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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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572/678

572:帰りを迎えよう。

「っと、置いてかれちゃったよ」

「待って待ってー。あ、妖精さんばいばーい」

「あ、はい」

 みんな行ったと思ったら、いきなり下の方から声が聞こえてきた。
 どうやら二人組のお姉さん達が、しゃがんでポチを撫でまわしていたらしい。
 私に手を振りながら慌てて走っていくのを、手を振り返しつつ見送っておく。

 誰か声をかけてあげれば良いのに。
 まぁあの位置で話が聞こえないって事はないだろうし、聞いてない方が悪いって言われたらそれまでだけどさ。
 ていうか周りの皆が動いたんだから、視界にも入ってたはずだし。

 あ、でも多分、私が逆の立場だったらわんこに夢中になってる気がする。
 周囲の変化に気付かないくらい集中するかは判らないけどね。


「さて、それじゃ一旦家に戻ってお姉ちゃん達を待つかな」

「んむー」

 カトリーヌさんの方を向いて声をかけると、カトリーヌさんが自分の肩に乗ったラキを見て小さく唸った。
 口の糸を外して良いですかって事かな?

 あ、ラキが頷いたし合ってたっぽい。
 許しを得たカトリーヌさんが、すぅっと糸から気を吸い取って、あっさりと自由になる。

「そうですわね。では…… と思いましたが、どうやらお帰りの様ですわ」

「あ、ほんとだ」

 カトリーヌさんの視線の先を見てみれば、さっきの人達と入れ替わりでお姉ちゃん達が帰ってくるのが見えた。
 庭園を出るまでは道がまっすぐだからギリギリ見えてるけど、どうやら顔見知りらしい。
 まぁ私の集会に来てる人も結構居たし、お姉ちゃん達は私の巻き添えで顔を知られてるしね。

 あ、酔っ払いのお姉さんがアヤメさんに絡んでる。
 今は素面(しらふ)のはずなのに、酒が入ってるみたいな絡み方をする人だなぁ……
 あ、後ろから覆いかぶさるみたいに抱き着いて手刀の餌食になった。

 ていうかアヤメさん、本当によく絡まれるなぁ。
 なんなんだろうね。
 本気では怒らないっていう人の好さがにじみ出てるんだろうか?



「たーっだいまー!」

「おかえり。あー、ごめんお姉ちゃん、無駄に声が大きい。無駄に」

 慣れてるとは言え、人間の声は私たちには大きいんだからさ。
 ていうかお姉ちゃん、一度小さくなったんだから自分でも体験した事でしょうに。

「二回も言わなくて良いじゃないの」

「あんたが悪いんだから文句言わない。で、ただいまっと」

「ただいま戻りました」

「おかえりー」

 アヤメさんとレティさんにも挨拶を返す。
 うん、二人とも特に怪我や装備の破損は無さそうだね。


「おかえりなさい。今日の成果はいかがでしたか?」

「ぴゃっ」

「おっ、ただいまー。ほれ、良い子にしてたかー」

「特に変わりなく、まずまずと言った所ですね」

 アヤメさんがぴーちゃんの挨拶に返事をしてからしゃがんでポチを可愛がり、その横でレティさんがカトリーヌさんの質問に返答する。


「あっ、ずるい。私も撫でるー!」

「よしポチ、お散歩がてらお庭をぐるっと逃げといで」

「雪ちゃんが私に厳しい! あー、待ってよポチちゃーん」

 わふっとお返事して元気に逃げていくポチを、帰りを待てば良いものを律儀に追いかけて走り去っていくお姉ちゃん。
 うんうん、楽しそうでなによりだよ。
 ポチはだけど。

 まぁお姉ちゃんは犬が大好きだから、ポチと追いかけっこするのは苦痛では無いと思うし大丈夫だろう。
 走って行く時も、文句を言いつつ顔は笑ってたしね。
 いや、まぁ疲れはするだろうけど、そこは仕方ないと思おう。

 流石に限界っぽかったら、多分ポチも察して捕まってあげてくれるだろう。
 さっきの私の逃げろって指示を、捕まっちゃダメだって解釈してなければだけど。



「ところで、さっきの連中は何だったんだ?」

「あー、ちょっとまたやらかしちゃったのを、片付けてくれた人たちかな」

「ああ、外に出られた件ですか」

「はい、そうですわね」

「ていうか知ってるんだ…… って掲示板か」

 例によって人が居る場所での私の行動は、全プレイヤーに公開されてると思って良いだろう。
 ……私が言うのもなんだけど、みんな暇なのかな?


「なんかえらい事になってたらしいな。大丈夫だったのか?」

「んー、大問題に発展してないって意味では大丈夫」

 アヤメさんの問いに、別に求められてなさそうな答えを返しておく。
 と言っても、死んだ事は知ってるだろうからこれくらいしか答える事が無いんだけど。

 ていうか発展してないのって、周りの人がちゃんと後始末をしてくれたからな気もするけど、まぁそれはそれ。


「しかし、よく出ようと思ったもんだよ」

「まぁいつかはやってみなきゃだし、提案されたなら行っとくかーって感じかな」

「そんな体で、あんまり無茶するなよ?」

 そんなとはなんだそんなとは。
 いや、言われて当然なのは自覚してるけど。
 むしろ自分でこんなのとか言うけど。

「町の外に出たと聞いて、ミヤコさんがとても心配していましたよ」

「あー、一応後で改めて大丈夫って言っとこ」

 さっきの様子を見る限り、解ってはいるだろうから本当に一応だけどね。
 帰ってきた時に聞く元気が残ってるか判らないけど。

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