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いよいよ国境突破です。
今度は無事に書き終えたいな・・・
今後ともよろしくお願いします。
異世界召喚編
第1章第19話
異世界召喚3~4日目【休息と今後】:

奴隷商人達を始末し其の死体を森の中に放置しした後、亮真達は金貨と宝石類をまとめて背負うとアルーの町へと街道を急いだ。
幸いな事に怪物モンスターや盗賊達の襲撃はなく、無事にアルーの町へ着いたのが22時頃。
町の食堂は既に閉まり、亮真達は町で唯一の宿屋に宿泊チェックインしたのだった。


「じゃあ、食べながら話すか。立ってないで座れば?」

亮真達3人の前には、宿屋の主人に無理を言って暖め直させたシチューとパンが用意されていた。
椅子を勧められた姉妹の顔に戸惑いの表情が浮かぶ。

「?どしたの?冷めるぞ?」

「奴隷がご主人様と同じ食卓で食べるわけには参りません。私達は後で食べさせて頂きます。」

「はぁ?」

ローラの言葉を聞き、亮真は思わず聞き返してしまった。

「奴隷が主と共に食事をする訳には参りません。」

「いや……有り得ないって……目の前にシチューがあるのに。大体冷めるぞ?」

「奴隷が暖かい食事をいただける事などありません。」

(この子達って一体……奴隷ってそんなに主人主人て言う物なのか?つうか俺が主人なのか。やっぱり……あ、いや!待てよ?)

「確認する。主人に従うんだな?」

「「はい。ご主人様にお使えする事が奴隷の役目でございます。」」

亮真の言葉に姉妹が声をそろえて答えた。

「主人って俺だな?」

「はい。血盟を結んでくださった貴方様が私達の主です。」

ローラの言葉にサーらが頷くことで答える。

「なら主人として命令する。一緒に座って食事にしよう。」

「「え?」」

予想外の言葉だったのか姉妹は互いに顔を見合わせた。

「メシはやっぱり1人で食べても美味くないしさ。今後に関しての話もしたいから、ほら!座って座って!」

2人はしばらく其の言葉に考え込んだ。

「……かしこまりました。失礼いたします。ほら、主人様のご命令です。早く席に着きなさい。」

意を決したローラが席に着きサーラを促した。


「よし!じゃぁ食べながら話そう。」

「「かしこまりました」」

亮真としては同じ食事なら楽しく食べたいと思うのが当然だったが、姉妹にとってはかなり居心地が良くないらしい。
一匙二匙のシチューを口に入れるとスプーンを置いて押し黙ってしまった。

(どうもぎこちないな……まあ話を聞いた限りでは奴隷ってのはかなり待遇が悪いらしいしな。いきなり直せって言うのも無理か。)

仕方なく亮真は血盟に関しての質問をすることにした。
食事時の話題としてはあまりふさわしくないことを自分でも自覚していたがいつまでも放っておける問題でもない。

「なら状況確認からだな。繰り返すけど俺が君達の主人になってるんだね?今」

「はい。先ほど結んだ血盟によって主従関係が結ばれております。」

「それだ!其の血盟ってなんなの?」

パンを頬張りなが亮真は尋ねた。

「血盟には2つの意味が有ります。1つは騎士階級が主君に忠誠を誓う儀式を指す場合。この場合は形式だけの儀式で拘束力は有りません。そしてもう一つが、戦奴隷≪いくさどれい≫が主に対して行う場合です。」

亮真は手に持っていたパンを食べることを止めた。

戦奴隷いくさどれい?」

「はい。奴隷には労働奴隷や性奴隷の他に戦奴隷いくさどれいと呼ばれる特殊な奴隷がいます。読んで字の如く戦いに使われる奴隷なのですが、戦う力が有るということは当然、主人に対して反乱を起こせるということにもなります。そこで主人の許可を取らなければ一切の戦闘が出来ないように封印を施されているのです。」

