体は完全に秘匿されていた。まるで、機械仕掛けの神が降臨したかのような――そんな様子を感じさせる。
結局、マスコミが彼女の正体に言及する事は出来ず、中継映像を見たコメンテーターも困惑していた。
ネット上では、憶測こそは飛んでいるようだが――正体を特定するに至っていない。
『馬鹿な――お前は行方不明扱いだったはず!?』
 司会の人物は、西雲の正体を見て驚いているようでもあった。西雲の声は男性だった事もあり、彼にとっても予想外だったのだろう。
しかし、周囲の記者が誰なのか分からない以上、芸能人と言う訳ではないようだ。
芸能人と言っても、テレビで活動している芸能人だけを指す訳ではない。
動画サイトに動画を投稿する投降者、歌い手、実況者なども芸能人というカテゴリーにしようという動きは存在する。
「こちらとしても、行方不明を偽装し――芸能事務所の行っている不正を発見するのには、苦労した物よ」
 彼女の目は、司会進行の人物の方を向いている。マスコミなど眼中にはない。
『では、改めてこちらから一つ質問をしよう。芸能事務所が行ったグレーゾーンスレスレのゴリ押しの数々――何故、独占禁止法が適用されないのか?』
 あきつまるは手元にある書類をチェックしつつ、何を話すべきなのかを選んでいた。
ちなみに、彼女がいる場所はガーディアンの秘密基地であり、隣にはビスマルクもいる。
ビスマルクの方は声を出してしまうとややこしくなるという関係上、現状では静かにしているようだ。
その中であきつ丸はビスマルクに読む書類を指さされるのだが、それを敢えてスルーして書類の一つに手を付けた。
『独占禁止法が何かを論じたりすると、この場のマスコミ等にも影響を及ぼすだろう。それゆえに要点だけを伝える』
 あきつ丸は長々と語るよりも、要点だけを伝えた方が分かりやすいと判断した。
1から10を説明するよりも効率が良いという事で――マスコミの方も、ある程度は分かっているような表情だが。
『芸能事務所が行っているネット炎上、違法ガジェットバイヤー事件、プレイヤーの襲撃事件――それらは、明らかに超有名アイドルが日本を支配しているかのような幻想を抱かせる』
 要点を掴んでいるかどうかは不明としても、あきつ丸の一言は司会進行の人物を動揺させるには効果が抜群らしい。
そして、遂にはARガジェットのガトリングガンを呼び出し、それを西雲に向ける。
「その引き金を引けば――芸能事務所は反対勢力に対して血の制裁を与えると言う話が拡散し、最終的には日本から3次元アイドルの全てが輸出禁止となるだろう」
『そうなるとは限らないぞ。こちらには大物政治家の大半を金で買収している。いざとなれば超有名アイドルの方が正義だと証明してくれる』 
 ガトリングガンを向けられても、表情一つ変えない西雲に対し、司会進行の人物は徹底的に煽りまくる。
まるで、炎上ブログや悪目立ちしようと言う一般つぶやきユーザーの様に――。
「結局、そうなるのか。アカシックレコードは予言書ではないという話だったが――」
 西雲は展開しようと思えばARガジェットを展開する事は出来る。
相手がARガジェットを展開しているという事は、この記者会見会場その物がARゲームのフィールドになっているからだ。
既に一部の記者は避難しており、テレビカメラマンなどの一部が残る程度になっている状況だが――。
『お前達に忠告しておく。既にARガーディアンは、お前達と芸能事務所、それにアイドルグループに関してブラックリスト入りを決めた。独占禁止法という法律さえも守らないとは――コンテンツ流通を含め、語るに落ちたという事か』
 その後、あきつ丸は通話を切る。そして、ビスマルクにある物を指示するのだが――それを芸能事務所側は知らない。
通話を切った後、西雲の方もため息交じりに呆れかえっていた。
このような状況になった事に対し、何故に止める事は出来なかったのか――と。
「超有名アイドルはご都合主義で地球を救えるような存在ではない。WEB小説にあるような魔法的なガジェットもなければ、この世界には賢者の石もない――そう言う事だと、何故分からないのか」
 西雲は再びARメットを展開するが、今度はボイスチェンジャーを使っていないので女性声である。
その方が都合がよいという訳ではなく、既に正体を明かしてしまったという事もあるようだが。


 午前11時25分、会見の中継は民放を含めたすべてのテレビ局が終了と判断して打ち切りを決めた。
理由は色々とあるようだが、西雲が正体を見せた辺りから映像が表示されなくなったのも理由の一つだろう。
放送事故と言う訳ではないようだが――そう判断されてもおかしくはないだろうか。
過去には音声だけが放送されると言うテレビ中継も存在し、その際はテレビカメラがNGだったという経緯が存在する。
それに似たような状態ではあったのは間違いない。
しかし、ネット上では放送事故とみる過去の事例を知らないユーザーがクレームのメールや電話をした事で打ち切りを決めたようだ。
通販番組を放送していたテレビ局は11時30分からニュースを流すのだが、今は通販番組のままである。
「結局、何を訴えようとしていたのか――」
 今回の記者会見に対し、ガーディアンのメンバーも疑問に思っていた。
やはり一部勢力のプロパガンダに利用されてしまったのか?


 午前11時30分には通販番組を放送していたテレビ局でもニュースが放送されたのだが――。
『最初のニュースです。アイドルグループEが解散を発表しました。ネット炎上の事件にメンバーが関係したとして、未成年のメンバーが逮捕されたのが原因と――』
 かなり具体的に報道されていて、別の意味でも驚きだったのだが――アイドルグループEが解散と言うニュースをトップで伝えた。
その一方で、他の放送局は人気VRゲームに関係したスマホ事故を報道している。一体、この差は何なのか?
ARゲーム専門のニュースチャンネルでは、さすがに今回の件は取り扱っていない。さすがに、重要ではないニュースと判断して切り捨てたのか?
「芸能事務所側も事の重大さに焦り出しているか」
 このニュースをガーディアンの秘密基地で視聴していたビスマルクが、芸能事務所の不手際を指摘する。
国営放送では更に別のニュースを報道していたので、おそらくは伝達ミスと言う可能性が高い。
それだけ、西雲が起こした一連の流れは――芸能事務所の独占禁止法違反を告発するには都合がよかったのかもしれない。
「問題は、この後か――」
 あきつ丸は、一連のニュース報道を見て何か怪しいとも感じていた。ネット上では特にニュースを実況している様子が見られないからだ。
これは単純にあきつ丸がチェックしているタイムラインだけの話と思われているが、更に限定的なコミュニティで実況をされていると、さすがのガーディアンでもチェックは出来ない。
果たして、彼女の不安は的中してしまうのか?
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