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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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56:「めっ」てしよう。

2016/02/09 20時 掲示板の時刻表記のミスを修正
 機材の片づけを放棄して、二階の玄関から表へ。だって重いんだもん。
 玄関の真下に待機していたポチの背中に飛び乗って、頭を撫で回す。よーしよしよし。
 さて、それじゃ役場へいくぞー。

 役場に着いたらカウンターでポチを預けて、私は一人で裏庭へ。
 別に毎回預けなくてもいいんだけど、職員さんの期待の籠った眼差しはスルーしづらい。

 そういえば他の人が草取りしてるの見ないなーって思ったけど、そりゃそうだな。
 わざわざVRでファンタジーな世界に行って、ただの草むしりの仕事なんて普通はしないだろう。
 まぁ私としてはその方がいいんだけど。ここだと誰も見てないから、気兼ねなくお弁当が作れるからね。


 【吸精】のレベルが上がってきてるのか、少しずつペースが上がってきてる。
 このままじゃそう遠くないうちに全部食べきっちゃうんじゃ……って別にいいのか。むしろ終わらなきゃダメだよ。
 結晶もかなり溜まったし、無駄遣いしなきゃしばらくは持つだろう。

 そろそろお姉ちゃんからメッセージが……って丁度来たよ。すごいタイミング良いな。
 切り上げて噴水に行こう。



 あれ、なんかいつもより人が多いな。っていうか人だかりが出来てるぞ?
 ちょっと上がって様子を……ってあれ、中に居るのお姉ちゃん達だ。何があったんだろう?
 一緒に今日見た魔人さんと兎さんに、後知らない人が二人居る。
 というかなんか魔人さんが看板の前に正座させられて三人に説教されてるっぽい。何だあれ。
 何か嫌な予感がするけど行かなきゃいけないよなぁ……


「おかえりー。何かあったの?」

「おー、ただい……ゲフッ」

 どうしたアヤメさん。なんで言ってる途中でむせて顔をそむけるんだ。
 お姉ちゃんは何かちょっと怒ってる感じがするし。
 レティさんは苦笑しているような顔だ。ん? 魔人さんの方を指さした。いや、看板かな?

 ‐私は人に誤解を与える書き込みをして妖精さんに迷惑をかけました‐

 ……おいちょっと待って、何を書いたんだよ。よく見たら後ろ手に縛られてるし。


「し、白雪……、お前今日何してたんだ……?」

「いや、その前にアレ何? 書き込みって事は掲示板で何かあったの?」

 笑いを堪えながら聞かれても気になってしょうがないよ。
 アヤメさんがパネルを操作してこちらへ向けてくれた。

──────────────────────────────
 491 名前:名無しの開拓者[sage] 投稿日:2xxx/xx/xx(日) 10:51:58 ID:5F7Eb
   今日は偶然妖精さんに遊んでもらえた
   温かいのをいっぱい注ぎ込まれて、メチャクチャのトロットロにされちゃったよぅ……

 492 名前:名無しの開拓者[sage] 投稿日:2xxx/xx/xx(日) 10:52:05 ID:5Dcf4
   トロットロ(物理)なので誤解なきよう。>>491は説教と晒し物の刑に処す

 493 名前:名無しの開拓者[sage] 投稿日:2xxx/xx/xx(日) 10:52:19 ID:3a448
   ちょっと待って(物理)だとしても気になるんだけど何が起きた
──────────────────────────────

 おいこら、何言ってんだあの人!?
 492って多分兎さんだよな。書き込み時刻を見た感じ、止め損ねて急いでフォローしようとしたって所か……


「いや、【魔力操作】の訓練を手伝ってあげたら事故が起きただけだから……」

「ほんっとごめん!! このバカ身内をイジるのと同じノリで書き込みやがって、止める暇も無かった!」

 おお、今日も土下座された……
 でも人がこっそり書き込みするのを阻止するって無理じゃないかな?



「いや、うん、話は解ったんですが。この状況、私はどうしたらいいんでしょうか」

「とりあえずそのバカは好きにぶっ飛ばしてくれていいんで……」

「いやー、あんたもでしょー」

「やったのコイツで、俺はフォローした側じゃん!」

「保護者も連帯責任だろ」

「そーそー。バカがバカやるの止められなかった訳じゃん?」

「お前ら付き合うの面倒くさいって俺に押しつけといて酷くない!?」

 おお、仲間割れ。熊の女の子と人間のおじさんが兎さんを生贄にしようとしてる。


「雪ちゃんやっちゃえ!」

 お姉ちゃんは落ち着け。

「いや、私PKとかになりたくないんで」

「それは大丈夫。同意があれば罪にはならないよ」

 そうなのか。でも魔人さん本人はどうなんだ?

「うぅ、出来れば苦しまないように一発でお願いします……」

 って思ったら聞く前から言ってくれた。


「まぁちゃんと反省してるみたいだし、今回は」

「でも優しく『めっ』てやって済ませてくれたら嬉しい……」

「うん、やっちゃいましょう」

 ちゃんと反省しなさい。

「うん、俺も諦めて覚悟を決めるよ。経験値稼がないとなぁ……」

 不憫な…… まぁやれって言うなら仕方ない。

「攻撃力はあるって所を見せつけておけば、変な事してくる奴も減るだろうし派手にぶっ放しちゃいなよ」

 アヤメさん、攻撃力「は」って凄い強調しなくていいよ。実際そうなんだけどさ。
 まぁさっきの草取りでMPは一杯あるから派手っぽいの行っとくか。


「それじゃ、石畳だと後が困るんで近くの空き地に行きましょう」

「皆、あっちの空き地でやるって言ってるから移動しよう」

「足がしびれて……」

「我慢しろ。って、地面が問題になるってもしかしてアレか…… 悪い、ちょっと荷物持っといてくれ」

「ん? 落としても拾えばいいっしょ?」

「それで済むなら言わないよ。ほれ、頼んだ」

「いーけどさー。ほれ、アンタも」

「うん、お願いね」



 空き地に着いたけど、ギャラリーも殆ど付いて来てるな…… まぁいいか。

「それじゃ危ないから、皆は俺たちから離れてくれ。よし、いいよ。地面は後で俺たちで何とかするから、一思いにやってくれ」

 アイテム預けた事といい、何やるかは察してるみたいだな。

「やっぱり優しくしては…… うん、無いよね。ごめんなさい」

 魔人さんが微妙に諦めの悪い事を言い出したので軽く火を吹いて黙らせておく。
 自分でやっといてなんだけど火を吹いて威嚇する妖精って…… うん、気にしちゃ駄目だ。

 さて、やるか。
 二人の頭上に飛んで行く……のはいいけど、どれくらいの高さなら安全かな?
 結構高めに、五十メートル位まで上昇しておこうか。おぉ、これは怖い……
 さっさと済ませて降りたいぞ。

「それじゃ行きますよー」

 両手の間に魔力を浮かべてそこにどんどん流し込む。
 MP満タンだったのに、かなりお腹空いてきたな。これくらいでいいかな。
 よし、投下しようか。魔人さんのリクエストを少しだけ聞いてあげよう。せーのっ、

「めっ」


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