亮真の顔に嫌悪感が浮かぶ。
彼は他人が個人の意思を侵害するという事が気に入らないのだ。
今回の話も結局奴隷を使役する人間の都合を押し付けているにすぎない。
奴隷の反乱を恐れると言う事は即ち反乱されるような扱いをすると言うことだからだ。

「なるほどね。じゃあ次の質問だ。何で君たちはそれを結べた?」

今のローラの説明ならば、奴隷に主人と血盟を結ぶ方法を教わるはずがない。
亮真がこれを聞いたのには訳がある。
限りなく低いが、帝国の罠の可能性を考えたのだ。
わざと亮真に2人を助けさせて信頼させ、油断させる事を狙っているのではないかと。

「そ……それは……」

よほど言いにくい事なのかサーラは口を挟んだが、ローラの目配せを見て押し黙る。

「いいのよサーラ。ご不審になるのも当然だもの。判りました。ご説明いたします。ただし申し訳ないのですがこの話はご主人さまの胸の中にだけ納めて頂きたいのです。」

その真剣で、決意と覚悟の浮かんだ眼差しに気押されながらも亮真は大きく頷いた。
亮真にしても他人の秘密を吹聴するという趣味は無い。

「私達の姓はマルフィストと申しまして、元は中央大陸西沿岸にあるクィーフト王国に使える上級騎士の家系でございます。」

(騎士の家系?ってことは貴族か?確かに美人だし気品はある。だがなんで貴族の姫さんが奴隷何ぞに……)

ローラの話は亮真の予想を超える話だった。

「てことは君たちの本当の名前はローラ・マルフィストっていうのかな?」

「はい。マルフィスト家は古くから武人の家系としてクィーフト王家に仕えておりました。今から5年前の話でございます。長年貿易相手として付き合いのあった隣国シャドーラ王国との関税に関しての問題から戦となりクィーフト王国は破滅したのです。父の領地は王国の沖合に浮かぶ島でしたが、其処にも戦火の火の粉が降って参りました。」

当時の事を思い出したのか、姉妹の目に涙が浮かぶ。

「父は必死で領民と王国の為に戦いました。しかし宰相らの寝返りにより国王が暗殺された後は一気に形勢が傾いてしまい、父は領地の放棄を決定しました。」

「なら君たちはその時に逃げたのかな?」

亮真の言葉に姉妹が頷く。

「はい。数名の兵を護衛に付けて他国に落ち延びる予定でした。」

結局亮真以外はテーブルのシチューに手を着けなかった。
亮真ですら予想外に重い話を聞き食べるのを止めている。

「なんで護衛を付けた騎士のお嬢様が奴隷になんてなったのさ?」

「全ては私達の甘さが原因でございます。」

ローラの顔に苦渋の色が浮かぶ。

「私達は人の心の弱さを見抜けませんでした。あの日、領地の島より商船に偽装した船で隣国の海岸に渡った夜の事でございます。護衛達は私達を縛り上げると奴隷商人のアゾスへと私達を売り払ったのです。護衛はみな長年私たちによく使えてくれた信頼できるものたちばかりだったのですが……」

信じていた護衛達に裏切られ奴隷として売り飛ばされる。
悲劇と言って良いだろう。
まあ弱り目に祟り目という言葉のある通り、一つ悪くなれば全部が裏目に出てしまう事は良くあることだ。

「その奴隷商人のアゾスってのが昼に会った奴だな?」

「はい。私達は読み書きも出来ますし、武術も法術も基礎は習っておりましたので、戦奴隷としての教育を受けることになったのです。」

「なるほどね。それで血盟を結べた理由っていうのは?」

「父より血盟の儀式の行い方は聞いておりました。いずれ必要になると言われて。」

「そう言うことか……」

「はい。ただ奴隷の血盟は奴隷同士では出来ません。どうしても平民以上の方と結ばなくてはならなかったのですが。」

ローラの言葉に亮真は頷いた。
これは当然だろう。
奴隷同士で血盟を結べるならば、拘束の意味が無くなる。

「信頼出来る人間を探していたということか……なら俺を信頼したってことなのかい?」

「もちろんでございます。ご主人様はただお一人で、私達を守る為に闘ってくださいました。私達がお仕えするのに相応しき方だと思います。」

「私も同じ考えです。」

ローラの言葉にサーラの声が続く。

「ふぅぅ……」

2人から事情を聴き終え、亮真の口から大きなため息が漏れた。

(まいったな。)

