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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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95/729

95:説得しよう。

 とりあえずびしょ濡れで重いし、服を脱がなきゃ。
 あれ? これどうやって脱ぐんだ? 背中側がどうなってるのかよく解んないぞ。
 ごそごそやってみたけど、翅がひっかかってしまう。

「シルク、これ脱ぎ方わかんないから脱がせてくれないかな?」

 カップに水を溜めていたシルクに声をかけると、少しビクッとしてこっちを向いた。
 んー、あの顔は「お世話していいの……?」と「でもやっぱりこわい……」が合わさった感じだな。

「お願い。濡れた服のままでいるのも地味につらいんだよー」

 更に押してみたら躊躇しつつこわごわと近づいて来て、少し震える手で脱がし始めた。
 昨日みたいにパッと行かないのは濡れてて脱がし辛いからなのか、単に服の仕組みの違いか。
 いや、私の機嫌を損ねない様に慎重にやっているだけだろうか?


 まぁとにかく裸になったので、再度お湯で流してしまうとしよう。
 あれ、シルクはどこ行った? あぁ、服を置きに行くのか。

「シルク、それ表に置いたらタオル持って戻ってきてねー」

 む、ちょっとピクッとした。呼ばれるまで離れて待機してるつもりだったな?
 そうはいかんよ。近づきたくない程に怖いんだろうけど、嫌でも近づいてもらう。
 自分勝手にも程があるって思うだろうけど、慣れて欲しいんだ。
 怯えられてる理由が完全に私の自業自得だから、余計に酷い話なんだけどさ。

 というわけで、家に居る間は甘えまくってお世話させまくって、触っても大丈夫な生き物だって思わせるのだ。
 なんか私の中の大事な物が崩れ去りそうな気がするけど。

 実際の所、人に見られたら恥ずかしいって事以外には問題が無いんだよね。
 逆に楽すぎたり気持ち良すぎたりっていう問題はあるけどさ。
 この年になって、なでなでで寝かされるなんてなぁ……


 しばらくは辛い思いをさせると思うけど、我慢してもらおう。
 なに、直後に水やタオルを差し出したりしてたくらいだ。恐怖で壊れてしまうほど弱くはないだろうさ。
 ……考え方が酷いなぁ、我ながら。

 あ、戻ってきた。
 服は置いてくるかと思ったら、タライに入れてきたな。っていうかそんなの有ったのか。


「それじゃ、洗ってちょうだい?」

 軽くシャワーで体を流し、後ろを向いてお願いする。
 手を少し前に出す以外は脱力して、持ちやすいであろう姿勢になっておく。

「……シルクー?」

 待ってても中々掴まれないので、呼びかけてみたらそーっと手が差し込まれた。
 さっきと同じように躊躇してたのかな。


 うーむ、すごい慎重な手つきでやってるな。やっぱりさっきの脱がす時のも怒らせない様にだったんだろうなぁ。
 いっそ何か大失敗してくれれば、それを優しく許してあげるっていう手が使えるんだけどな。
 基本的にお世話に関しては非の打ちどころがないんだよなぁ。やりすぎって事以外。

 ……と思った途端に慎重さが裏目に出る事態が発生した訳だけど。
 簡単に言うと触れ方が弱々しすぎて、すごいくすぐったい。


「シ、シルク、くすぐったいよ……!」

 おおう…… 言われると同時にバッと離れて、泣きそうな顔で頭を下げてプルプルしてる……
 これ罪悪感が凄いわぁ……

「い、いや怒ってはいないよ。大丈夫大丈夫。優しすぎてくすぐったいから、もうちょっと力を入れてくれると嬉しいなって言いたくてね?」

 うぅ、そんな「ほんとに……?」みたいな顔しないでくれ……

「ほらほら、このままじゃ私冷えちゃうよ。お姉ちゃん達も待たせちゃってるしさ」

 更に押してみたらやっと近づいてきた。口実みたいに言ったけど、待たせてるのは事実だ。
 まぁ何かあればメッセージを送るだろうし、時間が少しかかるのは向こうも解ってるだろう。


