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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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87:蛍になろう。

 しょんぼりしてるお姉ちゃんの為に、ポチを再召喚しておく。
 というかポチよ、起きてから死ぬまでの間はどこに居たんだ?
 表で番犬でもやってたんだろうか。まぁいいか。呼んだのに戻って来なかったとかじゃないんだし。

「ポチちゃんおはよー! よーしよしよし、可愛いなぁー!」

 召喚されるとほぼ同時にお姉ちゃんにまとわりつかれて、なんだか「またか……」みたいな顔になってるように見える。
 がんばれ。


「それじゃ行こうか。とりあえずミヤコ、ポチは降ろしてやれ」

「えー。まぁ仕方ないかー」

 降ろされてほっと一息つくポチ。おつかれさまです。

「あんまりやりたい放題してたら嫌われるよー?」

「うぅ、それは嫌だなぁ。なるべく自重するよ……」

 本当に出来るのだろうか。まぁ虐めないなら私は構わないけど。
 ポチが本気で嫌がり始めたら止めるけどね。それはさておき、とりあえず出発しようか。



「そういえば雪ちゃん、【姫蛍】は試してみないの?」

 移動中に唐突にお姉ちゃんが問いかけて来た。

「んー、スキル無くても光れるし、そっちの方が燃費がいいからなぁ」

「でも一応やってみない? 減った分のMPは私から吸っていいからさ」

 何でそんなにやらせたがるんだ。確かに今日は狩りに出ないならMPは余るだろうけどさ。

「うーん、まぁいいけど…… 今は明るいから、光っても判りづらいんじゃない?」

「あぁ、そうかも。でもまぁ、光ってるかどうかくらいは解るんじゃない? 強さも調整できるんでしょ?」

「うん、一応出来るみたいだったね。それじゃ、やってみようか。【姫蛍】ー!」


 うん? どこも光ってなくない?

「んぐふっ! げほっ、ちょっ、白雪っ。お前、尻っ」

 ……えっ、尻? おいちょっと待て開発! 何考えてるんだよ!
 いや蛍なら間違ってないのか!? あれ、でも蛍の光ってるのってお腹だっけ!?
 いやそんなことはどうでもいいよ、解除だ解除!!

「んんっ。ふー…… あぁ、ごめんごめんシルクちゃん。許してよ。悪かったってば」

 むせたせいでシルクを乗せてる頭が動きまくったらしい。
 揺さぶられたシルクが「んもー!」って顔で、両手で頭をぺちぺちと叩いている。


 部位を意識せずに発動したらお尻が光るスキルとか、本当に勘弁してよね……
 まさかお姉ちゃん、これを予想してそそのかしたんじゃないだろうな?

「んもー。お姉ちゃん、もしかしてこの結果を予想して使わせたの?」

「ふふふっ、けふっ…… ふふっ、ちょ、ちょっと待って……」

 ちくしょー! 両手で顔を覆って必死に笑いを堪えてるよ!
 ちらっと見てみれば、レティさんもこちらから顔を背けていた。
 ここからだと体の陰になってて見づらいけど、左手を顔に当てて隠しつつ耐えてるっぽいな。
 レティさんにしては不自然な程、上半身に力が入ってるし。


「いやー、ごめんごめん。もしかしたらとは思ったけど、本当になるとは思ってなかったんだって。本当だよ」

「うー、もういいけどさ…… 完全に罠じゃないの、このスキル」

「まぁ解ってれば二度目をやらかすことも無いだろ。自力で光る手段が無ければ便利なんだろうさ」

「多分そうなんだろうけどね。なんだかんだで【大洪水】も【灼熱旋風】も結構便利だし」

「何か別の使い道があるのかもしれないしな。まぁ、落ち着いたなら行こうか」

「はいはーい。レティちゃん、大丈夫?」

「えぇ、問題ありません」


「それじゃ、っと。そうそう、雪ちゃんにちゅっちゅして貰わないとね」

「焼くよ?」

 威力を下げて、見た目だけ派手に炎を吹いて脅かしておく。ちゅっちゅ言うな。

「わー、ごめんごめん! でもほら、とりあえずMPは吸っておいてよ。私がお願いしたんだからさ」

 そう言って地面に片膝をついて、首元の髪を手でかき分ける。

「ふらつくほど吸う訳でも無いし、別に手とかで良いんだけど…… まぁいいや。いただきまーす」

「えっ、私食べられちゃう?」

「いやいや、食べないってば。今から触るって合図も兼ねて、なんとなく言ってみただけだよ」

「ミヤコも解ってるくせにいちいち振るなよ。白雪、ちょっと割増しで吸ってやれ」

 いや、別にMPに困ってないからな。溢れても勿体ないし。


「よし、ごちそーさまー。それじゃ改めて行こうか」

「待ってー雪ちゃん、手ー貸してー?」

「いや、握り潰す気? 引っ張れる訳ないじゃん」

 もしくは腕ごと物理的な意味で貸す羽目になるよ。返して貰っても付けられるか怪しいけど。

「あはは、冗談冗談っと。んじゃ行こー」

 笑いながら立ち上がり、先に歩いていく。無駄にテンション高いな。



「それじゃ、何にするかね。レティ、何か無いか?」

「そうですねぇ…… あ、あの焼き魚などはどうでしょう?」

「よし、それにしよう。おねーさん、三人分とこの子たちに何かお願いします」

「あいよー!」

 よく日に焼けた、健康そうな体つきのお姉さんだ。
 でも、そんなに焼けるほど日差しは強くない筈だけど…… まぁどうでもいいか。
 そんなの気にしてても仕方ないくらいに不思議な事ばっかりだし。
 っていうか背高いなぁ。現実の私よりも大きそうだ。お姉ちゃんとの差から見て、百九十近いんじゃないかな?
 だからなんだって話だけど。あ、出来たかな?

「へいお待ちー! 妖精さん、まだ熱いから気を付けてな!」

 威勢が良すぎて耳がちょっと痛いぞ。我慢するけどさ。
 肝心のお魚は、パッと見サンマみたいな形だな。なんか所々微妙に違うけどいいや。
 私の中ではこれはサンマってことにしよう。


 私たちの分はほぐしてくれてるな。ありがたい。
 とりあえずクッションに座…… いやシルクちゃん、なんで隙間に滑り込んできてるんだ?
 お外では無理にお世話しないって、お約束したでしょ?

 ぷにっと着地した反動で再度飛び上がり、文句を言おうと振り返る……って居ない?
 疑問符を浮かべた私の後ろから、口元とお腹に手が回されて捕獲される。
 もがーっ、離せー!

 声を出すことも出来ないので、仕方なく手足をじたばたさせてシルクの体にぶつけるがびくともしない。
 シルクは私の抵抗を気にすることも無く、そのまま元の位置に連れ戻して座り直した。
 泣き落としどころか実力行使に出られてしまったぞ……


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