亮真の正直な思いだ。
2人の視線が亮真に集まる。

「話は判った。でもそれなら俺が君たちを自由にするよ。幸い奴隷商人がため込んだ金もある。姉妹で人生をやり直せば良いじゃない?」

「それは出来ません!」

ローラの言葉にははっきりとした意思が含まれていた。

「奴隷の身になったとはいえ私達は誇り高きマルフィストの血を受け継ぎ者。私達の純潔と生命を命がけで助けて頂いたのです。我等の命が尽きるまでお仕えさせてください。」

姉妹の目に覚悟の光が浮かぶ。

「いや。あのさ、恩を着せるために助けた訳じゃないし。そこまでしなくても良いんだぜ?」

もちろん恩に感じないで良いとは言わない。
やはりお礼の言葉くらいは欲しいものだが、これはやり過ぎだ。

「いいえ!お仕えさせていただきます!」

ローラの言葉にサーラが頷く。

「まいったなぁ……俺にも都合ってものが……」

言葉を濁す亮真にサーラが口を開いた。

「それはご主人が異世界人だという事と関係していますか?」

亮真の顔には相変わらず笑みが浮かんでいた。

「何の話だい?」

だがほんの微かな変化だったが姉妹には亮真の動揺が瞬時に伝わった。

「ご心配なく。他言する気はございません。ただ事情をお話しいただきたいと思います。」

少しの間沈黙が場を支配する。

「何故だ?」

亮真は口を開いた。

「亮真様にお仕えするには、状況をきちんと理解しておかなくてはなりません。だからぜひ事情をお話しいただきたいのです。」

再びの沈黙。

(どうする?口封じも考えられるが……いや、馬鹿な。そんな事をするくらいなら見捨てた方がましだったじゃないか。俺は彼女達を助けると決めた時に覚悟したはずだ……なら。)

様々な思考が亮真の脳裏を駆け巡る。

「判った。」

「「では!?」」

亮真の言葉に姉妹はテーブルに身を乗り出したが、亮真はそれを手で押しとどめた。

「二人の気持ちは判ったが、少なくとも俺は奴隷なんていらない。だから俺の事情を聞いてそれでも俺についてくるというのなら血盟を結んだ奴隷としてではなく、自由な意思を持つ人間として来てほしい。」

奴隷として強制的に着いてくるのではなく、一人の意思をもった人間として着いて来てほしい。
これが亮真に今出来る最大限の譲歩だった。
亮真の言葉に姉妹は互いに顔を見合わせ頷きあうと、ローラが高らかに宣言した。

「かしこまりました。それがご主人様の意思ならば!」


結局2人の決心は変わらなかった。

あの日亮真は自分が異世界により召喚された事。
召喚直後に兵士と召喚した術者と殺害して逃げ出した事。
現在帝国より追手がかかっている事。
顔が判られていない点が利点ではあるが、今後どうなるか判らない事。
自分と一緒に居る危険性などを細かく説明したが姉妹の決意は変わらなかった。
それどころか、「顔が知られていないならば、私達と居る方が尚更逃亡中だと判り難いのではないでしょうか?向こうは亮真様がこの世界で共を見つけているとは想像していないはずです。」などと献策してくるほどだ。
2人の決意と献策された利点、そしていずれ時期をみて奴隷の身分より開放すると言う条件の元、共に行く事を決めたのだった。

「本当に着いてくる気かい?俺はいずれこの世界から消えるんだぜ?」

亮真にしてみれば、いつまでもこの世界に居る気はないのだ。
例え誰も地球への帰還方法を知らなくても、自分で0から手段を作れば良い。
それだけの覚悟をしていた。
だがローラは微笑みながら言った。

