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この時間(とき)がずっと続きますように……
作:和藤渚


その日いつものように登校する私。
そのたびに突き刺さる鋭い視線。
「またきたよ」
「あいつ、まだこりてないみたいね」
と小声でヒソヒソ話する周りの人たち。
そんなのも気にせず自分の席に向かう。
そして机には余白がないほどびっしり書かれた落書き。
その中に際立って大きく書かれた“死ね”という文字
死ね―
死ね―
死ね―
死ね―
それを見た瞬間私は決意した。
死のう……
私は密かにしっかりとした決意を持ちながら授業を受ける。



一方
俺はケンカに明け暮れていた。もちろん好きでしているわけではない。
「お前らもこりずにキタネェ〜な!! いつもいつも」
「うるせー」
「少しは、まともなやつ連れてきたのかよ?」
「ふん、今のうちだぜ。余裕コイタこと言えんのは。やっちまえ!!!」
と50人程のガラの悪いバカたちが向かってきた。
「あ〜もううぜぇ〜やつらだな〜」
瞬殺で終る。
「大丈夫か? たくっお前もお前だぜ。なんでいっつも捕まるんだよ? 逆に尊敬に値するぜ」
「そうですか?」
と誇らしげに言う人質。
「褒めてない、褒めてない」
毎回捕まるバカがいるからだ。
そのため学校始まって以来の問題児と言われまるでゴミ扱い。
「日本全国のゾクを統率している」
とか
「200人以上のヤーさんを一撃で全員KOさせた」
とか
「目を合わせただけで殺される」
とか変な武勇伝ハッタリをつかまされている。
授業に出れば出たでまるで触らぬ神にたたりなしと言ったように、余計な刺激を与えないようにと異様な緊張感に包まれる。
その日も俺は屋上でフケていた。




「もうこんな時間か」
空は西日が射していた。
どうやら和馬はいつの間にか眠っていたようだ。
(あれ?)
と目を何度もこすり、凝らしてみてみる。
するとフェンス越しに立っている女の子の後姿。
寝ぼけているのかと自分を疑った。
「おい!!テメぇー何してんだ?」
「!!」
女の子は一瞬びっくりしたような表情で振り向くが冷静に
「私、これから死ぬのよ? 飛び降りて死んでとてもいい世界に行くの。」
と淡々と語る女の子。
(こいつなにいってんだ? バカだろ!)
と和馬はさほど本気にしていなかったので
「そっか。とてもいい世界にいくのか。そりゃ良かったな。じゃあ俺帰るから。
警備員がかぎかける前にさっさと帰るんだぞ?」
と彼女に背を向けた。
「じゃあね」
と彼女は挨拶したので挨拶を返そうと振り返ると
彼女は飛び降りた
(嘘だろ!!!!)
和馬はとっさにカバンを投げ捨てフェンスを飛び越え、飛び降りた。
そして彼女をかばう様に抱きしめた。
幸いにも大木がクッションとなりかすり傷程度で済んだ
「いってー……大丈夫か? たくっホントに飛び降りる奴がいるかよ」
呆れ顔な和馬。
内股ですわり両手を突きうつむく女の子。
女の子から涙が零れた。
「おい!! どこか痛いのか?」
「……ううん。大丈夫。私に関わらない方がいいわよ?」
と彼女は小さく返事をし、警告した。
「ああ……」



