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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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435/733

435:スライスしよう。

「それじゃジョージさん、お願いします」

 カトリーヌさんのお腹をぺちぺち叩いて、ジョージさんに向けて催促する。
 早くした方が良いっていうのもあるけど、意識したらすごいお腹空いてる気がしてきたし。
 いや、ただでさえキャシーさんをお友達にしたりしてたってのもあって、実際かなり減ってるけど。

「へいへい。しかし別に俺じゃなくても良かったんじゃないかねぇ」

「私じゃ上手く出来そうにないですし、正直中身見たくないですし」

「いや、そりゃ俺だって見たくはねぇよ」

「というわけで、私はやや横の方を見てるんでよろしく」

「聞きやがれ。まぁ仕方ねぇ、さっさと済ませるか…… おいぴーちゃん、離れないと危ねぇぞ」

 おや、ぴかぴかに釣られたのかいつの間にかぴーちゃんが寄って来てた。
 やっぱ鳥だし、光り物が気になるのかな?

 どうでも良いけど、ジョージさんがちゃん付けで呼んでるのってなんか奇妙な感じがする。
 いや、私がそういう名前にしたから仕方ないんだけどさ。


「ぴぅ、ぴっ、ぴー」

 鉤爪の先でこつんこつんとカトリーヌさんをつつきまわすぴーちゃん。
 状態異常で倒れてる相手を足蹴にしてるわけだし、カトリーヌさんじゃなかったら注意しなきゃいけない所だったな。
 まぁ固まったまま喜んでそうだし放っとこう。

 あ、でもぴーちゃんが楽しそうなのは良いんだけど、ジョージさんとライサさんは仕事が有るからな。
 あんまり遊ばせ続けるわけにもいかないか。


「ぴーちゃんぴーちゃん」

「ぴ? ……ぴゃぁっ!?」

 あ、しまった。
 声をかけるタイミングが悪かったのか、振り向こうとしたぴーちゃんが少し強く押さえてしまったらしく、地面に接していたカトリーヌさんの翅の一枚がパキッと音を立てて折れてしまった。

「ああ、薄い上に固まって柔軟性が無くなってたからな…… まぁどうせ刻むんだから、そこまで気にする必要はねーだろ。何よりこいつだしな」

「まぁそうかもしれませんけど。でも後でちゃんと謝っておこうね、ぴーちゃん」

「ぴぅ……」

 しょんぼりした顔で頷くぴーちゃん。
 たとえ相手がカトリーヌさんでも、うっかりでやらかしちゃったことには違いないからね。


 そういえばぴーちゃんはこっち来たけど他の二匹(ふたり)は何してるんだろ。
 お、珠ちゃんはベンチで丸まってこっち見てる……けど、太郎はどこに行った?

 ……もしかしてベンチの下にある穴、あれ太郎の仕業か。
 あー、まぁ呼んだら出てきてくれるだろうし、好きにさせておこうかな。

 元々訓練とかで荒れる場所だし、後でちゃんと埋めておけば怒られはしないだろう。
 他の場所だとやらなかったんだし、太郎もその辺をしっかり解ってやってるのかな?



「さて、それじゃ改めてお願いします」

「はいよ」

 ぴーちゃんと一緒に少し下がって、再度のお願い。
 ジョージさんがカトリーヌさんのおへその辺りに魔力のナイフを当てるのを、嫌々ながらも見ることにする。
 どうせ横見ててもなんだかんだで途中から普通に見てそうだし、最初から諦めておいたよ。

「お、問題無く切れるな」

 ストンと地面まで刃を落とし、その刃で切り離した下半身を少し押して隙間を空けるジョージさん。
 それ、動かす必要は有ったんだろうか?
 見たくないって言ってたのに。


「生きてるみたいだし、次行くか」

 ナイフを持ち上げ、少しだけずらして同じ様にストッと切断。
 少し傾けて切り離した部位を下半身に立てかけ、ナイフを上に戻す。

 ……綺麗に水平にずらしてるなぁ。
 スライサーで切った野菜みたいに均一な厚みの板になってるよ。

 ていうかジョージさん、薄くし過ぎじゃない?
 それ、人間から見れば一ミリも無いくらいでしょ。

「ん?」

 カトリーヌさんのお腹を薄い輪切りにした板を見て、疑問符を浮かべるジョージさん。
 何かおかしな事でも有ったのかな?


