SF奇兵隊2 伝法赤い筏(22/27)PDFで表示縦書き表示RDF


SF奇兵隊2 伝法赤い筏
作:隆伊



山口政治堂


「我は東行殿が子息、高杉東夷の使いの者じゃ。奇兵隊総督山県殿に会いたい」
 山口の政治堂を警備している奇兵をつかまえ、こう言ったのは天谷だ。ちゃんと、高杉晋作の子であることを強調している。こう言えば、門前払いなどできぬ。いかな新兵でもその名を知らぬ者はない。長州を救った英雄だ。むげには扱えぬ。
 思ったとおり、兵隊は、いったん彼らを迎賓の間に通し、そこに待たせ隊長に報告に行った。現れたのは益田何某という部隊長。申し訳ないが総督山県は萩最前線の洞窟の中にありここにはおられぬ、との返答。
「では、案内頼めますかな」と天谷が言えば、おひとりだけなら、との返答。
 その言葉を聞いて一様に外松の顔を見る天谷と新居浜。
 何だ! 俺か! と腹で思った外松。確かに元が奇兵であるゆえ適任ではある。が、勝手に話を進めておいて尻を俺に持ってくるか、天谷、老獪であるぞ。が、不承不承こう言った。
「では、益田殿。よろしく頼み申す」

 さて、外松を奇兵隊に預け、政治堂をあとにした天谷と新居浜。
「では、我々は萩でも見物に行くか」つまり、萩の軍備を調べに潜入するということだ。
「ああ」とどこ吹く風といった返答の新居浜。
 政治堂周辺は避難民であふれている。大きな天幕を張った屋根の下で、炊き出しなど配られている。新居浜はそのなかのひとりの女を見とめていた。その視線に気づいた天谷。
「どうした。確かにいい女じゃが、どうせ人妻じゃ。やめておけ」
「そうじゃない」とは言いつつも、確信が持てず言い出せなかった。
 確かずっと以前に見た張り紙、そのなかの人相書きによく似た女だ。狗の一味といって手配中であった。












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