挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

44/709

44:謝っておこう。

 【吸精】と結晶作りをして三往復ほど作業を進めた頃、裏門の開く音がした。
 ここからだと草に遮られて見えないけど、誰が来たんだろう?

「ほう、庭の手入れは少しづつだが進んでいるようだな」

 この声はアリア様か。奥に住んでるから裏を出入り口に使ってるのかな?
 王女様が通る道なのに、一人分の幅以外が雑草に覆われてるってどうなのさ。

「お待ちください姫様。草の陰に何か潜んでいるようです」

 今度はコレットさんの声だ。
 と言うかマズい、警戒されてる。何かが居る事は察知したけど、私だとは気づかれてない感じか。
 飛び出して攻撃されたりするのは困るから、出るのは声をかけてからにしよう。


「私です、白雪ですー。ちょうど今、雑草処理の仕事中ですー」

 言い終えてからゆっくりと草の上に顔を出す。

「おや、白雪さんでしたか。これは失礼致しました」

 私を見て警戒を解いてくれたようだ。
 っていうか作業してるって聞いてるなら、私だって初めから察してくれていいんじゃないか?
 いや、そもそも誰が引き受けたかって事まで報告が上がってるか知らないけど。
 まぁ私が作業してるって知ってても、万が一を考えたら警戒は必要か。


「おぉ白雪、ご苦労。しかしその身体で、どうやって除草しているのだ?」

 その辺は報告されてないんだな。

「【吸精】で精気を吸い尽くしているそうです」

 コレットさんに中継して貰い、頷いて手近な草で実演してみせる。

「ほう、そのような使い方もあるのか。それにしても【自爆】といい、中々に危険な生き物よの」

 まぁ戦いになったら攻撃する前に死ぬんだけどね。


「それはさておき白雪、何やら良い物を贈ってくれたそうだな。ジョージが執務室の机に置いてきたと言うので、まだ現物は見ていないのだが」

「あ、はい。(つたな)い出来で恐縮ですが」

「いやいや、出来がどうであろうと贈り物は嬉しいものだ。それに、ジョージが「壊れちまいそうなんで」などと言う位だからな。相応に繊細な代物だろう。ありがとう」

 なんかハードル上がってる感じがするぞ。
 って、あぁっ! アリア様って【細工】出来るんじゃん!!
 素人丸出しの作品を力作なんて言って渡しちゃったよ…… これは恥ずかしい。

 ジョージさんが伝えてないことを祈…… 無理だな。
 あの人、その辺を解った上で絶対言うわ。


「まぁきちんと感謝を告げるのは実物を堪能してからにしよう。
 しかし何だ、俄然やる気が増したな。これは張り切って家を作らねばならん!」

「いえ、見返りを期待した訳じゃないので。というか張り切りすぎず、程々にお願いします」

 いや本当に。


「さて、執務室に戻り仕事を進めるとしよう。それでは白雪、引き続き庭の手入れをよろしく頼む」

 立ち去る二人を頭を下げてから見送り、作業を再開する。
 端まで進めて、思い付きで一センチほどしかない魔力結晶を大量生産してみた。
 このサイズならビーズみたいに埋め込んで使えるんじゃないかな?
 まぁ作るのにも殆どMPを使わないし、何か効果が付くことは期待できないけど。

 というかMPの消費は殆ど無くても、作る事に時間がかかりすぎて肝心の草取りが進まない。
 時間が余っているときに少しづつ作り溜める事にして、今はお弁当を作っていく。



 しばらく続けていると、今日もお姉ちゃんからの帰還メッセージが届いた。
 こちらも同じく噴水広場で待ち合わせをするメッセージを返信。

 今日はドアの問題も無いので普通にホールへ戻り、ポチを引き取る。
 残念そうな視線を振り切って役場を後にする。


 お姉ちゃん達はまだ着いていないようなので、ベンチに伏せたポチに寄りかかって待つ。ぬくい。
 せっかく時間が空いたので早速ビーズ作りと行こう。

 それほど待つことも無く、数分もすれば歩いてくる三人が見えた。
 手に乗せた結晶をすべてボックスに押し込み、飛び立って手を振る。

「おかえりー」

 それぞれが挨拶を返し、早速屋台へ向かう事になった。


「ところで、今日は無事に生き延びたかい?」

 なんだその質問。いや気持ちは解るけどさ。実際死んでるし。

「今日は一回しか死ななかったよ!」

「一回は死んでるんだな…… 何があったんだい?」

「自分で作った溶岩を冷ますために水を出して、その蒸気で蒸された」

「いや、本気で何やってんのさ……」

 うん、やっぱり呆れるよね。仕方ない。


「どうしたって?」

「自分の魔法のせいで蒸し上がって死んだってさ」

「えぇ……」

「雪ちゃん、アホかわいい!」

 うっさいやい。



 今日は焼き鳥の屋台で、塩とタレを二欠片ずつ貰った。
 ちなみに私はどちらかというと塩が好きだ。だから何だという話だが。

 皆が食べ終わってから銅貨をこっそり置いて飛び立ち、南通りへ向かう。


「そうだアヤメさん、そこの素材屋さんに通訳で付いてきて貰えないかな?」

「いいけど、どうしたんだい?」

「せっかく服にしてもらったハンカチがダメになっちゃったから、謝ろうと思って」

 正確にはするのを手伝ってもらっただけだけどね。
 ボックスから取り出して見せた。


「うわ、こりゃ酷いね。あぁ、蒸気で傷んじゃったのか」

「リボンを選んでくれたお姉さんにはもう謝って、気にする必要は無いって言われたんだけど。
 やっぱり一応言っておこうかなって」

「解った、それじゃ行こうか。ちょっと白雪が店員に話があるらしいからそこの店に入るけど、二人はどうする?」

「それじゃ、私たちは表で待ってるよ。ポチちゃーん、こっちおいでー」

「そうですね。どうぞ、存分に話してきて下さい」

 そう長くはならないと思うけど。まぁ行こうか。



「いらっしゃいませ!」

「どうも。この子が話があるって言うんで、私は通訳としてついてきました」

「はい、なんですか?」

 持っていたキトンと帯をカウンターに置いて見せ、頭を下げる。

「せっかく売ってもらったハンカチと、選んでもらったリボンをこんなに早くダメにしてしまって申し訳なく思って謝りに来たと」

「そんな、謝らなくてもいいですよー。ちゃんとお代は貰ってますし、リボンを選んだのはフミちゃんで私は糸を用意したくらいですから」

「その方にはもう謝って気にするなと言われたそうです」

「だったら尚更ですよ。えぇ、気にする必要はありませんよ。大丈夫です」

 まぁ付きあわせるのは悪いけど、けじめみたいな物だから。
 再度頭を下げて、ボックスに仕舞っておく。


 店に入って何も買わないのは申し訳ないけど、失礼させてもらう。

「冷やかしみたいで済みませんが、失礼します」

「いえいえ。またよろしくお願いします!」

 店を出てお姉ちゃん達と合流する。

「あ、終わった? それじゃもう良い時間だし、今日は解散しようか」

「そうですね。それでは失礼します」

「あぁ、私も落ちるとするよ。またね」

「お疲れさまー」


 三人ともログアウトしていった。私も寝よう。
 あ、そういえばすっかり忘れてたけど掲示板とかあるんだった。
 落ちる前にちょっとだけ見てみようかな。

──────────────────────────────
スレッド一覧
1: 【YES妖精】妖精さんを優しく見守るスレ Part3 【NOタッチ】 (243)


 そっとパネルを閉じた。うん、寝よう。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