翌日
ドスッ!!
と和馬は屋上から見下ろす。すると女の子たちを見つけた
「あ! 昨日のやつだ。なんだ? あれ」
真紀は放課後の校舎の裏の壁に打ち付けられ反動で座り込む。真紀のクラスほぼ全員が集結していた。
「昨日飛び降り自殺したんだって?」
と主犯格の女が仁王立ちで腕組んで見下ろした。
「マジかよ! でなんで生きてんだよ?」
と驚く男子。
「誰かが助けたらしいのよ?」
「なんでもそれが一条和馬らしいのよ」
「ウソだろ!!?」
「何? 一条和馬にボディーガードでも頼むつもり?」
「……」
黙り込む美紀。
「黙ってちゃ分からないでしょ!!」
顔をおもいっきり蹴った主犯格。
「うっ」
美紀は顔を歪め前のめりになる。
「その身体からだと引き換えにボディーガードを頼んだんでしょ?」
また主犯格が蹴った。
「ねぇそうなんでしょ! この変態が!」
と踏みつけられる。
「違う! そんなこと……誰か助けて……」
「うるさい! しゃべるな! 菌がうつる! あんたみたいなゴミを助けるやつなんているわけないじゃない。あんたは生きているだけで地球を汚染してるのよ! わかってんの!!?」
胸倉をつかまれ突き放された。そして壁にぶつかる。
「ゴミでもちゃんと使ってあげないとね?」
ボロボロになっている女の子にそう話しかける。
「男子たち? こいつを有効活用してやんな?」
とズボンのチャックをみんな下におろしてどんどん近づいてくる。
するといきなり男子の何人かが吹っ飛んだ。
「一条和馬!!!」
「貴様!! どからわいてでた!!」
驚くクラスメートたち。
そして主犯格の女にゆっくりと近づく。ものすごい威圧感。いやその言葉だけでは到底かないそうにない感覚。
「な、何よ!!」
今にも主犯格の女はおじけ付きそうだが、それを阻止しようと必死に気を張っている。
和馬は主犯格の女に前立つと容赦なく右ストレートを食らわせ、3mほど吹っ飛ばした。
主犯格の女は壁に打ち付けられその反動で座り込む。
「ふん。最低な奴だとは思ってたけど容赦なく女に手を出すなんて本当に最低ね」
と主犯格の女は手で口を拭きそうつぶやく。
「どっちが最低なんだよ? 女に容赦なく手を出す俺とクラス全員で集団レイプを煽ってるその女。さ〜どっちだ!!?」
そう言っていくうちに他の奴らはどんどん逃げていく。
「オレしらねーぞ」
「私辞める」
そして主犯格の女一人になった。
「覚えてなさい」
と主犯格の女は逃げて行った。
「大丈夫か? ボロボロじゃねえか」
「なんで来たのよ?」
「屋上から見えたからなにかなとおもってな」
二人はとりあえず保健室へ行き応急処置をして帰った。
そのときもう大丈夫だからと言うが明らかに無理をしてるのが見え見えな態度な女の子。
「バーカ。あんなことされて『はい、そうですか』って言って帰れるわけねぇ〜だろ」
とういうことでその女の子を送って帰ることにした和馬。
「お前名前は?」
「二ノ宮真紀です。あなたは?」
「一条和馬」
サバサバとした会話。
しばらく沈黙が続く。
横断歩道の信号が青信号が点滅し、急いで渡っている人たちの中一人立ち止まる女の子
プップー
車が発進し、クラクションが鳴り響き迫ってきているのだが、彼女は一歩も動かない。
「おい!!! 早くしろ!!」
と呼びかけても動こうともしない。
和馬はその中に飛び込み彼女を抱きかかえ横断した。
彼女は涙を零して
「なんで……なんで死なせてくれなかったのよ!!!」
と叫ぶ真紀。
「バカか!!!! お前は!!!!」
「ここには私の居場所がないの……」
ついに泣き出す。
このまま家に帰えせば本当に自殺しかねないと考えた和馬はここら近いともあって自分の家に招くことにした。
和馬の両親は海外で働いているため現在一人暮らし。
もちろん女の子を自宅に招きいれるのは初めてだ。
普通こういうときは緊張するモノである。
しかし彼女の場合、別の緊張である。
まず玄関で傷つけられそうな物を探す。
(無いな)
「とりあえず、入れよ」
と平常心を保とうとする和馬。
「あ……はい。お邪魔します」
「ちょっと待ってろ」
と居間を片付けていた。
すると真紀が入ってきた。
そこには足の踏み場が無いほど散らかった部屋があった。
(汚い……)
と思った真紀はスイッチが入った
