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FBIから来た女:4〜清流・青の章
作:ユーリ



ファイル342:江戸川コナンの苦悩の1日『5』


約束の時間は9時。

時刻は既に10時。


「っていうか・・・どうして来ないのよ。」

コナンが送れた事により、哀の腕時計が死の危機に(ひん)していた!!


「10分前行動って学校で習わなかったの?9時の約束したら8時50分には来るのが常識でしょ!!ねえ!!聞いてる!?」

そう言われましても。


「も〜!!来るならサッサと来なさいよバカ〜ッ!!」

この時点で彼女の怒りはピークに達していた。

が、さらに1時間後。

ちょっと寂しくなってきた。


「何よ・・・もぉ・・・もしかして本当に来ないつもり・・・?」

そんな事を言い始めた。


「ハァー、失敗したなぁ。今日携帯家に置いてきちゃったし、コナン君に連絡取れない。・・・もしかして私、嫌われちゃったのかな?ま、よく考えたら会った瞬間から、あんまり女の子らしいカワイイところを見せてこなかったし・・・嫌われて当然かな・・・」

女の子らしいカワイイところなんて・・・

ありましたっけ?

彼女にはそんな声が聞こえた気がした。


「!!なぜかしら?私今、この腕時計にものスゴい殺意がわいたんだけど・・・」

ヒィィ!!

何も・・・

何も言ってませんよ!!

『哀はオレが守る。』

ふとそんな言葉を思い出した。


「何よ。あんな事言ったクセに・・・結局放ったらかしじゃないぃ・・・!!どうせ私との約束なんか忘れて・・・」

そこから先の記憶が飛ぶ。





コナン
「あの・・・哀?」

ふと目を開けると、待ちわびた人の姿が。


「へ?あ・・・コナン・・・君?へ?あれ?私いつの間に寝ちゃって・・・!?っていうか・・・今は・・・11時半?」

コナンが作り笑いしている。

それでごまかそうとしているようだ。

しかし、その途端彼の頭上を木刀が襲った。

ヒュン!!


「9時に来るって約束じゃなかったかしら?」

コナン
「ごめんなさいごめんなさい。」

ひたすら弁解するコナン。


「まぁ要するに、宮本武蔵気分ってワケよね?」

コナン
「へ?」


「ワザと遅れて敵の油断を誘うっていう兵法・・・」

コナン
「イヤ、そうじゃなくて・・・えーとどう言っていいやらなんだけど・・・ちょっと素で忘れていたというか・・・」

ピキ!!

その瞬間、哀の中で何かが切れた。

コナン
「あれ?あの・・・哀・・・?」


「素で・・・忘れて・・・いた・・・?」

明らかに恨みのこもった声で言う哀。

そして彼女の体は怒りで震えていた。

コナン
「うん。ちょっと色々あってね・・・その、スゴく面倒くさい事に巻き込まれて・・・」


「面倒くさい・・・?」

コナン
「ち、ちがうよ!!め!!面倒くさい事に巻き込まれたんだよ!!」

哀の怒りのメーターがグングン上昇していく。


「勝負して欲しいんだっけ?武器・・・早く持った方がいいわよ?」

コナン
「イヤ・・・あの・・・勝負はもういいっていうか・・・あ、ボクの負けでいいから・・・」


「あなたがよくても・・・私の気が収まらないのよ〜!!」

哀がついに切れた。

コナン
「わ〜!!」

コナンの悲鳴が響き渡った。





所変わって、ここは東尾家。

そのソファーに瑛祐とマリアが座っていた。

瑛祐
「そういえばマリアちゃん。どうしてあの手紙武器持参なんだ?」

今回手紙を書いたマリアに瑛祐が聞いてみる。

マリア
「え!そやかて武器勝負やったら、相手の武器を落とせば簡単に決着がつくやないか。それにその・・・素手だとホラ・・・()んず(ほぐ)れつというか、その・・・肉体的接触がその・・・」

瑛祐
「フーン。マリアちゃんって意外と・・・」

マリア
「い・・・!!意外と何や!?意外と・・・!」

何となく怪しい会話が続く。

瑛祐
「けど呪いも解けたようだし、あの2人が戦う事はもうなさそうだが・・・本気で戦うとどっちが勝つと思う?」

瑛祐が何気なく聞いてみた。

マリア
「そやね、武器を使うとなれば多分哀ちゃんやね。」

瑛祐
「それは、好きな人相手だと戦いにくいからか?」

マリア
「それもあるけど、実はウチ小学校の昼休みに練習用に木刀を持ち込んでたんや。哀ちゃんはその隠し場所を知っとるから、十中八九それを使っていると思う。その木刀はウチが昔京都で手に入れた霊験あらかたな物なんよ。そしてそれは使う者の潜在能力を極限まで高めるんや。哀ちゃんも何回か練習につき合って使っているから慣れているハズや。そやから、哀ちゃんにはコナン君の動きが、全部見えているハズやで。」






「たぁ!!」

哀の一撃を何とかコナンは避ける。

伊達にサッカーをやってはいない。

しかしいつまで避けていられるかわかったものではない。

コナン
「ゴメン!!本当にゴメン!!」

何とかコナンは哀をなだめようとするが、哀は全く聞く耳を持たない。





マリア
「まぁ、その分感情も高ぶりやすくなるんやけど・・・哀ちゃんはそれさえも完璧にコントロールできとったから大丈夫やろ。」

そこでマリアは一端話を打ち切り紅茶を一口飲む。

瑛祐
「何らかの拍子でできなくなったら?」

マリア
「コナン君が大ピンチになるやろうけど、まぁ大丈夫やろ。」

瑛祐
「本当に大丈夫なのか?」

さらに念を押す瑛祐。

マリア
「もう大丈夫って言ってるやろ、信じなさい!」





そしてそのコナンはというと・・・

大ピンチだった。


「まったく、ずいぶんうっかり者の探偵さんね!!」

木刀の攻撃をなんとか避けるコナン。

しかし、それもいつまで続けられるか。

コナン
「い・・・いかん。このままではマズイ!!ど・・・どうすれば・・・?」

麻酔銃は既に撃ちつくされていて、キック力増強シューズは履いてはいるが蹴る物がない。

ボール射出ベルトは故障中ときている。

もはや、絶体絶命か?

