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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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528/677

528:知らない人に開けてもらおう。

 あ、そういえばポチが居るから、門を開けないと出られないか。
 兎さん、まだあそこに居るかな?

 ……うーん、【魔力感知】に集中してみても、あのベンチには誰も居ないっぽいなぁ。
 隠密さん達と違って普段から隠れてるわけじゃないから、探り損ねって事も無いだろうし。

 まぁどうしようもなければ、喚び直しでどうにかなるから別に良いか。
 ん、いや、それで召喚し直すくらいなら、【追放】で転移させてあげれば済むのか。
 消費はそう変わらなくても、使う機会の少ない【空間魔法】の経験値が貰えるし。

 ポチを一旦門の内側に残して上を通り、右手側のベンチを見るもやっぱり誰も居ない。
 仕方ない、転移してもらうとしよう。
 まぁさっき死んだばっかりでMPは殆ど減ってないし、これから補充も出来るんだから問題ないか。


「あ、わんこだー!」

「おや、ほんとだね」

 ん?
 右側を向いたまま考えていたら、唐突に背後から女の人の声が。
 はしゃいだ感じの可愛い声と、低めの落ち着いた大人っぽい声だけど、初めて聞く声だな。

 気になって振り向いてみると、背の高い地味めなお姉さんと小柄な可愛らしい女の子が、こちらに向かって歩いて来ていた。
 うちの周りを散歩でもしてたんだろうか。
 なんか顔立ちが似てる気がするけど、親子で遊んでる人たちかな?


「やあ妖精さん、こんにちは」

「あ、はい、こんにちはー」

 ……あれ?
 落ち着いた声を出してたの、ちっちゃい子の方だったのか。

「初めて話した人は大抵そういう反応をするから、気にしなくて良いよ」

 くすっと笑って言う女の子。

「え、あ、顔に出てました?」

「少しだけね。慣れてるから、大体察せるんだ」

 おおう、バレてた。
 まぁ元々ポーカーフェイスには自信無いし、結構顔に出てるってお姉ちゃんに言われてるんだけど。
 現実だと家族くらいしかまともに顔を見てくる人は居ないから、全然問題無いんだよなぁ。


「って」

「ああ、持ってるよ」

「あ、はい」

 こっちの声が聞こえるんですねって言おうと思ったら先回りされてしまった。
 まぁこっちの特性を知ってたら、次に言いそうな事は判るか。


「妖精さん妖精さん、わんちゃん撫でても良いですか?」

 おおう、お姉さん近い近い。
 女の子の視線に合わせて低めに居たから、覆いかぶさるように迫って来たぞ。
 ていうかこっちも見た目に似合わず、声が妙に可愛いな。
 いや、そりゃ落ち着いた声がそっちの女の子って事は、可愛い声はこのお姉さんって事になるのは当然なんだけどさ。

「あいたっ」

 スコンッという音と共に目の前のお姉さんが悲鳴を上げ、

「うおぉぅ!?」

 私が居た位置をお姉さんの頭が通り過ぎていく。
 びっくりしてうずくまるのは良いけど、私が下がるのが遅れてたらおでこが血まみれになってたぞ。
 私のだけど。


「ああ、すまない。少しタイミングを考えなければいけなかったね」

 いつの間にかお姉さんの背後に回っていた女の子が、少し長めの木の棒を持ったまま謝罪してきた。
 お姉さんが後頭部をさすってるし、あの棒で軽く叩かれたのか。

「ちゃんと挨拶しないとダメだろう?」

「うう、ごめんなさい……」

 頭をさすりながら立ち上がって、こんにちはーとお辞儀をしてくるお姉さん。
 別にあんまり気にしないんだけど、まぁしないよりはした方が良いよね。
 初対面だし。



「悪いね、落ち着きが無くて」

「あ、いえ、大丈夫です」

「で、だ。重ねて申し訳ないんだけど、撫でさせてやってはくれないかな?」

「良いですよー。あ、代わりにと言っては何ですけど」

「ああ、お安い御用さ」

 私が言い終わる前、というか口にする前に手を動かして、門を開けてくれる女の子。
 ううむ、また先取りされてしまった。
 自力で開けられないのを知ってるなら不思議ではないけど、なんだか心を読まれて

「いや、そういう能力は持ってないね」

 女の子が私の目を見て、ふふっと笑いながら言う。
 ……いやいや、やっぱり読んでない?
 単に私が解りやす過ぎるだけなんだろうか。


「ほら、撫でて良いってさ。ちゃんとお礼も言うんだよ?」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

「相手が違うだろう」

「あたっ…… ごめんなさい、ありがとうございます、妖精さん」

 女の子に頭を下げたお姉さんが、その頭をコンッと軽く棒で叩かれた。
 素早いツッコミに感心しつつ、良いですよーとお姉さんにジェスチャーで返しておく。
 あっちは聞こえないっぽいからね。


 ……って姉ぇ!?

「あぁうん、言いたいことは解るよ」

 ついバッと顔を見てしまった私に、笑いながら答える女の子。
 女の子……お姉さん? いや、まぁ良いか。

「小さいままの私の代わりってわけでも無いだろうに、体ばかりが育つ子でね。まったく、困ったものだよ」

 地面にぺたんと座りこんでポチを可愛がるお姉さんに目をやって、やれやれと苦笑する女の子。
 うーん、確かになんていうか、でっかい子供って感じの人だなぁ。

 うん、うちにも一人居るよ、そういう人。
 いや、まぁあっちはテンション次第だけどさ。
 落ち着いてさえいれば、ちゃんとした大人だし。
 ゲーム内っていうか私と一緒に居る時は、落ち着いてる方が珍しいくらいだけどさ。

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