 早くしろって言ったような物だったからだろうか、少しペースが上がったおかげで早めに終わる。
 全身をくまなくこしこしされて、髪の毛も器用に洗ってくれた。
 やっぱりおどおどしてても手際はいいんだよなぁ。

 ざばーっと頭からシャワーをかぶって、カップへ……って温めてなかった。

「シルク、まぜてー。……うん、おっけー。ありがとね」

 温める印に魔力を流しながらお願いする。
 私に触れろって指示じゃないからか、すぐにやってくれたな。


「とりあえず妖精の服を優先して洗っておいてくれるかな? 乾かすのは私がやるからさ。上は部屋で新しく選べばいいけど、流石に下着が無いのは無理だからね」

 タライを持ってきたって事はここで洗うんだろうと判断して、指示を出しておく。
 まぁ改めて洗う必要があるのかって話はあるけど。粘り気がすごかったとはいえ実質はただの水だし、それも洗い流したしね。
 まぁ気分の問題だろう。



 洗濯をしているシルクの方を向き、カップのふちに両腕を組んであごを乗せ話しかける。

「シルク、洗いながら聞いてほしいんだけどさー」

 あ、手が止まった。

「いや、洗いながらでいいよー。それ無いと私出られないしねー。で、もう私を嫌いになっちゃってるかもしれないけど、一応聞いておいて欲しいんだよ」

 嫌いに、の所で首を振ってくれるのは嬉しいんだけど、怖くて首振ってるんじゃないかって思っちゃうよなぁ。
 いや、そんな考えじゃ駄目だな。ポジティブに行こう。


「まずは最初に、あの時はやり過ぎちゃって本当にごめんね? 私はただ、何も出来ない弱いご主人じゃないんだぞって教えたかっただけなんだよ」

 うん、本心ではあるけど自分で言ってて無理がある。
 まぁ力関係は解らせる事が出来たから、そこだけ見れば成功なんだけどさ。
 これからどれだけ甘やかしても、本気で舐められることはなくなっただろうしね。


「次に、実力行使に出たのは約束を破ったのと、私がそれを注意したのを無視したからだよ。お外じゃやめてって約束したよね?」

 シルクがブンブン頷く。

「いや、そんな激しく頷かなくても大丈夫。で、逆に言うと私はシルクにお家の中でなら好きにお世話させてあげるって約束もした訳だよね?」

 今度は慎重に頷く。
 まぁこれ、セットになってる約束が破られてるから反故になってるも同然なんだけど言わないでおこう。


「だからシルクは家の中だったら、私がやめてよーとか言っても遠慮なくお世話してくれていいんだよ」

 うん、好きにしていいって事は極端な話、「しなくてもいい」とも言えるんだけどね。
 匙加減も完全に投げてるし。実際、怖い相手にわざわざ近寄って世話したくなんてないだろう。
 まぁそれは困るからして貰うけどさ。
 「ほんとに良いの……? 怒らない……?」みたいな顔してるので、念を押しておこう。

「ほら、約束を破った事であんなお仕置きしたんだからさ。あれだけの事をやっておいて、私が約束を破る訳にはいかないでしょ?」

 正確には指示を無視した事だけどな。
 怖がってる事には変わりないけど、ほんの少しだけ表情がほぐれた。うん、本当に少しだけど。


「それにね。さっきの通り、私は一人じゃ服も脱げない『ごしゅじんさま』だよ? お世話して貰わなきゃ困っちゃうよー」

 冗談めかして甘える様な事言ってみたけど、実際脱ぎ方解らなかったからな……
 執務室で着せ替え人形やった時には、あんなタイプ無かったぞ。
 まぁ、流石に自分で着てたら解っただろうけどさ。


 うん、もういっそ開き直って表でもお世話を許そうかな。
 恥ずかしさを我慢してそういうかわいらしい姿を見せつければ、相手がPCでもNPCでもきっと良い事はあるだろう。
 っていうかお昼の蜜の売り上げとか、そういう好感度の高さがかなり影響してるだろうし。
 拒否したらやめてって言っておけば、ちゃんと聞くだろうしね。


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