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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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447/678

447:残さず食べよう。

「焦げてはいないし味付けも失敗していないと思うのだが、何せ味見が出来ていないからな。不味ければ素直にそう言ってくれ」

「いや、アリア様にそれは言いづらいんじゃないですかね」

 仮にもお姫様だし、立場的にも直接の主人だろうし。


「その点に関しては大丈夫だ。サフィに限らず、私の作った物に世辞は言ってくれるなと命じてあるからな」

「あら、それは良い事ですわね」

「出来の悪い物を褒められていても、上達の妨げにしかならんからな。それはこちらの望む所では無いのだ」

「ご立派ですわ」

 確かにどれだけ失敗しても美味しいって言われてちゃ、何が悪いのかも把握できないだろうしなぁ。
 流石に自分で見ても判るレベルで失敗してたら別だけど。

 周りに居るのがこの人たちじゃ本気で演技されたら見抜く事も出来そうに無いし、確かに言っておいた方が良いのかもしれない。


「むぅ……」

 液状の肉(ミートソース)が滲み込んで少し柔らかくなったパンを小さく切り分け、一口食べて唸るサフィさん。
 どういう方向性の唸りなんだろう。

「どうだ?」

「素晴らしいです」

 問いかけるアリア様に、素直な賞賛を返すサフィさん。
 少なくとも味は良いらしいな。



「えと、ただ、その」

「遠慮は要らんぞ? 問題点は言ってもらった方が助かるのだ」

 サフィさんが言い淀んだ所に、さぁさぁとせっつくアリア様。
 別にそんな急かさなくても良いんじゃないかな。

「違和感、すっごいです」

「む?」

「パンの食感なのに、味は完全に焼いた肉。自分が今何を食べてるのか、すごく不安」

 あぁ、それは確かになんか嫌かも……
 嫌って言うか、なんか慣れるまで毎回首を傾げる羽目になりそう。


「ふむ。そこを何とかするのはなかなか難しそうだな。即興だから仕方ないと言えるが、手段を間違えたという所か」

 まぁこんな変な物を扱ったことは無いよね。
 あのコレットさんでさえ対処しきれてないんだから、アリア様の腕がどうこうって問題では無いだろう。

「でも、本当、すごくおいしいです」

「それは良いけどよ。体は問題無いのか?」

「あぁ、本題はそちらであったな」

 そういえばなんかよく解らない状況になってるけど、元々はお仕置き兼実験だったっけか。
 とりあえず見た感じは問題無いっぽいけど。


「大丈夫、姫様の手料理が体に悪いはずが無い」

「冗談はさておき、少なくとも即効性の毒は無いらしいな」

 サフィさんの言葉をさらっと流すアリア様。

「その様ですな。おう、ちょっとそっちで体動かしてみろ…… いや全部食ってからで良いし、別に取りゃしねぇよ」

 お皿を隠す様に抱え込んで、ジョージさんをふしゃーっと威嚇するサフィさん。
 おお、しっぽがぶわって膨らんでる。

 ……ってそんな本気にならなくても。
 いや、まぁさっき色々と奪われたばっかりだし、警戒してるのかもしれないけどさ。



 皿に乗っていたパンを全て平らげ、コレットさんに追加でパンを貰って残ったソースも全て食べきるサフィさん。
 よく判んないけどマナー的に大丈夫なのかなと思ったものの、別にかしこまった場でも無いし構わないのか。
 いや、提供した人はこの町で一番かしこまらないといけない相手ではあるけど。

 というか問題が有るなら言われてるだろうし、そもそもコレットさんがパンを渡さないか。
 って事は大丈夫なんだな。
 ……サフィさん(この子)だから仕方ない、ってスルーされてなきゃだけど。


「ほれ、まだ問題無さそうなら動いて血の巡りを良くしてこい」

「えー」

 ジョージさんの言葉に嫌そうな顔をするサフィさん。
 まぁ食べた直後に動き回れって言われたら、そうなる気持ちは解らなくもない。

「まぁ、別に良いのではないか? 既に口にしてからそれなりの時間は経っている事だし、そこまで間を置く様な毒を仕込む種族でも無いだろう」

 確かにプラスにしろマイナスにしろ、基本的には即座に効果の出る能力ばっかりだな。
 使った側もびっくりするくらいに。


「そーだそーだー」

 アリア様の陰に隠れて便乗するサフィさん。
 あ、喉撫でられて喜んでる。
 なんていうか、アリア様にはめっちゃ懐いてるんだな……

「あんまり甘やかさんといてくださいよ…… ただでさえ面倒くせぇ奴なんですから」

「はは、まぁ良いじゃないか。警備は本来の仕事ではないのだし、サフィが寝ていられるというのは町が平和だという証だろう?」

「ま、姫様が良いって言うなら今回は許しますがね」

「いえーい」

「調子に乗んじゃねぇ」

「あがっ」

 あ、小石がサフィさんの額にヒットした。
 よく親指で弾いただけであんな威力と精度が出せるもんだな。
 いや、アリア様をかすめる様な位置に向けて石を放って良いのか?
 全く動じてないし、絶対に当てないっていう自信と信頼がお互いに有るのかね。

 ……ていうかそういえばサフィさん、本当は何やる人なんだろ。
 さっきの台詞だと不穏な空気しか無いんだけど。


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