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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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61:ぷにぷにしよう。

2016/02/13 21時 前話のシルク召喚時の記述に少し追加しました。
 さて、ご飯を食べに行くのは良いんだが一つ問題が。

「うーん、流石に太郎に地面を歩かせるのは危ないよねぇ」

 高さだけ見れば私以上に踏まれる危険が高いんじゃないか。
 あぁいや、走るスピードは比べ物にならないだろうし確実に私が歩いてるよりはマシだな。
 それに私みたいに横から軽く当たっただけで死ぬことも無いだろうしね。
 とはいえ危ない事には変わりは無い。


「それでは、私が運んで行きましょうか。どうぞ、太郎さん」

「あっ、ずるい! 私もたろちゃん運びたい!」

「出遅れる奴が悪い。諦めるんだな」

「むぅ」

 レティさんが太郎を手に乗せて歩き出し、二人もそれに続く。

「シルク、行くよー」

 呼びかけると頷いてこちらに滑るように移動してきた。
 やっぱり動き方も【浮遊】よりも浮遊っぽいな。動きにメリハリが無く、自然体のままスーッと滑ってピタッと止まる感じだ。
 一緒に三人を追いかけながら忘れていたことを聞いてみる。

「そういえば、シルキーって普通のご飯は食べられるのかな?」

 普通のも何も、普段シルキーが何を食べるのか知らないけど。
 というかそもそも召喚獣って食べる必要あるんだろうか?

 シルクがこちらを見て首をかしげる。
 何を言ってるかが解らないって感じではないな。

「それじゃお店で試してみようか。ダメそうだったら吐き出していいからね?」

 その場合きっちり謝る必要はあるけど、やる前からそういう事を言って無理されても困る。
 少しワクワクした顔になって頷くシルク。うん、食べられると良いね。



 花園から出た所で、唐突にシルクの速度が鈍った。
 頑張ればついていけない程ではないけど、見て判るくらいにはゆっくりになっている。

「みんなー、ちょっと待ってー。シルク、どうしたの? 大丈夫?」

 「どうしたの?」で首を振り、「大丈夫?」で頷く。
 うーん、大丈夫って言うけど明らかに減速してたしなぁ。

「もしかしたら、家から離れると力を出せなくなってしまうのでは?」

 レティさんの仮説に頷いた。そうなのか。っていや、ちょっと待って。園内に居る間は全く変化が無くて、出た瞬間に弱体化って。
 それ、もしかして花園全体がうちの庭って認識されてない?
 アリア様の台詞、本当は冗談じゃなかったとかいうオチじゃないだろうな?
 ……まぁ、広い方がシルクの為にはなるだろうしいいか。本当にそうなのかは判らないけど。


「よし、それじゃ私が連れて行ってやろう。ほれ、ここに乗って耳でも持っておくといいよ」

 アヤメさんが顔を少し下に向けて、自分の首の左右をポンポンと叩く。
 肩車をしようとするなら、脚を全開にしないと無理だろうしね。
 シルクがこっちを見るので頷いておいた。行っておいで。

 アヤメさんの肩に乗り、兎耳を持って後頭部に張り付いたシルク。
 なんか少し楽しそうな顔になってるな。操縦者気分だろうか。

「あー、アヤメちゃんもずるい」

「ははっ、悪いな。チャンスを見つけたらすぐに掴みに行かないとダメだぞ?」

 アヤメさん、実は子供好きなんだろうか?


「しかしなんだな。シルクちゃんの足、ひんやりしてぷにぷにで気持ち良いな」

 いきなり何を言い出すんだ。

「肉球みたいな感じ? ずっと浮いてるから硬くならないのかな。……はっ、それなら雪ちゃんの足も」

 つられてお姉ちゃんまでおかしなことを言い出したぞ。逃げよう。

「行くよ」

「ああん冷たいっ。って冗談だよー、待ってー!」

 早めに止めておかないと悪乗りしそうだからな。
 アヤメさんはシルクを振り落とさないように気を付けて動かないといけないし、ゆっくり行くとしよう。



 普段以上に注目の的になりながらホットドッグの屋台に到着。
 アヤメさんから降りて頭をさげ、シルクが私の横に並ぶ。一緒におじさんに挨拶だ。

「おぉ、おはよう。新しい子か、よろしくな。」

「この子はシルクって言うんだ。それとこの子は太郎。で、ホットドッグとポテトを三人分とこの子たちに何か頼むよ」

「おう、ちょっと待ってな」

 アヤメさんが注文のついでに紹介してくれて、おじさんがごそごそと用意し始める。



「ほれよ。太郎とシルクちゃん、これは食えるか? 長いのが太郎の分だ。両方とも温かいって程度まで冷ましてあるからな」

 皿に短い物と長い物、二本のフライドポテトが置いてある。
 短い方は二十センチくらいだし、シルクから見ればコーヒーの缶くらいの大きさかな?
 そんな事を考えている間に、太郎は既に長い方を両手で持って齧り始めてるな。大丈夫みたいだ。

 シルクが恐る恐る口に運ぶ。
 あ、表情が輝いた。凄い判り易いなこの子。

「大丈夫みたいだな。白雪ちゃんはこれだ。硬い所は残しておいて構わんよ」

 半分に切ってほじくれるようにしたポテトが乗せられた皿と、ケチャップを乗せた小皿が出てきた。
 ほらシルク、これもつけてみるといいよー。



 完食して皆を待つ。そういえばさっきシルクがぷにぷにで気持ち良いとか言ってたな……
 妖精用の台に腰掛けているシルクの横からこっそり近寄り、二の腕を両手でそっと掴んでみた。
 ビクッとしたけど逃げたり振り払ったりはされなかった。

 なんだこれは…… アヤメさんの言ってた通りひんやりとしてて、ぷにぷにですべすべだ。
 おぉ、これは人をダメにする感触だ。ついむにむにと揉んでしまうぞ……


「何してんだ白雪……」

「はっ。止まらなくなるところだった、危ない危ない」

 ちょっとシルクちゃん、その「恥ずかしいけど、主の為なら私我慢します」みたいな表情で身を捩るのやめて?
 私が変な趣味の人だと思われたらどうするの。

「雪ちゃんやーらしー!」

「うっさいよう! 仕方ないんだよ、あれは人をダメにするお肌だよ」

「羨ましいですねぇ。私もそうありたいものです」

 うん、まぁ確かに。



 まだ食べ終わってないみたいだし、どうするか。
 そうだ、シルクには悪いけどちょっと試しに乗せて貰おう。おっきいから大した負担にはならないだろう。

「シルク、座らせてもらっていいかな?」

 笑顔で頷いてお膝をポンポンする。自分で言っといてなんだけど、私はお人形さんじゃないぞ?
 シルクの脚の上に両足を伸ばして座り、お腹に寄りかかる。
 おおう、布越しだけどぷにぷには健在だ…… あ、太ってる訳ではないけどね。
 あー。このままではダメにされてしまう。いや、乗っけてとか言ってる時点で大分ダメな気もするけど。

 あ、ヤバい。主に私の外聞がヤバい。
 周囲の私を見る目がもの凄く優しくなってる。これ赤ちゃんを見る目だ。
 うん、離脱だ離脱。
 なんかお姉ちゃんとアヤメさんがプルプルしてるけど、アヤメさんは多分笑うのを我慢してるだけだなアレは。


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