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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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437/673

437:洗ってもらおう。

「おや?」

 ん、なんかライサさんが急に立ち止まってしゃがみこんだぞ。
 あー、ベンチの近くって事は下に開いた穴か。

 ……いや、目に留まったのは穴っていうか掘り出されて盛られた土の山らしい。
 こっちが話してる間にどれだけ掘ってるんだ、太郎……


「すみません、太郎が穴掘って遊んでたみたいです。おーい太郎ー、出ておいでー」

 遊んでるのか、広い所が落ち着かなくて隠れる場所を作ってるのかは知らないけど。
 まぁ他の所だと大人しく待機してたんだから、今は遊んでるんだろう。
 いや、我慢してただけかもしれないけどさ。

「いえ、問題はありませんので続けていただいても構いませんよ」

 おや、やって良いって許可が貰えた。
 でももう呼んだ後だったから、穴からもぞもぞ出て来ちゃったな。


「おかえりー」

 出てきた太郎に声をかけると、ぴすーと鼻を鳴らして得意気な顔になった。
 これは頑張ったねって褒めてほしいんだろうか?
 とりあえずお疲れ様ーと【妖精吐息】で労ってあげるかな。

「白雪様」

「はい?」

「太郎様が土にまみれてしまっていらっしゃいますので、よろしければこちらで綺麗にさせていただきますが、いかがなさいますか?」

 あぁ、確かに。
 ドロドロってほどじゃないけど、全身が土で汚れちゃってる。
 まぁ土の中で動き回ってればそうなるか。


「あー、それじゃ……ってどうしたの」

 お願いしますって言おうと思ったら、突然太郎が前足で地面をばすばす叩き始めた。
 ……そういえばこの子、前お風呂入るかって聞いたらヤダって言ってたな。

「でも太郎、結構汚れちゃってるよ?」

 私の言葉を聞いた太郎はくりくりと顔を洗い、続いて頑張って前足を動かして体に付いた土を落としていく。
 ……でも短いおててじゃ届かない場所が多すぎて、洗わなくて良いってほど綺麗にはなりそうにないな。

 振り返って後ろに居るライサさんをチラッと見てみると、めっちゃ幸せそうな笑顔だった。
 必死に頑張ってる太郎の姿が可愛いんだろう。
 気持ちは解る。



「ほら、諦めて洗ってもらお?」

 少し悲し気な顔で「やだよぅ」と顔を背ける太郎。
 うーん、困ったもんだな。
 そんなに嫌なら、無理させるのも可哀想かなぁ?

「太郎様、ご安心ください。湿らせた布で拭くだけですので危険はありません」

 あ、ちょっと揺らいだ。
 これ、ついて行ったら丸洗いされるとか思ってた感じか。
 まぁ私も「洗ってもらお?」って言っちゃったけどさ。
 そこは言葉のあやってやつで。


 おおう、すぐ横にベンチから珠ちゃんが飛び降りてきた。
 どうしたのかと思ったら、太郎を見ながらふにゃっと一声。

 おお、躊躇ってた太郎がしょんぼりとライサさんの方に歩いて行った。
 なんだろ、ワガママを言うんじゃありませんって叱られたのかな?


「はいはい、綺麗にしてもらったら一杯撫でてあげるからねー。ライサさん、すみませんけどよろしくお願いします」

「お任せください」

 手の平に太郎を乗せて受付に戻っていくライサさん。
 まぁ太郎はあっちでも可愛がってもらえるだろうし、我慢して綺麗になってきなさい。



 さてさて、カトリーヌさんが戻ってくるまでまだ少しあるだろうし、ベンチに戻った珠ちゃんの上にぴーちゃんを転がしておいて、私は草取り(ごはん)の時間だ。
 とはいえたった数日放置してただけだから、大した量が有るわけでもないなぁ。
 まぁそこは仕方ないし、足りない分はお弁当で補給すれば良いか。



 花壇の半分くらいを吸った辺りで、カトリーヌさんが役場に戻って来たのが【魔力感知】で確認できた。
 おや、途中で止まったと思って窓から見てみたら、なんか受付でライサさんとお話してる。
 さっきの出来事で石化した側からの報告でも有ったのかな。

 太郎は…… あ、なんかめっちゃ可愛がられてるっぽい。
 遠くてよく見えないけど、洗われ終わっておやつ貰ったり撫でられたりしてるみたいだな。


 お、カトリーヌさんがこっち来た。

「おかえりー」

「お待たせしました」

 とりあえず挨拶して…… あ、そうだ。
 さっきの石を渡して、どうするか聞かなきゃ。


「はいこれ、カトリーヌさんだったもの」

 ベンチの脚に立てかけておいた板をぽんぽんと叩いて示す。

「おや、残っていたのですね。頂けるのですか?」

「元々カトリーヌさんの一部だし。あと取得したっぽいジョージさんも要らないって言ってたしね」

「そうですか。では遠慮なく」

「あ、ただライサさんがすっごい欲しそうな顔してたよ」

 ていうかさっき話してた時にくれって言わなかったんだ。
 仕事中だから自重したのかな?


「あら、では後ほど戻る時にでも渡す事にしましょうか」

「良いの?」

「はい。私が持っていても仕方無い物ですから」

「いや、まぁ小さな石の円盤なんて誰が持ってても使い道は」

「白雪さん?」

「へっ?」

 なんかカトリーヌさんが、いきなり私の言葉を遮って真顔で近寄って来た。
 え、いや、一体どうした?


「お言葉ですが、私のお腹は()盤と言われるほど出ていませんので」

「あ、いや、単に丸っこい板って意味で……」

「丸っこい?」

「いや、そのほら、角ばってないでしょ?」

 ひぃ、肩に手が置かれた……
 一体なんなんだよぅ。

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