「どうかしましたか?」

「いや、切り離したら中身が崩れるかと思ってたんだが…… 内側は一体化してるらしいな」

 ジョージさんが板の端を摘まんで持ち上げる。
 ……ほんとだ、こうして見るとただの綺麗な黒い円盤だ。

 人の体の中って隙間とかほとんど無いって話だし、わずかに有っても体液で満たされてるわけだから、それらも全部まとめて一つの石になっちゃったんだろうな。


「あー、そういえば髪もある程度まとまって石化してましたね」

「そういやそうだな。まぁ一本一本全部別に固まってたら、キャシーの頭がえらい事になってたか」

「……本当にまとまってくれてて良かった」

 髪の毛が全部へし折れて丸刈りみたいになったりしたら、ごめんなさいじゃ済まない事態だよ……
 さっき折れたカトリーヌさんの翅も、体に密着させた状態で固まってれば一体化してたのかな?
 まぁそっちはもう折れたし、今更だけど。



「さて、まぁ続けていくとするか」

 さくさくとリズミカルに、少しずつ上へ上へとカトリーヌさんを輪切りにしていくジョージさん。
 ん、なんか小さい欠片が落ちた?

 なんかボールの端っこみたいな…… あぁ、うん、なるほどね。
 変な例えをするなら、南極が地球から切り離されたってとこかね。
 ……くそう。


「……ん、これは肺か」

「あー、空気が有った所は空洞になってるんですね」

 ()が入っちゃってて、石材としては減点だな。
 いやうん、それはどうでも良いか。

「もう心臓もあらかた輪切りになってるんだが、一向に死ぬ気配がねぇな……」

「ですねぇ……」

 まぁ心臓をやられたらアウトだとしたら、もっと早い段階で消えてただろうけどさ。


「白雪、悪ぃが転がって行かんように頭を持っててくれ」

「あ、はい。言うまでも無いと思いますけど」

「切らねぇよ」

 言うまでも無かった。
 とりあえずカトリーヌさんの頭のてっぺん付近に指を添えて、転がらない程度に最低限の力で押さえておく。
 ジョージさんは無駄な力を一切加えてないっぽいから、普通に転がらない様にしておけば問題は無いだろう。



心臓(あそこ)まで切ってて大丈夫だったんだから当然な気もするが、頭だけでもまだ生きてるな」

「ぴーちゃん、これ、ちゃんと生きてるんだよね?」

 カトリーヌさんの声が聞こえるぴーちゃんに確認してみると、嫌そうな顔でぴゃっとお返事してくれた。
 さぞかし愉しそうな声を上げてるんだろうな……



「マジで死なねぇのか……? って言ったそばから消えやがった」

「頭部を破壊されたら死んじゃうってとこでしょうかね?」

 薄切りにされてどんどん短くなっていっていたカトリーヌさんが、鼻の辺りに刃を入れたタイミングで消滅した。
 正直石の体とはいえ、生きてるのを知ってるモノが輪切りになっていくのはなんだか怖かったし、終ってくれて助かったよ。


「では、その様に記録しておきます」

「あ、はい。……ってなんか残ってるんですけど」

 カトリーヌさんの輪切りが有った場所に、黒い円盤が一枚だけ転がってた。

「ん? あー、それさっき俺が摘まんだやつじゃねぇのか?」

 他の所は切って放置してたけどそこだけは手に持ってたし、ジョージさんが取得したアイテム扱いにでもなってしまったんだろうか。
 まぁ残ってしまったものは仕方ない。


「ジョージさん要ります?」

「いや要らねぇよ。本人に返しておけば良いだろ」

 拾って両手で差し出してみたら断られた。

「そうですね。……ええと、これ私のじゃないんで、欲しいなら後でカトリーヌさんに頼んでくださいね?」

 そんな欲しそうな目で見られても困るよライサさん。
 元はカトリーヌさんの体だし、取得したっぽいのはジョージさんなんだから、今持ってる私には何の権限も無いと思うんだよ。

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