ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第七章 ノエル
第五話 圭一大地に立つ!
 ふみゅ、にしても、足が思うように動かないって不便だな。
 なんとなく太ももをさすっていたら、
「それと、動かないようだし圭一の足を調整しなくちゃね」
「ふむ、そうだね」
 ……え? もしかしてすぐに動くようになれる?

「研究施設は地下にあるから私が運ぶね」
 そういって朱音さんが僕を持ち上げる。しかも、お姫様だっこだ!
 うわ、少し恥ずかしい。
「ちゃんとしがみついててね」
 言われたとおりしぶしぶだが朱音さんにしがみつく。うう、なんか、柔らかくていい香りがする……
 僕は顔を赤らめるけど、朱音さんは気にせずに歩き出す。その足取りはしっかりしていて、まるで、僕の体重を感じてないように錯覚してしまいそう。意外と力があるんだな朱音さん。
 部屋を出て、廊下を少し進んで、その端で、アグニがしゃがみ込むといリズムよく床を叩く。すると、床が開いて地下に続く階段が現れた。なんじゃ、そのギミックは。
「いくよ」
 そういって、朱音さんは下に下りていく。バランスを崩して倒れたりしないかちょっとだけ不安になった。だけど、朱音さんの足取りは階段を下りるという不安定になりそうな事をしてるのに、ここでもしっかりしていた。
 そして、扉を開けて地下の研究室に入る。
 中は白い清潔そうな部屋で、なかなか広い。そして、イメージ的に研究室と呼ばれるのはゴチャゴチャしてるかなと思ってたけど、割と片づいている。
「天才というものは効率のいいものを好むからさ」
 とアグニは準備しながら答えた。さいですか。
 朱音さんは手術用のベッドに似た台に僕を座らせると、僕の履いていた靴下を脱がしてきた。
 ひゃ! ちょっ、ちょっとくすぐったかったな?
 それから、朱音さんは僕の足を持ち上げて、足の裏を数回、リズムを刻みながら叩く。くっ、少しくすぐったいぞ。
 すると、足が展開した。まず、臑が縦に別れて、それからぱかっと音が起つように開いて、中のメカが露出する。
 うわ……見てていやなものがあるなこれ。
 朱音さんは手際よく台から伸びるケーブルを足の中のメカに繋げていく。意外と何も感じないなあ。
 しかし……ここまで来て、本当に自分が人造人間になってしまったというのを実感した。
「繋ぎ終わったよ」
 朱音さんが振り向いてアグニに言う。
「了解」
 答えてアグニがパソコンのキーを叩いた。
 瞬間、下半身の感覚が変わった。
 な、なんだよ、これ……
 こんな感覚を表現できる言葉はまったく見つからない。あえて表現するなら、足が……そうドロドロのゴムみたいになったようだ。
 だけど、それもまだ序の口であった。
 アグニがさらにキーボードを叩くと、足から何かが……入り込んでくる感覚がした。
 痛くはない。だけど、すごく……気持ち悪い。
「うっ!」
 吐き気がして、口元を抑える。口の中に気持ち悪い酸味が広がる。
「やはり、ちゃんと足の神経系が繋がってないな」
 アグニがさらにパソコンに何かを打ち込み、何度も押しては寄せるように気持ち悪さが襲ってくる。
 は、早く、終わってくれ……
 数分か、もしかしたら数秒の間その感覚が続いた。
「終わった」
 アグニがそう言ってキーボードを叩いた瞬間。足の奇妙な感覚は消失した。
 その時になって自分が呼吸を忘れてたのに気づいて、荒く息を吐き出した。
 お、終わった……
 それから、朱音さんが僕の足からケーブルを抜いて、足を閉めた。それから軽く揉んでくれる。
 ちょっと気持ちいい。さっきの気持ち悪さが少しだけ薄れてきた。
「動かしてみて」
 朱音さんに言われて足を動かしてみる。
 今度はちゃんと動いた。右足を上げる。それから、膝を曲げて、伸ばす。左足も同じように。
「立ってみて」
 台から降りて、足を地面につく。
 ちゃんと力が入って体を支えられたけど……なんだこりゃ? 自分の体なのに自分のじゃない感覚。
 なんか軽くて、フワフワして……不安になる。
 試しに数歩歩こうとして、バランスがうまくとれない。まるで、平均台の上を歩いているようだ。
 ふ、不安だな。
「やっぱりまだ慣れないみたいだね。まあ、しばらくすれば慣れると思うよ」
 そ、そうですか……
 さらに、先行きが不安になる材料が増える僕なのであった。
久しぶりにこっちが更新できました。
狐火ともども暖かく見守っていただければ嬉しいです。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。