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第七章 ノエル
第四話 SFですか?
 アグニ宅に着く頃には、僕も泣きやんでいた。
 まあ、目元が紅かったりするから泣いたのは丸わかりだろう。だけど、それを見て朱音さんはポンポンと妹にするように優しく頭を撫でてくれる。
 ちょっとだけくすぐったい。だけど、少し嬉しい。
 そして、朱音さんに車椅子を押されて家に上がる。
 さっきまでいた部屋に戻ると、アグニがコーヒーを飲んでいた。そして、アグニは僕を見て、
「なんだ? 君は自分の葬式で泣いたのかい?」
 なんつうデリカシーの無さだ。
 すぐに朱音さんが動く。どこからかハリセンを出して、
「そういうことは言っちゃダメ!」
 スパンとハリセンでひっぱたく。ハリセンで叩く快音を聞いて、ちょっとだけすっきりした。
 それから再び、二時間前に説明を受けていた部屋でイスに座る。
「さてと、まだまだ色々話さないとね。君の体についてやこれからのこと」
 朱音さんはそう言って笑う。
「確かに、なんで女の子の姿なのかとかも気になりますね」
 じろっとこの処置をしたアグニを睨む。死にかけてたのを助けてくれたのに贅沢かもしれないけど、元と同じ男の体がよかったが正直な気持ちだ。
 何か理由があったのだろうか?
「ああ、それは」
 アグニが椅子にもたれかかりながら答える。
「女以外の体はなかったんだ」
 僕はずっこけそうになった。
 な、なかった? 単に運が悪かったってこと?
 朱音さんが溜め息をついて説明をしてくれる。
「残念ながら、私たちが遺跡の軍事施設跡地で見つけたのは、保存されたそのボディーといくつかの予備パーツだけだったんだ。記録では男性体もあったみたいなんだけど」
 はい? 遺跡? 軍事施設跡地? 何なのそれ?
 僕は頭から疑問符を浮かべてそうな顔をしてるんだろうな……きっと。
 それに気づいたのか、朱音さんが微笑む。
「ああ、ごめん。これじゃあ私たちに通じても君には通じないよね」
 まあ、そうです。
 僕はこくこく頷く。
「実はね、私たちはある組織に所属しているの」
 組織?
 朱音さんが口にしてないのに僕の疑問に気づいたように頷く。
「先史文明遺失物管理局『神無』。平たく言えば、オーパーツや、特異能力保有者を管理するための組織。私たちはそこの中でも特殊な立ち位置にある特務室に所属しているの」
 オーパーツに特異能力者? いきなりスケールでかくなったな。
 朱音さんが続ける。
「その組織で先日発見された遺跡の探索があってね。そこにあった人造人間の体を君に使ったんだ」
 僕の体が先史文明の遺産? にわかには信じられないが、こんな普通じゃ信じられない状況じゃ安易に否定もできない。
 アグニも頷く。
「保存時のミスだったのかバイオ脳の傷みが酷くて、使い物になんないものだったが、運良く適性がある脳が転がり込んできてよかったよ」
 ……なんだって?
 アグニの一言が気にくわなかった。まるで、僕が死に掛けてよかったみたいな風に感じた。
 気づいたときはテーブルに乗り上げて殴りかかっていた。足がちゃんと動いたが、そんなのどうでもよかった。
「この!!」
 アグニは動かない。朱音さんも動かない。
 そして、拳がアグニの顔に……当たらなかった。
 手応えはあったけど、顔の数センチ前で見えない壁に阻まれるように止まっていた。
「なっ?」
「やめときなさい」
 朱音さんが溜め息を吐く。
「アグニはロストパーツで自身の周囲数センチの所に障壁を張ってるから、殴りたいならその障壁の強度以上の攻撃をしないと」
 朱音さんの説明の途中で拳を振り上げる。
 そんなこと知らない。いい加減こいつを一発殴りたいだけだ。
 僕の怒りに反応したのか、拳が淡い光に包まれる。
 アグニが目を見開く。
 拳を振り下ろして……障壁が砕ける。そのままアグニの顔面に……めり込まなかった。
 その前に刃が拳を阻んでいた。
「えっ?」
「ストップ」
 朱音さんの静かに告げる。
 僕の拳を阻んでいたのは、朱音さんの持つ鎌だった。しかもかなりでかい。柄だけでも朱音さんの身長より少し長い。刃も同じくらいある。
 一体どこから出したんだ?
「そんなの食らったら死んじゃうよ」
 そう言って朱音さんは鎌を折り畳んでテーブルの下に片付けた。
 アグニはなんともなさそうな顔をしているが、その額にはびっしりと汗が張り付いていた。平気そうだけど、怖かったんだな。
 僕もなんだかどうでもいい気になってしまいイスに座り直そうとして、バランスを崩してしまった。
 朱音さんが支えてくれる。
「無理しない。もう少しましになったらあいつぶちのめしていいから、話を変えようか」
 朱音さんがそう言ってアグニが少々顔を引きつらせる。
「そういうわけで、申し訳ないけど君は女の体で生きてもらう事になったんだ。これからいろいろ大変だと思うけど……ね」
 朱音さんが微妙な笑みで笑う。
 僕もひきつった笑顔であっただろう。実に先行きが不安になる話しであったのだから。
鈴:「どうも、鈴雪です」
刹:「刹那です」
鈴:「更新が滞っていましたが、なんとか第四話です」
刹:「狐火も近々更新しますよ。てか、ちゃんとしろ作者」
鈴:「この頃忙しくて」
刹:「言い訳するな。だったら、しばらく更新しないことぐらい言え」
鈴:「はい……」


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