「それならばご主人様が基の世界へお戻りになるその日までお仕えさせてください。」

するとサーラが口を開いた。

「お姉様。私達も亮真様の世界へ一緒にお連れ頂けば良いんじゃない?」

「あら。そうね。いい考えだわ!それならずっとお仕え出来るわね。」

サーラの言葉に亮真は愕然とした。

(おいおい……彼女達つれて戻るだって?爺に殺されるぞ、いや飛鳥にだって。)

亮真の葛藤をよそに姉妹の顔に笑顔が浮かぶ。

(まぁ先の事はしょうがない。まずは国境を抜ける事が先決だしな。)


次の日、亮真達3人はアルーの町で装備をそろえた。
姉妹は共に曲刀シミターを2本使うのが一番慣れたスタイルらしいが、あいにくアルーの町では扱っていなかった。
防具もやはりサイズが合ず(胸が大きいのに腰回りが細い為)武器屋で亮真の切れなくなった剣の代わりとあわせ、剣を3本と投擲用の投げナイフを30本ほど購入して終わりとなった。
予想以上だったのは奴隷商人のアゾスの遺産だ。
銀行へ持ち込んだ金貨は予想通り500万バーツを超えていたのだが、宝石商へ持ち込んだ宝石に驚きの値がついた。

「全部まとめてで3000万バーツでいかがでしょう?」

「「「えっ!?」」」

宝石店の中に3人の声が響く。

「お値段にご不満ですか?私どもとしては正直これが精一杯でして・・・」

3人の声は値段の高額さに対しての驚きの声だったが、宝石商はそんなもんかよ!と言われたように思ったのか下手に出てきた。

「あ!いやいや・・・良いんですけど。」

指輪や首飾りなどかなりの数が入っていることは知っていたがまさかそんなに高値がつくとは予想していなかったのだ。
だが亮真の返事を聞いたトタンに商人の顔に笑みが浮かぶ。

(あぁん?コイツ・・・ひょっとして足元見てるのか?)

亮真達を素人と思い宝石商が値段を不当に低く出した可能性は有る。
だが実際に亮真達には宝石の鑑定など出来はしない。
追っ手が存在しているのに、多量の貴金属を持ち運ぶのも問題だ。
此処で金に換えてしまうしか選択肢は無い。

「さようですか!ではすべて引き取らせて頂きます。たださすがにこの金額ですと現金では少々……恐れ入りますが口座振り込みでよろしいでしょうか?」

「あぁ……えっと」

亮真は思わず姉妹を見た。
口座を持っているのが亮真一人であるため当然亮真の口座を使うしかないのだが、自分一人の口座に振り込まれることに後ろめたさを感じたためだ。
だが姉妹が頷くのを見て亮真は自分のカードを差し出した。

「じゃあこれで。」


「ギルド登録の前に、銀行だな。」

「そうなのですか?」

サーラが聞き返してくる。
2人には冒険者に関しての知識はあまりないようだ。

「ああ。依頼クエストの報酬も銀行振り込みで行われるので、口座がないと登録も出来ないんだよ。」

「そうなのですか。」

姉妹の顔に尊敬と驚きの表情が浮かぶ。

(この方は本当にスゴイわ。この世界に召喚されて数日しか経っていらっしゃしゃらないのに、私達ですら知らないことをご存知だなんて。)

ローラが関心しているうちに亮真の足が止まった。

「さあ。此処だ。」

亮真達は大通りに面した銀行の玄関をくぐった。


30分後。
口座開設の後3人はギルドへと向かい、姉妹の登録を果たした。

「さて。今後に関してだけど。」

3人は有る情報をギルドで聞き再び宿屋の一室に戻った。
国境の封鎖である。
ギルドで姉妹を登録しそのままアデルフォの町へ向かうつもりだったが、3人は予定の変更を余儀なくされた。

