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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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429/679

429:戻してあげよう。

 さて、このままじゃ上に連れて行こうにも不安定だな。
 あとちょっと苦しくなってきたし。

「キャシーさん、戻すために少し高い所に行きますんで、いったん離してもらって良いですか?」

「は、はい」

 背中をぽんっと叩いて告げると、私のお腹に回していた腕を緩めて目を開き……

「ひぇっ」

「ぐえっ」

 私にしがみついたはずみで手の平から乗り出してしまっている事に気付いて、ついつい私を締めつけるキャシーさん。
 いきなりだったから変な声出ちゃったよ。


「ちょ、ちょっと苦しいです……」

「あっ、ご、ごめんなさい!」

「いえ、良いですけど…… とりあえず、そっちに戻ってください」

 抱き着かれたままぐいーっと前に進み、キャシーさんをライサさんの手の上に仰向けで寝かせてから離してもらう。
 しっかり転がってる状態からなら、咄嗟に抱き着いてはこないだろうからね。


「えーと、とりあえず立ってる時の頭くらいの高さに連れて行かなきゃなんですけど」

「は、はい。もう心の準備は出来たので、高さは大丈夫です」

「よろしければ、私が足場を上げましょうか?」

「あー、そういえばもともと手に乗ってるんだし、別に私たちが担いでいかなくて良いのか。それじゃお願いします」

 なんで自分でなんとかしようと思ってたんだろ。
 乗ってる場所を動かせる人が居るんだから、そっちに頼めば良いだけじゃないか。


「かしこまりました。白雪様は少々離れていてください」

「はーい。そうだ、動かすのは慎重に」

「へぶっ」

「……遅かった」

 手を離れて上に飛びつつ、注意点を伝えようとしたけど手遅れだった。


 ライサさんが特に意識せずにすいっと上げた手の上で、四つん這いになって備えていたキャシーさんが加速について行けずに可哀想な感じになってしまった。
 ……まぁ死なないから。セーフセーフ。

「お前なぁ…… 縮んだ奴が脆いってのは言ってあっただろうが」

「いえ、その…… ごめんなさいね、キャシー」

 呆れるジョージさんと、特に言い訳が思いつかず普通に謝るライサさん。
 たまにうっかりするよね、この人。
 私も一回、翅を吹き飛ばされた事あるし。


「うぅ、ひどいですよぅ……」

 四つん這いの状態で軽くぐちゃっと押し潰された様な形になったままのキャシーさんから、うめくような抗議が聞こえてきた。
 あれ顔や肺も原型留めてないと思うんだけど、どうやって声出してるんだろうな。
 まぁ【妖精】が関わってたら、ドロドロに溶けてても喋れるんだから今更か。

「ほとんど痛くないのが逆に怖いです……」

「あー、このままって訳にもいかないんで、とりあえず治しますね」

 崩れてるとまともに力を入れることも出来ないらしく、もぞもぞ動く事しか出来ていないキャシーさんに近付く。
 お、潰れたキャシーさんから、ふわっと良い匂いが漂ってきた。
 これは…… 柿の匂いかな?


 まぁいくら美味しそうでも、流石に噛んだり舐めたりする訳にはいかないので、気にせずに【妖精吐息】を吹きかける。

「ふあぁ…… これ、気持ち良いですねぇ……」

 むくむくと元の形に戻りつつ、言葉通りの気持ちよさそうな声を出すキャシーさん。

「みたいですね。まぁひどい目に遭った分、良い事も有って良いんじゃないですかね」

「流れ弾で加害者も良い思いしてるけどな」

 ……まぁ、乗ってるのがその手の上だから仕方ない。
 ちゃんと反省はしてたし、後で改めて何かお詫びもあるだろうし。


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