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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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502/678

502:餌付けされよう。

「あ、忘れてた。ちょっと待ってー」

 レンジャーさんの開けたドアを通ろうとしたら、後ろからむつみさんに呼び止められた。
 何か有るのかな?
 いや、有るから呼んだのか。


「どしたんすか?」

「教えてもらっておいてお礼が何も無しってのは、良くないじゃない?」

「あー。しかも姐さん、立ち去ろうとしてたのを呼びつけたわけですしね」

「そういう事。はいこれ、少ないけどどうぞ。魔力を食べるんだったら、おやつくらいにはなるでしょう?」

 魔石をたくさん取り出して、手に乗せ差し出すむつみさん。
 ビー玉サイズを十個かな。

 全部はさすがに持てないし、この場で食べろというのかな?


「やー、お礼なんて無くても大丈夫ですよー」

 手を振って遠慮の意思を示しつつ、言葉もレンジャーさんに中継してもらう。

「まぁまぁ、そう言わずに受け取ってちょうだい。貸し借りなんて無い方が、お互い気持ちが楽でしょう?」

「あー、まぁ、それはそうですけど」

 私も似た様な感じで、アリア様に借りを返そうと頑張ってるしね。
 向こうは貸してると思ってなさそうな所も、これと同じなんだろうな。


「それじゃ、いただきますね。ほら、カトリーヌさんも」

 諦めて受け取る事にして、むつみさんの方へ向かって飛びつつカトリーヌさんを呼ぶ。

「いえ、私は何もしておりませんので」

「いいからいいから。ぴーちゃんもおいでー。私が代わりに食べて、ふーってしてあげるから」

 むつみさんの親指に両手をかけてぴとっとひっつき、振り向いてぴーちゃんも呼んでおく。
 ぴーちゃんは食べられないけど、回復した魔力を使って癒してあげれば良いだろう。

「ぴゃ……」

「大丈夫よー。ほらほら、おねーさん何もしないから」

 「近付いても大丈夫なの……?」って顔してるぴーちゃんにニッコリ微笑んで、空いている手でおいでおいでと手招きするむつみさん。
 あ、疑わしげな顔ではあるけどゆっくり寄ってきた。



「いただきまーす」

 小指側に引っ付いたカトリーヌさんと一緒に、むつみさんの手から魔石を貰って吸い尽くす。
 手の上で吸うと風化した砂がかかっちゃうから、横を向いてからにしないとだな。

「はーいぴーちゃん、ふーっと」

「ぴぅー」

 さっきまでの警戒はどこへやら、私に吹かれてご満悦の様子で肩に頬ずりしてくるぴーちゃん。
 まぁ最初の表情や入った時の冗談を怖がってただけで、ジェイさんみたいに何かされたわけじゃないし、そんなもんか。


「失礼なのは解ってて言いますけど、なんか(はた)から見ると餌付けされてるっぽいっすね」

「うーん、否定できない」

「事実、ご飯に群がっているわけですものね」

 一旦ドアを閉めたレンジャーさんの言葉に、二人で苦笑するしかなかった。

 うん、この絵面は反論の余地が無いな。
 餌を持った手にちっこいのが集まって、もぐもぐきゃいきゃいやってるんだし。



 ん?
 なんか猫のお姉さんがゆっくり近づいてきたけど、どうしたんだろう。

 歩いてきて、しゃがんで、鞄に手を突っ込んで?
 ……つまんだ魔石をそーっと顔に近づけてきた。

 え、なに、これ食べて良いって事?
 なんか期待に満ちた顔してるけど。


 む、取れない。
 まぁ軽くとはいえ人間の力でつまんでる物を、私の力で引っこ抜けるわけがないか。

 仕方ない、このまま口を付けさせてもらおうか。
 ていうか私が持った時点で石を離してくれないって事は、多分そうしろって事だよね。

 これはあれか、ペットが直接手から食べてくれたーみたいなやつか。
 うん、やってみたくなる気持ちは解る。
 ……でもこれ、ちょっとズレて指を吸っちゃったりしたら、お姉さんが即死しかねないんだけどな。
 今は石に使ってるから、加減せずに普通に吸ってるし。


 まぁどうやら正解だったらしく、ぺかーって感じの無駄に良い笑顔になってくれた。
 うん、楽しそうで何よりだよ。

「はいはい、帰った帰った」

 あ、むつみさんに追い払われて素直に帰って行った。
 まぁ、やってみたかっただけだったんだろうし、満足したのかな。



 さてと。
 お礼も食べ終わったし、これで貸し借りは無しって事でオッケーだな。

「ごちそうさまでしたー」

 むつみさんに頭を下げて、動かさないでいてくれた腕に【妖精吐息】を吹きかけておく。
 そう長くはなかったとはいえ、じっと固定してるのは結構辛かっただろうからね。

「ありがとう。それじゃ、改めてさよならね」

「あ、おしまいっすか?」

 入り口の近くで筋トレをして待機していたレンジャーさんが、再度ドアを開けてくれた。
 ゲーム内で筋トレって、意味有るのかな?

 あ、【STR強化】や【VIT強化】の経験値稼ぎか。
 まぁあの大工さんとか見てると、なんか普通に効果ありそうな気がしてくるけどさ。


「失礼しまーす。まぁしばらくしたら、後でまたここに戻ってくると思いますけど」

 ドアをくぐって手を振りつつ、一応予定を言っておく。
 どうせ魔法を撃たれる集会(【MND強化】の訓練)があるもんね。

「ん、そうなんすか? 後でまた来るらしいっすよ」

「ああ、今日もやるのね。それじゃ、またすぐに会えるわねぇ」

「そうですね。また後ほどー」

 笑顔でひらひらと手を振るむつみさんに振り返し、その場を離れる。
 うーん、思ったより時間かかってなかったな。
 なんかその場の流れで出発しちゃったし、次は何しよう?
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