「はい。このままアデルフォへ向かうのは下策でしょう。」

ローラの言葉にサーラが頷く。

「私もそう思います。タダの封鎖なら町の守備隊へ大目にお金を払えば通れるのですが。」

「シャルディナ皇女か・・・」

亮真の言葉に2人が頷く。

「はい。皇女直々の命令での封鎖となるとまずお金では解決出来ないでしょう。」

大抵のことは金で解決できるが、さすがに皇女が直々に指揮をしている町で賄賂に目がくらんで目こぼしするヤツは居ないだろう。

「となると・・・・進むか・・・引くか・・・」

3人の前のテーブルには道具屋で買った帝国領内の地図が有る。
民間用の為、街道と町の場所それにおおよその距離しか書かれていない物だが。

「引くとすれば向かう先は南ですかね・・・・」

南の国境に向かうにはアルーから南西に怪物モンスターの蠢く森を突っ切るか、一度帝都まで戻りそこから南下するしかない。
どちらを選択してもおよそ10日程の行程だろうか。
森を突っ切れば距離的には短縮されるが怪物モンスターと遭遇することにより結局日数は変わらなくなる。

「いや・・南に行く気はない。帝国も一番注意するのは南だろうからね。」

帝都から尤も近い国境は南である。
追っ手は逃亡者である亮真が最短距離を選択するであろうと予測しているだろう。

「そうなると北か西ですが・・・」

ローラの顔にお勧めできないとはっきり書いている。
地図を見れば一目瞭然だ。
どちらも遠すぎるのだ。
地図上の直線距離にしておよそ300km以上
一日20Kmを歩くとして実に半月以上掛かる計算となる。
それ程移動に時間を掛けるなら、ほとぼりが冷めるまで帝国領内に留まる方がずっと安全だ。
だが時間を掛ければ帝国は其の豊富な兵力を動かして亮真を見つけ出すかもしれない。
将来を見通すならさっさと他国に逃れるほうが良いのは自明の理だ。
その辺は姉妹も十分に理解している。

「結局このまま東の国境を抜けるしかないか・・・」

亮真の言葉に姉妹が頷く。

「そこでですが私に案があります。」

サーラに視線が集まる。

「街道を避ける案?」

ローラの言葉にサーラが頷く。

「東の国境を抜けるしか方法が無いが、アデルフォは通れない。そこで街道を使わず森を抜けて直接ザルーダ王国へ抜けるのは如何でしょう?。」

サーラの指が地図上のアルーから街道を北に逸れ、森林地帯を抜けてザルーダ王国へと辿り着く。

(悪くない。だが・・・)

決して劣っているわけでも何か明らかな欠点があるわけではない。
だが。

(俺が東に逃げることを予測して国境を封鎖したヤツが気がつかないだろうか?)

この世界の街道には結界が張られよほどの上級怪物モンスターでなければ超えられない。
街道を使えば安全に移動することが出来る。
これはギルドの初心者ガイドに書かれていることだ。
ただし必ずしも街道を通らなければ行き来が出来ないかといえばそうではない。
腕に自信が有り、安全で快適な宿屋での一泊を諦めて森の中で一夜を過ごす覚悟が有るならば森を抜けるという方法も存在する。
今までの対応の早さから見てシャルディナ皇女はかなりのキレ者だろう。
そういった人間が森を抜けるという選択肢を見逃すとは思えない。
だが道すがら聞いたところ追っ手はさほど多くない。
広大な森の全てをカバーしていることは無いだろう。
そういった意味ではサーラの提案はとても良い。
だが発見されれば間違えなく拘束される。
連中は亮真の顔を知らない。
其れは逆に大柄な人間全てを疑って掛かるということだ。
つまりローラ達を連れているからといって見逃される可能性は低いというわけだ。

(ローラ達を連れているからといって見逃される可能性は無いだろう……なら一緒に行く意味は無い……いや、まてよ……)

連中が2人を知ることは無い。
俺と連れ立って歩かなければ拘束されることは無いだろう。
そこまで考えた亮真の中で何かが閃いた。

「サーラ、ローラ。森を抜けることにする。ただし……」

亮真の顔に酷薄な笑みが浮かび姉妹達の顔に驚きが広がる。

(さてどちらが狙われているのか教えてやるぜ。皇女様よ)

狩られる者と狩る者が入れ替わった瞬間であった。
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