挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
82/399

82:膨らんだ。

 一部ぼかしつつも、二人に昨晩の事をさらっと説明した。
 流石に全身くまなく洗われたとか、あんまり言いたくないよね。

「なんていうか、凄いねぇ」

「しかし召喚者なのに泣き落としで押し切られて全部許すとか、ちょっと甘やかし過ぎじゃないか?」

「うーん、まぁその自覚はあるなぁ。泣けば言う事聞いてくれるって思われても困るし、ダメな物はダメって言わないといけないよね」

 ちゃんと私がご主人だって解ってもらわないとね。舐められてはいけないのだ。
 うん、どの口が言ってんだってくらいに遅すぎる感じはするけど。



「そういえば雪ちゃん、何か新しいスキルや魔法は覚えた?」

 また唐突な質問だな。なんか私ばっかり聞き出されてる気もするし。

「そういうお姉ちゃんは?」

 逆に聞いてみよう。質問に質問を返すのはどうかと思うけどね。

「うーん、レベルが上がって増えたりはしてるけど珍しいものは何もないよ? ほら」

 そう言って、スキルパネルを開いてこちらに見せてくる。確かにごく普通の魔法攻撃職のスキルだ。
 【火魔法】をメインに使ってるっぽいな。二人を焦がしたりしてなきゃいいけど。


「まぁ普通にやってれば大体普通の構成になるさ。白雪みたいな愉快なのはそうそう居ないよ」

「いや、愉快って。えーと、何が有ったっけ…… あ」

 色物っていうかあんまりイメージ良くないのばっかり増えてるわ。
 【光魔法】はまともだけど、持ってるって昨日言ったし。

「なに?」

「いやー、【妖精】らしくないのばっかだなって」

「それ、もうかなり今更だよな」

 うるさいよ。



 【血肉魔法】と【吐息】のパネルを開き、引き延ばして渡す。

「うわぁ……」

「流石にここまでとは思ってなかったわ、うん」

「こういうスキルというだけなら珍しくは無いですが…… どちらかというと、敵が使ってくる物ですね」

 ですよねー。私もそう思うよ。


「これはどのような手段で習得されたのですか?」

「えっと…… あぁ、そうだ。【血肉魔法】は魔人さんを破裂させて、骨や肉片を弾丸みたいにばら撒いた時だね」

 多分。もしかしたらその後の溶かした時点かもしれないけど。

「うん、自力取得が無理だって言う事はよく解ったよ。人相手じゃなくてもMPが足りなさそうだし」

「しかしまぁ、笑顔のまま凄い事言うな。慣れか?」

「確かに、今の時点で一番人を殺してるのって多分雪ちゃんだよねぇ」

「一番かは解らないけどな。まぁ少なくとも公開で処刑した人数はトップだわ」

 そりゃまぁ、他にやってる人居ないだろうけどさ。

「それだけでも三人か。で、回数で言うと七回分か」

 それだけだもん。……いや十分多いな。
 とりあえずなんかまずい話の流れだし、とっとと次に進めよう。


「で、【溶解吐息】は溶けた魔人さんを見て兎さんと一緒に吐いた時に取れた」

「もうなんでもアリだな」

「それは私も言いたい事だよ。もう諦めてるけど」

「これって試してみたの?」

「ううん、どっちも試してないよ。別に使わないし構わないかなって思ってね」

「見てみたーい! ねっ、やってみようよ!」

 えー、なんでだよ。あぁ、言葉通り見てみたいだけか。


「んー、まぁいいけどさ。何か溶かすような物、持ってる?」

「じゃーん! その辺に落ちてた石ー!」

 鞄を漁り始めたと思ったら一メートル位の大きさの岩が出て来た。
 なんでそんな物持ってて、なんで自慢げなんだよ。

「いやミヤコ、あんたなんで鞄にそんな物が入ってるんだ?」

「こう、いざって時に投げつけたり出来るかなーって」

「いや魔法を撃てよ。っていうかもうちょっと小さい方が投げやすいだろ」


「というわけで雪ちゃん、これにどうぞ!」

 岩を地面に置いて離れて行く。んー、使ったこと無いから加減が解らないぞ?
 とりあえず軽く、霧状にふわっと吹いてみよう。

 おー。霧に触れた瞬間にシューシュー言ってる。
 軽くでこれかー。それじゃ普通に行ってみよう。ふーっとね。

 うん、当たった所が消えたね。いや消えた訳じゃないけど、ジュッて言って溶けて崩れた。
 これもうっかり人に吹いたら洒落にならない奴だな。
 そもそも弱くしてても、人に酸を吹きかけてる時点で洒落にならないけどさ。


「おー、溶けてる溶けてる」

「更に愉快な生き物になったなぁ」

 今なった訳じゃないやい。

「もう一つの方は、【血肉魔法】を登録していないでしょうから見られませんね」

「あ、うちの結界の中なら私がスキルを使っても警報が鳴らない様にしてくれてるよ。玄関前なら大丈夫だと思う」

「ほー。それじゃ、私に使ってみるか? この中じゃ、私が一番HPが高い筈だしね」

「万一吸い過ぎても、死にさえしなければ私が回復しますので大丈夫ですよ」

 【吸精】の時は一瞬でMPを吸い尽くしそうになったけど、こっちはペナルティ対象だろうから普通に使っても大丈夫だろう。


 皆で玄関の前まで移動して、私の前と左右に取り囲むように三人が並ぶ。
 近くで囲んで見下ろされると、慣れててもやっぱり圧迫感があるな。

「ほい、それじゃどうぞ」

 アヤメさんが正面でしゃがんで、顔の高さに人差し指を突き出す。
 それに近づこうとしてふと気づいた事を口に出してみた。

「っていうか今更だけど、これって見ても特に何か起こるスキルでもないんじゃ?」

「本当に今更だな。確かにそうだけど、もう構えちゃったしやってみようじゃないか」

 まぁ良いって言うならやるけどさ。
 突き出された人差し指を両手で包んで、先端に口付ける。
 せーの、【吸血】…… ひぎっ!? 痛っ、おっ、お腹っ、膨れっ、痛ぁっ!!?
 重っ、痛っ、飛んでっ、られなっ…… お、落ち、破れっ、お腹、破っ




 えっと…… 一日死なずに過ごせた翌日は、朝一からこれかぁ……
 発動した瞬間にお腹がとてつもない勢いで膨張して、重さに耐えきれずに落下。
 咄嗟にアヤメさんが私の下に手を出してくれたけど、そこにお腹から落ちた衝撃で破裂して死んだようだ。
 私のお腹、前側に一メートル位のボールを引っ付けたような形に膨れ上がってたっぽい。
 腹筋とか腹膜とかどうなってんだ。いや、どう考えてもそんなレベルの話じゃないけどさ。
 幸い服は上にめくれて、破れずに済んだようだ。危ない危ない。

 ペナルティが有るとは言っても魔力の差が大きすぎて、私の体じゃ耐えきれない程の量を吸っちゃったんだな。
 せめて威力は調整するべきだった。


 あ、お姉ちゃんからメッセージが来た。
 いやー、謝られてもこれお姉ちゃん別に悪くないよね。
 むしろ肉風船を受け止めたアヤメさんの手が大惨事になっちゃってるんじゃ……?

 とりあえず戻ろ……あっ、やば。
 万一シルクが大豆炒ってる最中だったら、火事になっちゃうかもしれないぞ。
 「家開けてみて厨房に火が入ってないか確認して」ってメッセージを送ってから戻ろう。
 こんなんで家と服燃やしたりしたら、アリア様になんて言えばいいんだよ。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