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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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58:説明しよう。

「んー、まぁ取ってもいいんじゃないか? 身内とまともに会話出来ないままっていうのもなぁ」

「ありがとー! それじゃ取得っと。……うわぁ、聞こえてなかった細かい音が聞こえてぞわぞわする」

「それでは私も取らせて貰いますね。う、これは確かに慣れるまで気になりそうですね」

「ポイント、使っちゃって良かったの?」

「少しの無駄が気になる位ならこんなのんびりしてないさ。それに中継する必要もなくなるしね」

「わー、ちゃんと聞こえるー!」

「えぇ、小さくですが確かに聞こえましたね」

 おー、大丈夫みたいだな。


「さぁ、雪ちゃん!」

「え、何?」

「ミヤちゃんって呼んでみて!」

 なんでそんな気合いが入ってるんだ。仕方ない。

「はいはいミヤちゃんミヤちゃん」

「雑ー! ……でもそれもまた良し!」

 なんなんだこのテンションは。ついていけないよ。


「話が出来て嬉しいのは解ったから落ち着け」

「んぐっ」

 鋭いチョップが刺さったお姉ちゃんが沈黙する。

「ところでこの豪邸、こんなに部屋があってどうするんだ? 白雪くらいしか使えないだろ」

「うん、私も同じ事を聞いた。どうしような! って言葉が返ってきたよ」

「考えてなかったのか……」

「お掃除が大変そうですね」

「おっきいもんねぇ。雪ちゃんのお部屋はどれなのかな?」

「ここだよ。単にベッドが置いてあったからここって事にしただけだけど」

「へぇー。あ、ほんとだ。ちっちゃい家具がちゃんとあるね」


「しかしこんなに部屋があるのに勿体ないねぇ」

「あ、そういえば私以外の【妖精】って見た事ある?」

「いえ、ありませんね」

「掲示板を見る限り何人か引いてはいたみたいだけど、すぐに諦めて作り直したらしい」

「え? ランダムは三日間作り直せないって言われたんだけど」

「あぁ、追加課金でその制限を無視出来るんだよ」

 そうなのか。っていうか課金あったんだ。
 でもそれ、好きなの出るまで回せばランダムの意味ないんじゃ?

「一回三千円だけどな」

「たっか!? 何それ!?」

「レア種族が自分に合わなくて、どうしてもすぐに遊びたい人の足元を見てる感じだな」

 ひどい話だな。


「ん? 【妖精】じゃなくてレア種族?」

「うん。掲示板にランダム限定種族の情報交換をやってるスレッドがあるんだけどさ。どれもこれも【妖精】程じゃないけどメリットとデメリットが極端な設定になってるらしいよ」

 使いこなせなきゃただの罠じゃないか……


「それで【妖精】に話は戻るんだけど、お願いして【浮遊】を解禁して貰ったんだ。その情報ってそのスレッドに書き込めばいいのかな?」

「あぁ、多分大丈夫。必要なら勝手に他の所にも伝わるだろうしね」

「正直な所、あんまり掲示板を開きたくはないんだけどね」

「あー、雪ちゃんを見守るスレ? それじゃ私が代わりに書いておくよ。町中で【浮遊】を使って良くなったって事でいいんだよね」

「うん、ありがと。これで【妖精】が増えるといいな」

「いや、無理だろ。飛べたとしても問題が多すぎるし」

 ですよね。解ってる。


「あ、雪ちゃんスレがものすごい勢いで伸びてるねー」

 さっきのアレのせいかな?

「新しいタイトルが【ぅゎ】【ょぅせぃっょぃ】になってるよ」

「前後のバランスが悪いな」

「せだけ普通なんですね。適当な文字が見つからなかったんでしょうか?」

 さっきのアレのせいだな……
 あと二人とも、突っ込み所はそれでいいのか?


「いや、そんなスレッドは見なくていいから」

「うん、大丈夫。もう書いたよー」

 早いな、言いながらやる事はやってたのか。

「ありがとー」

 お礼に【妖精吐息】をかけてあげよう。ふーっとね。

「わー、気持ち良いねこれ!」

 喜んでもらえて何よりだ。


「そうだ白雪」

「ん?」

「今日は何回死んだんだい?」

 質問が生き延びたか? から死んだ回数になってしまった……
 まぁ死んだけどさ。

「えーっと、三回かな」

「何が原因かお聞きしても?」

「うん、大丈夫。一回目はさっきの二人と一緒にあの魔力球の暴走で消し飛んで、二回目は魔人さんの横に出現したせいで上に手を置かれて押し潰された。」

「ほぼ自滅じゃないか」

 暴走の直接の原因は魔人さんとジョージさんだい。


「その後魔人さんのデスペナのお詫びに【魔力操作】の習得に付き合って、体に魔力を流してあげたんだけど」

「あぁ、掲示板に書いてたやつ?」

「一杯流した方が判りやすいと思う! って言うから一気に流しこんだんだけど、そしたら風船みたいに破裂しちゃった」

「いや、破裂しちゃったってあんた。軽く言うけど、かなりエグい事になったんじゃ?」

「うん。至近距離で受けて三回目の死に戻りだった」

「あの子も可哀想に……」

「いや、復活してからの第一声は気持ちよかっただったけどね。痛みは全くなかったとか」


「痛くないからってもねぇ。あぁ、それがメチャクチャ(物理)か。トロットロは?」

「その後、ゆっくり流し込んでみたらいけるんじゃ? って言うから試したら、破裂はしなかったけど全身がドロドロに溶けてスライムみたいになった」

「何ていうか、そんな立て続けに酷い死に方してよくあの元気でいられるな……」

「そっちも凄い気持ちよかったって言ってたからね。自分だとどんな姿になってたのか、よく解ってなかったっぽいし」

 そのおかげでちょっと混ざったのもバレなかったし。


「気持ち良いのかぁ。雪ちゃん、ちょっと」

「いや、やらないよ。あれ、見てる方の精神が削られるんだからね? 人間が柔らかく崩れていって全く原形を留めてない塊になってるのに、笑い声や気持ちいぃー……とか言ってるのが聞こえてくるんだから」

「それは怖いですね……」


「とりあえず、私の魔力を体内に流すと気持ちよくなって死ぬっぽい。【妖精吐息】の強力なのを全身に流したみたいだって言ってた」

「白雪、妖精って」

「言わないで。何が言いたいかは解るから」



「それじゃ、そろそろ休憩するかい?」

「そうですね。ここでログアウトさせて貰って宜しいですか?」

「うん、大丈夫だよ。私はお風呂に入ってからにしようかな」

「えっ、お風呂あるの? いいなぁー」

「羨ましいねぇ。汚れはしないから無くても何とかなるけど」

「その辺りは気分の問題ですね」

 流石に皆は入れないからなぁ。諦めて貰うしか無いよ。


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