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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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417:偽装を暴こう。

 気付いたら横に置かれていたご飯をシルクにねじ込まれながら見ていると、「でもでも……」といった困り顔で言葉を探すシャルロットさん。
 ていうかシルク、そんなたくさん入らないよ。
 口の中が一杯だと噛みづらいってば。

「私が未熟なせいで、おかしな力のかけ方をしてしまったのかもしれません」

「いやー、そのくらいで簡単に折れちゃうんじゃダメな事に変わりないんじゃないかな」

「つーか軽い音を立てて真っ二つって、どんな力のかけ方をしたら普通の槍がそうなるんだ」

「むぅ……」

 言ってみたは良いけど、即座にお姉ちゃんとアヤメさんに突っ込まれる。
 うん、ガラスで作った武器じゃあるまいし、ちょっと扱いを間違えただけで壊れてたら話にならないな。
 突き出したところを横に払われるだけで壊れそうな槍なんて、普通は売らないよね。
 あ、お水ありがと。


「とても安く譲っていただけましたし、ジャンク品を渡したつもりだったのかもしれません」

「それならそれで、ちゃんと言うんじゃない?」

「む、確かに…… しかし忘れただけという事も」

「それはそれで問題だと思うけどな」

 そりゃね。
 今回の場合は訓練所で試したから良かったけど、慣らしもせずに実戦に投入してたら下手をすると命を落とす危険もあるだろうし。



「うん……? すみません、少し見せていただいても?」

「あ、はい。どうぞ」

 折れた部分を見たレティさんが何か気になったらしく、シャルロットさんから受け取って調べ始めた。
 って終わるの早いな。
 ちょっとしか見てないじゃないか。


「ええと、シャルロットさん……」

「は、はい」

 レティさんに呼ばれ、緊張気味に返事をするシャルロットさん。

「大変申し上げにくいのですが、騙された……というかハメられた確率が非常に高いかと思われます」

「な、何故でしょうか……?」

「この辺りが判りやすいのですが、よく見ると木目が奇妙に歪んでいますよね」

「む……? た、確かに」

 折れた槍の一点を指さして、シャルロットさんに見せるレティさん。
 むぅ、ここからじゃ遠くてよく見えないな。


「おそらく、一度折れたものを【錬金術】で表面だけ繋げてごまかした跡でしょう」

 あー、柔らかくしてからぐにぐにして、無理矢理ひっつけたのか。

「む、むぅ…… そう言われてみれば、何やら折れ方も外側だけ妙に見えます……」

「あー、確かに。ぺらぺらの木で作った筒を折ったらこんな感じかも?」

 横からお姉ちゃんがホットドッグを食べながら覗いて、うんうんと納得してる。
 うーん、完全にアウトっぽい。

 お、太郎はポテトが気に入ったのかな?
 細くカリッと揚げられたものを両手で持って、勢いよくカカカカッと齧り進んでる。
 あれは私じゃ硬すぎて無理だろうなぁ。



「やはり意図的に不良品を押し付けられたのでしょうか……」

 ポテトを一本くわえて、しょぼんとうなだれるシャルロットさん。
 騙されて悔しいっていうより、そういう事をする人が居る事にショックを受けてる感じかな。
 うん、素直な良い人だなぁ。

「まぁそうだろうなぁ。一応衛兵に通報しておいた方が良いんじゃないか?」

「でもこれ、もし相手が見つかっても水掛け論だよねぇ」

 まぁ確かに。
 ちゃんと壊れてるって言ったとか言われたら、お互い証拠の出しようも無いし。

 近くを通ってた人が居たとしても、無関係の人の会話を完全に覚えてるって断言できる人もそうそう居ないだろう。
 運営ならログくらいいくらでも取れるだろうけど、こんな小さな揉め事にそんな物持ち出すはずも無いし。


「同じことが起きない様に報告はしますが、私はこのままで良いのでそこは大丈夫です」

「お金、取り返さなくて良いの?」

「はい。よく見ていれば判ったものを見抜けなかったのも私の未熟ですし、授業料と思って諦めます」

 また変な所で潔いな……
 まともなご飯を買うお金にも困ってるっぽいのに。

 まぁ一番安い槍も買えないって言ってた金額だし、シャルロットさんは意地を張らずに剣を使えば普通の狩りは出来るはずだし、大丈夫なんだろう。


「それに半分になってしまったとはいえ、突きの動作を練習するのには使えますしね」

「あー、まぁ確かに今でも手槍ってくらいの長さはあるか」

 半分でもシャルロットさんと同じくらいだもんね。
 ていうか元の長さだと、長すぎて難しいんじゃない?
 いや、難しいのを使えるようにするための練習なんだけどさ。

 よし、ごちそうさまでした。



「ところでシャルロットさん、馬を何とかする目途は立った?」

 スッとアヤメさんのポテトを摘まんで口に入れるお姉ちゃん。
 あ、仕返しに二本奪われた。

「それが中々…… まず乗れる様な相手となりますと、ある程度遠出しないといけないので」

「あー、挑戦するのも結構大変なんだ」

「はい。焦る必要も無ければ焦っても仕方ないというのも解っているのですが、どうしても気は急いてしまいます」

 うん、まぁ競争とかじゃないから確かにのんびりやっても良いんだよね。
 でも早く乗りたいって言うのも、確かに解らなくは無い。


「つっても仕方ないよなぁ」

「ええ。ですので無理にでも少し落ち着いて、先に槍術を身に着けようと思ったらこのザマでして」

「ついてないなぁ……」

 力無く笑うシャルロットさんの言葉に、苦笑気味にコメントするお姉ちゃん。
 なんていうか、下手に慰めてもちょっと嫌味になりそうだもんなぁ。


 ……ん?
 なんかレティさんが真顔で考えてる。
 何か有ったのかな?

「……シャルロットさん」

「はい?」

 決心したのか、一度頷いてから声をかけるレティさん。
 何か危ない事とかかな?


「馬ではないかもしれませんが、近場で心当たりが有ると言ったらどうし」

「ぜひ!」

 ……シャルロットさん、めっちゃ食いついた。
 思いっきりレティさんの方に身を乗り出してるよ。
 あ、レティさんが落ち着いてくださいとでも言いたげに、シャルロットさんの口にポテトねじ込んだ。

「あの、危険かもしれませんよ?」

「構いません」

「取り返しがつかない事になるかも……」

「どこへ行けば良いのですか?」

 ぐいぐいとレティさんに寄っていくシャルロットさん。
 ……ていうかその心当たりって、口ぶりからしてほぼ確実に研究所(ジェイさん)だよね。

 もし外の話なら危ないのって普通の事なんだから、そこまで念を押さないだろうし。
 ていうか敵が強かったとしても死んじゃうくらいで、取り返しがつかない事にはなりそうにないし。
 あるとするなら、一点物の大事な装備とかアイテムをロストするくらい?

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