「一条君!!燃えるごみと燃えないごみ、ペットボトルちゃんと分別しないと!!それにインスタントばっかり体壊しますよ?服散乱してるじゃないですか!!どれが洗濯物かもわからない」
とまるで親が子供に説教するように饒舌になった真紀は手際よく片付けた。
「ふ〜」
と汗をぬぐう真紀。
ドキッとする和馬。
すると真紀は我に返った。
「あ! すいません!! すいません!! すいません!! ついスイッチが入ってしまって……」
「気にするなって。部屋もきれいになったんだし」
(問題……ねぇ〜な。)
と安心した和馬は
「なんか食うか?」
「私、作ります」
「いいってあんたは客なんだからさゆっくりしなって」
「いえいえわざわざ家まで入れてもらって悪いから」
「ならお願いすっかな?」
台所の包丁が目に入る
「いや、俺がやる」
「でも……」
「でもじゃない!!」
と睨みつける。すると彼女の顔は曇った。
「すいません」
(言い過ぎたか?)
「お前は客だ。だからここでじっとしてろ」
久しぶりに台所で作業をする。
まず溜まった食器の山を片付け、冷蔵庫に入ってる使えそうな食材を適当に取り出し
料理を始める。
完成し部屋にもって行く
彼女を見ると本を読んでいた。
「おい? それなんだ?」
「インジョン・ライディーの紙ひこうきです。」
紙ひこうきっていうのは心を閉ざした少女に毎日書いた手紙を紙ひこうきにして彼女の部屋に飛ばしてどうのこうのっていう恋愛マンガである。
それを聞いた時和馬は目が点になった。
「おまえ……おもしれーか?それ」
「はい」
と真紀はニコッと笑う。
「この人の作品好きなんですよね。何と言っても青春を返せですよね」
青春を返せっていうのはある日高校生が殺されあの世にいくがひょんなことから生き返り
それからというもの毎日奇妙なことばかり起きるコメディーでその人の初連載の作品である。
「それより飯にすんぞ? もう俺は腹減って死にそうでな」
「そうですか」
と彼は食事を取り始めた。
「どうだ?」
「おいしいです」
「そうか」
「こんなにうまく料理できるのになんでしないですか? もったいない」
「当たり前だろ? メンドクセーんだよ。」
「でもじすいした方が食費やすくなりますよ」
「うるせーさっさ食べろ」
「で?なんでそんなに死にたがるんだよ?」
「言ったでしょう?ココには居場所がないって」
「どういうことだよ?」
「なんであなたにいわなくちゃいけないんですか?」
「言いたくねぇ〜なら別にいいけどよ。まぁ俺も同じようなもんだからな。好きでケンカしてるわけじゃねえのによ。みんなから疎ましく思われてよ?いつの間にか変な武勇伝ハッタリ流されるしよ?」
「どんなのですか?」
「200人のヤーさんを一瞬で倒したとかよ?」
「そうなんですか?」
「なもんできるわけねぇ〜だろ!だいたいそんなことしてたら俺が一瞬にして死んじまう。たく酷いよな? どいつもこいつも」
「フフフ……」
「笑うなよ」
「すいません」
「ただこれだけは言っておく。人間誰だってイヤな事ある。時には死にたくなる時も。でも死んでしまったらその時点で自分に負けるってことになるんだぞ?自分に勝てるようになれ。今は無理かもしんねぇ〜けど。俺でよければいつでも相談にのってやるからよ。それに……」
(自分に勝てるように)
「それに?」
「それにもし死んで助けた俺が呪われたんじゃたまったもんじゃないからな」
「それってどういう意味ですか!!!」
「その顔だよ、その顔。さっきよりいいぞ。だってさっきはこんな顔してたんだぜ?」
と和馬はまるで怨念こもった幽霊ような顔をする
「してません!!」
「してた!!」
「してません!!」
言い合いをしているうちになぜかだんだん2人は笑いが込み上げてきた
「ぷっハハハハハ」
「ハハハハハハハハ」
2人はバカみたいに笑った。
(なんでだろう? この人いるとホッとする。それに私こんなに笑えたっけ?)
(こんなに笑ったのっていつぶりだ? こいつといるとなんか楽しい。会って2日しかたってないのに不思議だな……こんな気持ち)
二人はこう思った
この時間ときがずっと続きますように……














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