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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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510/678

510:忘れず構おう。

「さて、それじゃ行こうか」

「はい。太郎様、ありがとうございました」

 私が出発の意思を示すと、カトリーヌさんは大人しく太郎の背中から離れてくれた。
 太郎、明らかに安心した空気を出してるな……
 ぷすーって息吐いてるし。


「あ、そうだ」

「はい?」

「いや、たろちゃんだけ構ってあげてなかったから」

 カトリーヌさんの疑問の声に答えつつ、太郎の正面に飛んで行く。
 他の子たちは撫でておいて太郎だけ放っておくのも、ちょっと可哀想ってもんだろう。

 さっきまでカトリーヌさんが背中に引っ付いていたから、私は逆に正面から引っ付いてみよう。
 立って立ってと太郎の下に手を差し込んで、前足の付け根を上に持ち上げる。
 よし、こっちの意図を察してくれた。
 ……いや、言えば済むんだけどさ。


「よーしよし、ふかふかだなー」

 芝生に座り込んで太郎に抱き着き、両脇から回した手で背中を撫でまわす。
 おや、四本足で走り回ってるから正面は少し砂とか付いてるかなーって思ってたけど、そんなに汚れてないな。

 ああ、芝生の上で動いたおかげでブラッシングしたみたいになったのか。
 ……その分、ちょっと草の匂いがするけど。



 ていうかそういえば太郎、お腹側は触られるの嫌がってた様な?
 たった数日でそこまで慣れてくれたんだろうか。
 まぁ我慢してる様子でもないし、別に良いか。

「せーの、っと」

 ぐっと密着して右手をしっぽの付け根まで下げ、背筋を駆使して太郎を抱っこしてみた。
 うん、結構重いけど上がらない事もないな。
 多分四十キロくらいだろう。


 うーむ、ぷにぷにしててぬくい。
 おや、抱き上げてすぐにもぞもぞ動き始めた。
 抱っこは嫌いだったかな?

「ごめんごめん、ちょっと勝手だったね」

 謝りながらそっと太郎を地面に降ろす。
 ……これ、体勢に気を付けないと腰を痛めそうだな。

 若いからって油断してると、いきなりグキッていうらしいからなぁ。
 警戒しておくに越したことはないだろう。


「いやいや、太郎は悪くないよ。私が強引だっただけだから気にしないで」

 なんていうか、判りづらいけど「ごめんね、でもちょっと嫌なのー」みたいな感じになってたので、悪いのはこっちだと言ってなでなでしておいた。
 実際、同意も得てないしね。

 しかし嫌がりつつも、私が怪我したりしない様にジタバタ暴れたりはしなかったな。
 サイズは私より小さいとは言っても力と強度は文字通り桁が違うから、やめろーって押してくるだけで簡単に抜け出せたはずなんだよね。
 ……まぁ私に怪我させてまで脱出したりしたら、珠ちゃんの猫ぱんちの餌食になるかもしれないけどさ。



「おまたせー…… って今度は珠ちゃんが犠牲に」

 太郎にありがとねーと言って戻ったら、カトリーヌさんが珠ちゃんの背中にぼふっとうつぶせになっていた。

「人聞きが悪いですわ。私はまだ何もしていないというのに」

「いや、自分でまだって言ってるじゃない。ま、とりあえず出ようか」

「はい。ありがとうございました、珠様」

 背中から降りたカトリーヌさんの言葉に、んぬーと口を閉じたまま小さくお返事する珠ちゃん。
 珠ちゃん、なんか眠くなってきてない?
 うん、それはそれで可愛いから良いか。


「それじゃ、すぐ戻されると思うしのんびり待っててね」

「素晴らしく後ろ向きですわね」

「そりゃそうもなるでしょ」

 カトリーヌさんのツッコミに諦めの言葉を返しつつ、お留守番のみんなに手を振って庭を出て行く。
 うん、出来るなら私だってすぐ戻りたくは無いけどさ。
 どうせ無理でしょ。

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