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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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90/648

90:安心させよう。

 むぅ、これはマズい。
 これ逆に、怖がられ過ぎていう事を聞いてくれない状態まで行ってないか?

 いや、多分指示は聞いてくれるな。罰を恐れてっていう理由でだけど。
 要らない事をして私の不興を買う事を恐れるあまりに、指示した事しかやってくれないかもしれないが。


「シ、シルク。大丈夫だよ。何もしないから」

 プルプルしているシルクに近寄り、後頭部に手を置く。
 撫でようとしたのだが、触れた瞬間に全身を硬直させてビクッと固まってしまった。
 い、一応なでなでしておこう。

「ほら、叩いたりしないよ。怒ってないよ」

 硬直は解けたけど、まだ震えてるな。
 どうしたものか…… まぁ元通り優しくして、少しずつでも慣れてもらうしかないか。

「レティさん、ありがとうございました。シルク、ご飯食べよ? まだ残ってるから」

 中断してお仕置きを始めた私が言うのはどうかと思うけど、食事中だったしな。
 こわごわと振り向いて、私と目が合いそうになった瞬間にサッと視線を下げるシルク。
 むぅ、睨んでないよう。



「ほら、シルクちゃん。もう白雪も怒ってないから。大丈夫だよ」

 レティさんの手から離れ、台に戻って座り直したシルクにアヤメさんが声をかける。
 別に最初から怒ってた訳ではないんだけど、変な事を言ったらもっと怖がられそうだから黙っておこう。

「そうそう。私は約束を破った事を叱っただけだから、怒ってないよ。シルクは良い子だから、もう大丈夫だよね?」

 私の顔から微妙に視線を外したままだけど、首を縦に振る。
 でもこれ、「破ったらまたやるからな」って言ってる様な物か?


「それ、また破ったらんむっ!?」

 要らない事を言おうとしたお姉ちゃんをレティさんが黙らせる。
 あーもう、気づいちゃった顔してるじゃないか!

「いや大丈夫、大丈夫だよ。さっきのは叱っても聞かなかったからだから。次からはちゃんと聞いてくれるでしょ?」

 さっきだって、言ってるのに捕まえようとしたり逃げようとしたりしたからああなったんだし。
 いや、魔力を纏わせて近づいた時って逃げるしか無くなってたか……
 私の叱り方もかなりマズかったな。留まってたら死ぬって思ったから逃げたんだろうしなぁ。



 とりあえず、私も自分の分を食べなきゃな。
 んー…… まだ怖がらせるだけだろうけど、近づいてみるか。
 でも流石に上に乗るのは止めておこう。固まって動かなくなりそうだし。

 っていうか残ってるの私達だけか。皆は最初の方を見物しながら食べきってたっぽい。
 冷めちゃってるけど、さっさと食べてしまおう。
 あ、そういえば押し固めたのも食べないとな。とりあえず箱を吸って、と。

 おぉ、けっこう固いな。ビーフジャーキーくらい、いや魚だし例えるなら鮭とばか?
 どうでもいいな。


 くそぅ、やれば出来る所を見せつけたというのに、私が食べる姿を見てほっこりした視線には何も変わりが無いぞ。
 まぁいいか。今更マスコット枠から外れようもないし、それで恩恵を受けてもいるんだしな。
 いっそ開き直るしかないか。

 いや、流石にあざとく私可愛いでしょ? って路線には行かないし行けないけど。
 むしろそういう態度になったら見放されそうな気がするし。自然体が一番だろう。


 ふー、食べた食べた。さて、手を……っておや?
 手洗い用の水の入った小鉢が私の前に差し出されたぞ。
 怯えながらも大丈夫そうなお世話は忘れないのか。意外と強い子だな。

 ありがとう、と声に出して礼を言って手を洗う。
 【灼熱旋風】で乾かそうと思ったら、白い布が差し出された。あ、これで拭けって?
 再度礼を言い、手を拭いて返す。うんうん、こういうお世話なら恥ずかしくもないし嬉しい。

 良い子だね、と撫でようと近づいたらやっぱりビクッとされた。むぅ。

「ほらほら、大丈夫だってば。よしよし、ありがとねー」

 怯えられたけど引き下がらずに撫でまわす。
 ついでに【妖精吐息】もかけておいた。げんきになれー。
 叱った直後にあんまり甘やかすのもどうなのかとは思うけど、流石にあそこまで舐められる事はもう無いだろうし大丈夫だろう。
 ちゃんと叱れる力が有るって解ってくれていれば良いのだ。



「さて、それじゃ準備しようか」

「そういえばさ、アヤメちゃんって【鍛冶】と【裁縫】やるって言ってなかったっけ? 自分の装備の修繕が出来る様にって」

「あぁ、そういえばそうだったな」

「だから、ここは【料理】をやる私の出番でしょう」

「ミヤコ、あんた手伝ってちょっと多めに分けてもらおうとか考えてるだろ?」

「そんなことないよー?」

「それなら露骨に視線逸らすべきじゃないと思うよ、お姉ちゃん……」

 そうですって言ってる様な物じゃないか。


「アヤメさんが【鍛冶】に【裁縫】で、お姉ちゃんが【料理】か。それじゃレティさんは?」

「私は【細工】や【調薬】などですね。しかし【細工】の工房は入れないと聞きましたので、まずは【調薬】からでしょうか」

 後頭部にシルクをはりつけたレティさんが答える。
 癒してあげて懐かれたのか? アヤメさんがちょっと悔しそうだな。

「あぁ、それ作業場で騒いで追い出された人達が言ってるだけだよ。真面目にやる人ならちゃんと教えて貰えるから大丈夫」

 私だけじゃなくて羊さんも居たんだしね。


「そういえば雪ちゃんは行った事あるんだっけ?」

「うん。毎日お昼過ぎに行って教えてもらってるよ。良かったら紹介しようか?」

「はい。それではお願いします」

 レティさんなら騒いだりしないって思えるから、安心して紹介出来る。
 お姉ちゃんは…… まぁ、テンションが上がり過ぎなければ……?

「そんじゃ私も鍛冶場を尋ねるとするかな。ミヤコは一人で器具買いそろえるか?」

「んもー、またそんなイジワル言うんだから。私も一応付いて行くよぅ」

 まぁ確かに、これからすぐに家できな粉作りを始めるなら工房に行っても仕方ないだろうけどね。
 それじゃ、行くとしますかー。
 ……シルクが私と行くのを怖がって、レティさんの所に残るとか言い出したらどうしよ。


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