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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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50:穴を埋めよう。

 さて、この穴どうしようかね。
 普通なら何か入れ物を借りてどこかから土を持ってくるだけで良いんだけど、私じゃかなりの回数往復しないとだし。

 そういえば魔法を試してた時、【土魔法】の【石弾】を使ったらどこからともなく石が出てきてたな。
 あれでなんとかなるんじゃないか?


「よし、それじゃバケツでも借りて土を集めてくるよ。妖精さんの体じゃ無理だし、待っててね」

 あ、手伝ってくれるんだ。

「ちょっと待ってください。魔法で何とかならないか、試してみます」

「そう? 手伝えることがあったら言ってね」



 静かだと思ったら、魔族の人落ち込みっぱなしだな。半分は私のせいだし【妖精吐息】でもかけてあげるか。

「わわっ! なになに!?」

 驚かせてしまった。予告無しでよく解らないスキル使われたら、そりゃ驚くか。

「ん、今のは何やったの?」

「【妖精吐息】っていう、相手を元気にする回復スキルです」

「へぇ、そんなのがあるんだ。今のは元気が出るスキルだってさ。でもコイツ元気にしたら」

「ありがとー! ごめんね妖精さん、私何すればいい!? なんでも手伝っちゃうよ!!」

「うるさくなるけど大丈夫?」

 極端すぎるだろこの人。
 っていうか、別に精神には影響ないはずなんだけど。

「とりあえず静かにしてくれれば嬉しいです。あと近いです」

「うるさい、近いってさ」

「ごめんねー!」

 離れはしたけど、あんまり声量変わってないんですが。まぁいいや。


 さて、埋めないとな。
 【石弾】を普通に撃った時は五センチ位の石が一杯出てたっけ。
 それじゃちょっと大きすぎるから、小さくしてその分のMPで数を増やそう。

 二十分の一くらいでいいかな? で、更に魔力を追加して数をいっぱい増やす。
 よし、行くぞー。ざらーっと。

 うん、こんなもんかな。砂を凄い勢いで垂れ流しながら、穴の上をくるくる飛んでまんべんなく撒いて埋めてやった。



「おぉ、凄いね。そんな魔法があるんだ」

「えっ? これ、【魔力操作】で調整した【石弾】ですよ?」

「そんな自由に調整できるんだ…… あれ【石弾】だってさ」

 遠くで兎さんから中継された魔人さんが驚いてるのは良いとして。
 よく考えたら砂で埋めただけだと周りと違い過ぎて危ないじゃないか。
 水でも撒く……乾いたら同じか。
 そうだ。掘り返して普通の土と混ぜて、押し固めれば少しはマシかな?
 あ、別に掘らなくても地面に魔力を通して捏ね回せばいいか。
 最後に固めるのだけお願いしよう。


「すいません、お願いしたい事があるんですけど」

「何かな?」

「砂と土を混ぜるので、最後に踏み固めて貰えませんか?」

「あぁ、そこだけ砂場みたいになってるもんね。分かったよ。おーい、手伝えるぞー!」

「わーい! 何すれば良いの!?」

 なんでそんなに嬉しそうなんだ。
 あそこで復活してたって事は多分プレイヤーなんだろうけど、NPCじゃないのに好感度高すぎるだろ。


 ってそういえば忘れてた。

「あの、デスペナ入っちゃいましたよね……?」

「ん、あぁ。事故だし仕方ないよ。大したものも持ち歩いてないし」

 でも経験値とかロストしちゃったんだよなぁ。自分だけ無事なのは申し訳ない気分だ。

「そういえば、何も落ちてなかったな。いや、ドロップしてそのままあの魔法で一緒に消滅したのか?」


「あーっ!!」

 うわっ、何だ? 慣れてきてはいるけど、やっぱり急に大声出されると耳が痛いぞ。

「何だよ?」

「お昼ごはんに買っておいたサンドイッチがぁ……」

 おおう、ごはんロストか。地味に嫌だな。


「あの、お詫びに食堂でお昼奢りますよ」

「いいっていいって。お互い様だろう?」

「いえ、【妖精】はデスペナが無いんですよ。だから、私だけ何も失ってないのがなんか申し訳なくて」

「そうなんだ。でもなぁ。あぁ、そうだ。それじゃちょっとだけで良いから、こいつに【魔力操作】を教えてあげて貰えないかな?」

「【魔力操作】を?」

「うん。なんか自力で習得するんだーって頑張ってるんだけど、行き詰ってるみたいでさ」

「構いませんけど、感覚の話になるから役に立つかは判りませんよ?」

「うん、ダメ元で十分だよ。後で妖精さんが【魔力操作】の習得手伝ってくれるってさ」

「ほんと!? やったー!」

 期待されても困るんだけどなぁ。なんかやってみたら出来たって感じだったし。
 まぁいいや。ダメ元で良いって言ってくれてるし。


 さて、それじゃ地面に触れて魔力を流してっと。
 いちいち動くのも大変だし、ここから全部やっちゃうか。
 【錬金術】も使って地面の土を柔らかくして、混ぜやすくしよう。
 ついでに【大洪水】でちょっとだけ水を撒いておこうかな。

 盛り上げへこませ、開いて閉じる。
 地面をぐねぐね捏ね回し、土と砂とを混ぜていく。
 そろそろいいかな? 柔らかくしたのを元に戻して、魔力も回収しておこう。

「すいません、お願いします」

「はいはい。ほら、そこを踏み固めてくれってさ。でもこの範囲だと、二人入るとちょっと狭いな」

「あ、じゃあ私がやる。頑張るよー!」

 そんなに頑張る所は無くない? 別にいいか。


「こんな所かな。うん、大丈夫みたいだよ」

 おぉ、良かった良かった。

「それじゃ、このまま【魔力操作】の練習を始めますか? あ、その前に」

 固めるのは頼りっきりだったし、【妖精吐息】で二人の疲れを癒しておこう。
 いや、兎さんは見てるだけになってたけど。

「ありがとー!」

「おぉ、これ気持ちいいね。ありがとう。うん、それじゃ始めようか。妖精さんの声は俺が中継するよ」

「あ、お願いします」

「よろしくお願いしまーす!」



「要するに、体の中の魔力がどんな感じか解らなくて困っていると」

「うん、本を読んでも詳しい事は書いてなかったしどうしようかと思ってたの」

「うーん。私の場合は魔力を取り込むスキルがあったおかげで、入ってくるのが解ったからそれを辿れたんですよね」

「私じゃ出来ない方法かぁ」

 感覚を言葉で説明するのは難しいしなぁ。どうしたものかな?


「そうだ! 妖精さんの【魔力操作】で、私の体に魔力を流してみてくれないかな?」

「えっ? それ、大丈夫なんですか?」

「ずっと自分の身体にある物より、新しく入ってくる物の方が判り易そうだし!」

「いや妖精さんは問題が無いかを聞いてるんだけど」

「大丈夫! 多分!」

 さいですか。


「それじゃ、私の前に両手の人差し指を近づけて下さい。そちらの右手から左手を通って戻ってくるようにします」

「はーい! 多い方が判り易そうだし、一気にどばーっとお願いします!」

 うおっ、ゆっくり近づけてってちゃんと言うべきだった。元気すぎるよこの人。


 それぞれの指に手をかけ、魔力をぐるっと回して戻すイメージで一気に送り出す。とうっ。

「ふあぁっ……」

 変な声出すなよ。あれ? 魔力が戻ってこない。
 えっ、なんか魔人さんの胸の辺りが一気に膨らんで……


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