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インフルエンザにかかってしまい死んでました……
更新遅れてすみません。
異世界召喚編
第1章最終話
異世界召喚10日目【その後のシャルディナ】:

「いったいどういうおつもりなのですか!」

謁見の間に怒声が響く。
声の主は鉄血宰相の異名を取るドルネストだ。
謁見の間の主であるはずの皇帝は、玉座の肘掛に肘を乗せながらシャルディナ達の話に耳を傾けている。

「報告は以上です。後は如何様にでも。」

皇帝の前にはシャルディナと斉藤を始め、セリア、ロルフ、オルランドといった追跡隊を指揮した面々が跪く。
シャルディナの脳裏にあの後の数日間が蘇る。


亮真達を逃がした後、シャルディナは夜明けを待って森に散っていた兵を纏め森を進んだ。
亮真達に追いつくかもしれないという一縷の望みに賭けたのだった。
見逃すと言ったのはあくまでも兵が居ないあの場限りのこと。
兵を集めてしまえば状況は変わる。
だが結局シャルディナは亮真達を見つけることは出来なかった。

「やはり無理ね・・・・」

シャルディナの呟きに斉藤が応じる。

「いたし方ありません・・・兵を纏めるのに手間取りましたから・・」

亮真達とて十分予想していたのだろう。
普通の人間ならあの場の見逃すを勝手に解釈し、少なくとも国境を越えるまで追ってはこないだろうなどと判断しかねない。
そういった甘い判断をしないところが亮真の最大の強さなのかも知れない。

「帝都へ戻るわ。」

シャルディナの言葉に斉藤の顔が曇る。
亮真の捕縛に失敗した今、何時までもこんな森の中をうろついたところでしょうがない。
国境の警戒も早々に解かなくては経済に影響が出てしまう。
南方を探索中のセリア達の事もある。
そういった状況を十分に把握してはいたものの、斉藤が素直に賛同出来ないのはシャルディナの処遇に不安を感じるからだ。
やはり亮真達を捕まえそこなったのは大きな失点である。
奴を補足出来ないならまだしも、一度は捕らえながら逃げられるというのは最悪だった。
しかも、騎士団員に死傷者が出ている。
いくら亮真に仲間が居たという予想外の事態があったにしろ無視できることではなかった。

「ドルネストの顔が真っ赤になるわね。」

斉藤の脳裏に皇帝の間でシャルディナ達を怒鳴りつけるドルネストの姿がはっきりと浮かんだ。
鉄血の異名をとる彼は、鉄のごとき意志の強さと血を流す覚悟を持った政治家である。
皇族であるシャルディナに対してであろうと其の態度を変えることは無い。

「セリア様の方も問題かと・・・」

今回の任務に最も熱心なのは身内を殺されているセリアだ。
其のセリアになんといって話をするのか。

「まあ・・・何とか成るでしょ。セリアも馬鹿じゃないわ。状況をきちんと説明すればそれ以上文句を言うはずないと思う。」

(普段のセリア様なら其のとおりだろうが・・・・)

身内を殺された時に普段の冷静さを保てるのだろうかと斉藤は危惧したのだった。
其の顔色を読んだのだろうか。
シャルディナは肩をすくめて言った。

「まあ其の辺は私の方で何とかするわ。どちらにしろ帝都に帰還するしか選択肢はないしね。」


シャルディナの前にはセリア、ロルフ、オルランドの三人が座っている。

「そうですか・・・」

セリアの言葉には普段の覇気が無い。
帝都帰還の決定後、南方へ出ていた3人を呼び戻したシャルディナは皇帝に謁見する前に状況の共有を図るため、帝都の南方に位置する町オイートにて合流することにした。
シャルディナ達の現在地から考えると帝都を通り越して向かうことになるが、致し方ないという判断だ。
此処はオイート郊外の合流地点。
設営された天幕の中でシャルディナの話が終わったところだ。

「成る程・・・致し方ありませんな・・・」
ロルフの顔にも苦渋が浮かぶ。
其の顔には自分がシャルディナと共に行くべきだったという後悔が浮かんでいる。
オルランドの方も同様だ。

「しかし・・・何故召喚されて間もないその・・・御子柴亮真?ですか。そやつに加担する者が居たのでしょうか?しかもそれほどの手練が・・?」

ロルフの疑問にシャルディナは首を横に振った。
其れは帰還の道すがらシャルディナと斉藤が最も重視した疑問だった。

「其れは斉藤とも話し合ったんだけれどもね・・・正直判らないわ。」

首を横に振るシャルディナへオルランドが控えめに尋ねてきた。

「あのう・・・陛下へはどのようにご報告なされるおつもりですか?」

これはシャルディナ以外の全ての人間が気になるところだった。
皇帝の命令は絶対である。
それを果たせなかった以上、最悪死刑まで考えられるのだ。

「有ったままの事を報告するわ。」

シャルディナの言葉に斉藤もうなずく。
オイートへ向かう道すがらで既に2人の間で意見の合意が取れていたからだ。

「よろしいのですか?」

ロルフの顔に本当にそれでよいのか?という疑問の色が浮かぶ。
ありのままに報告すれば、今回の責任は全て斉藤とシャルディナに被される。
皇族の一人とはいえただでは済まないかもしれないのだ。

「しょうがないわ。事実は事実だもの。」

肩をすくめシャルディナは答えた。
覚悟は既に出来ているのだから。


「いくら皇女殿下とはいえこのような報告を!」

「ドルネスト・・・少し黙れ。」

シャルディナを責め立てるドルネストの怒声を皇帝の声が遮る。
斉藤は脳裏に浮かんだ光景を振り払い、意識を皇帝の言葉へと向けた。

「ワシは今回のシャルディナの対応を非難するつもりは無い。」

重々しい声が玉座から響く。
ドルネストの顔に驚きが広がる。

「しかし・・陛下!」

「ワシの話を聞け・・ドルネスト!」

玉座の肘掛に肘を突き皇帝は言った。

「確かにワシの命令をシャルディナは果たせなかった。其れは事実だ。しかし予想外の手練が着いていたのだ。どうしようもあるまい?」

皇帝の言葉にドルネストは返答に詰まった。
確かに其れは事実だ。
いや、異世界人を一度でも捕縛出来ただけでも奇跡に近い。
相手は名前も顔も判らなかったのだから。
其れはドルネストにも判っている。

「しかし・・・それでも異世界人を逃すなど!」

「判っている。しかしだ。シャルディナと斉藤どちらも我が帝国には重要な戦力だ。いくらガイエスを殺したにくい男とはいえ、そやつを殺すために帝国を戦力低下の危険に晒すわけにはいくまい?」

どれほど低い確率であろうと、帝国の誇る夢魔騎士団サキュバスナイツの団長と副団長を一度に失う危険を冒すわけにはいかないのだ。
ガイエスが死に帝国の戦力が低下している今、新たに主力ともいえる人間を失うのは帝国の覇権を脅かすことでしかない。
もろもろを考え合わせれば、シャルディナの判断は実に的を得たものだったのだ。

「しかしだ・・」

皇帝の視線がシャルディナへ注がれる。

「如何に致し方なかったとはいえ、余の命令が果たせなかったのは事実。よってそなた達にはガイエスの後を継ぎ、東部諸国攻略の任を命ずる。」

ザッ

シャルディナ達4人が一斉にその場で頭を下げた。
皇帝が罰を与える代わりに、新たに勲功を立てる場を与え其の功績で今回の失敗を相殺しようとしているのがわかったからだ。

「必ずやご期待にこたえて見せます。」


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