その時、頭に響く声が。

「こんな時こそ必殺技じゃよ。ルーク・スカイウォーカー・・・」

声のした方を振り向くと、そこには得たいの知れない、何というかハムスターのような生き物が、着物を着て立っていた。

コナン
「って、あなた誰!?」

「ホレ、漫画的な心理描写で天使と悪魔みたいなのがあるじゃん?アレアレ。ワシ天使。もしくは必殺技の化身。」

そう言うと、持っていたヒマワリの種を食べ始めた。

コナン
「もう少しマシなデザインの天使はいなかったんですか?」

しかしコナンのその言葉もどこ吹く風とばかりに、その自称天使は話を続ける。

「細かい事は置いておいて・・・こんな時こそ必殺・・・Aダッシュアタックを使うのじゃ!!」

コナン
「イヤイヤ、何勝手な事言っているんですか?」

「合言葉はE・・・わかったのならがんばるのじゃぞE・・・もう一個。」

そうしてまたヒマワリの種を食べ始めた。

コナン
「ってかアンタ、それ言いたかっただけでしょ!?」

「胸の大きさが戦力の決定的な差である事を教えてやるのじゃ!!」

コナン
「うわぁぁ!!どさくさにまぎれて何言っているんですか!!」

というか、体が7歳レベルではハッキリ言って関係ない事だ。

と、その時。


「ハァァァ!!」

哀の掛け声とともに、必殺技の化身は木っ端微塵に消え去った。

コナン
「あぁ!!天使!!」


「勝負の最中に何をゴチャゴチャ言ってるのかしら?」

コナン
「ああ、何だかわからないけど必殺技も倒されて・・・!!本当にピンチだ!!」

そして、哀はとどめの一撃を加えようと構える。


「だいたい今日約束したのはコナン君の方じゃない!!ここ数日、私が・・・どんな想いでいたかも知らないで!!」

ここで哀は気づいた。


「(あれ?)」

コナン
「ゴメン!!ゴメン!!けど、本当に色々あって・・・」


「色々あったからって・・・どうして・・・私との約束は・・・(ねえちょっと私・・・一体何を口走って・・・)」

心の中で思っている事と、口に出ている事が違う。


「そりゃ女の子らしくなくて・・・カワイくないかもしれないけど・・・!!(感情が・・・抑えきれない・・・!!)」

だが体が勝手に動いていく、そしてコナンに向かって竹刀を振り下ろした。

コナン
「ゴメン!!本当にゴメン!!」

コナンは自分に留めの一撃を加えられるのを覚悟した。

しかし、目をつぶったまま、いつまでたっても何も起こらない。

不審に思って目をあけると、そこにはポロポロ涙を流す哀の姿があった。

コナン
「って・・・え?」

そして哀の手から木刀が落ちる。


「私の一番大切な人なんだから・・・それくらい覚えておいてよ・・・だいたい誘拐されても姿を見せなかったし・・・」

コナン
「・・・ゴメン、哀。」

そしてコナンはそっと哀を抱きしめた。

その途端、何かが吹っ切れたのだろう、哀は鳴き始めた。



5分後

コナン
「落ち着いた?」


「うん・・・」

哀が落ち着いたところで、コナンは今日起きた事を全て話す事にした。

恥ずかしくても、愛する人の前で隠し事はするべきではないと思ったからだ。

そして、哀も全てを話した。

コナン
「そうだったんだ。ゴメンな哀。オレここの所自分の事ばっか考えて・・・オマエの気持ちをしっかり気づいてやれなくて。」


「私だって・・・欲張りすぎてたんだわ。そしてそれを無意識に認めたくなかったんだわ。今日誘拐されたのはその天罰だわ。自分に素直にならず、さらにそれを押し込めようとしたから。」

コナン
「イヤ、天罰なんかじゃねぇよ。オレが悪かったんだ。ちゃんと哀の事を考えていれば、オレが側に付いていれば・・・」

そしてお互い黙り込んでしまう。

沈黙を破ったのはコナンだ。

コナン
「まぁ、何だかんだいって哀が無事でよかったよ。それに、哀の素直な気持ちを聞けてよかった。」

そして、哀も立ち上がって言った。


「私も、自分に素直になれて良かった。」

コナン
「フッ。じゃあ帰ろうか。」


「そうね。帰りましょう。」

2人は手をつないだ。


「あーあ、けどコナン君のメイド姿見たかったな。」

コナン
「な!それをもう言うな・・・それだったらオレだってオマエのステージ衣装と歌を見たかったぜ。」


「もう!!・・・ウフフ。」

コナン
「うん?・・・ハハハ。」

緊張も解け、2人は笑い始めた。

想いが再び繋がる時・・・

それは自分自身が素直になる時かもしれない・・・





ちなみにこの数日後、商店街では哀や刃達3人組の歌と謎の美少女(コナンの女装した姿)が話題になったという。












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