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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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391:撫でてあげよう。

 むぅ、そんなまだかなぁって感じの期待に満ちた目で見られても……
 なんていうか、大人しい大型犬みたいなお姉さんだな。
 今のサイズ差だと大型どころの話じゃないけど。

 しかしこの人、なんで撫でてもらおうと思ったんだろう。
 まさか「お散歩してきたよ! ほめてほめてー!」とかじゃないだろうし。
 ……いや、でもそれくらいしか理由が無いか……?
 この人、今まで見た事すらなかったしなぁ。


「雪ちゃん、撫でてあげないの?」

「いや、正直戸惑いを隠せないでいるんだけど……」

「まぁうん、それはそうだよね……」

 多分、この状況をなんの疑問もなく受け入れられる人は、かなり少ないと思うんだ。

「くぅん……」

「えー……」

 少し悲し気な顔になって、しっぽをへにゃりと下ろすお姉さん。
 あの、せめて人っぽい言葉で落ち込んでくれませんかね?



「んもー、解りましたよ……」

 私が観念してため息とともに呟くと、ぱぁっと笑顔になって頭を下げるお姉さん。
 おお、しっぽが再起動した。

「雪ちゃんは優しいからね!」

「いや、変化を付けてくるのはどうでも良いんだけど、この状況でそれは恩着せがましく聞こえない?」

「あ、いやそういうのじゃないです、はい」

 いつもの台詞を改変してくるお姉ちゃんに、冷静にツッコんでおく。
 感謝しろよーみたいな感じになっちゃうじゃないの。


「じっとしててくださいねー」

 隠密さんだし解ってはいるだろうけど、一応お願いしながら頭に近付いて行く。
 む、なんかこのお姉さん、良い匂いするな……
 見た目の雰囲気と同じで、なんかすごく落ち着く感じだ。

 両手を頭にぽふりとおいて、髪をあまり乱さない様にすーっと撫でてみる。
 おー、人間サイズにしてはかなり柔らかい髪だなぁ。

 ……おぉぅ、しっぽが加速した。
 それでも頭にその揺れが伝わってこないのは凄いな。
 隠密さん達が持つ身体制御力の賜物か。


 さわさわと数回撫でてから、さっきから気になっていた犬耳に手を伸ばす。
 私から見て左側の耳の付け根を両手でもふっと触ると、お姉さんの手に力が入ってぎゅっと握られるのが見えた。
 あ、やっぱこういうとこってNPCの人も敏感なんだな。
 あんまり触らない方が良いかな?

 ……と思って真ん中に戻ったら、犬耳がぴくっぴくっと動かされた。
 これはそこを触ってほしいって事なんだろうか。


 試しに反対側の耳の付け根をもふもふっと軽く指でかきまわしてみると、しっぽが凄い勢いでぶんぶん振り回された。
 やっぱり触ってって事だったか。
 犬耳の柔らかな毛を整えるように付け根から先に向けてこりこりと掻いてあげると、「んぅっ……ふぅー……」という声と共に息が吐き出されていく。

 私としては結構力を込めてるんだけど、お姉さんからすればちまちま刺激されて気持ち良いくらいの感触なのかな。
 多分、全力でゴリゴリやるくらいが丁度良いんだろうなぁ。


 せっかくなのでお耳の毛づくろいをしてあげようかな。
 魔力で歯の短い櫛を作ってスイスイと犬耳の表面を撫でていき、小さすぎて少し乱れ気味だった体毛を整えていく。

「雪ちゃん、相変わらず妙なサービス精神あるよね」

「いやほら、ものはついでだし……」

 ポチの背中に乗って寝転がっていたお姉ちゃんにツッコまれた。
 うん、減るもんじゃないし、お姉さんも嬉しそうだから良いのだ。



「よし、こんなもんかな」

 両方の耳を綺麗に整えて櫛を消し、頭の真ん中をぽふっと押さえて少し離れる。
 顔を上げたお姉さんがふわっと微笑み、胴体を動かさないままぐいーっと上を向いた。
 ……今度はなんだ?

「多分、首を撫でてほしいんじゃないかな?」

「あー……」

 まぁもうこの際だから良いけどさ。
 地面すれすれまで下りてから首元に近付いて、ぺたりと抱き着き表面に両手をわさわさと滑らせる。
 普通に触ってるだけだけど、そんなに気持ち良いもんなのかね?
 まぁここからじゃ見えないけど、ブンブンとしっぽが風を切る音が聞こえるから良いんだろう。


 ……というか、少なくとも頭を触られたのはとても気持ち良かったらしい。
 よく見たら伏せてた時に口があった辺りに、小さな水溜まりが出来てるもん……

 あれ、歩いて近づいてうっかり踏んでたら、とりもちみたいに捕まってたな。
 私、人間のよだれの粘着力に負けるし。

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