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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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36:立ち直らせよう。

 訓練場を後にして通りのベンチに座って話し合う。

「さて、これからどうする?明日は日曜だし、私は一旦ログアウトしてもう一日遊ぶけど」

「私もそうしようかと思います」

「うん、私もだね。雪ちゃんはどうするの?」

「やろうと思ってるよ。まだやりかけの事もあるしね」

 全員続行するみたいだな。まぁ私だけは相変わらず別行動だけど。

「うん、それじゃまた同じくらいの時間に集まろう」

「では、また後ほど」




 ログアウトしてギアを外す。
 前回の反省を踏まえて感覚の確認から始めよう。落ちるの結構痛いしもう夜だしね。

 ゆっくりと足を降ろしてベッドに腰掛け、手を伸ばして近くの物に触れたり引っ込めたり。
 うん、大丈夫かな。しかし今度はなんか別の変な感じがするなぁ。何だろ?

 そうか、魔力か。魔力が巡ってない分、体の中の感覚が何か足りないんだ。
 いやいや待て待て。足りないんじゃない。これが本来の私の体の感覚なんだよ。
 現実で魔力とか言い出したらただの変な人扱いだよ。


「雪ちゃん?入っていいかな?」

 控えめなノックと共に聞こえた問いかけに許可を出す。

「大丈夫?手、貸そうか?」

「大丈夫大丈夫、ちゃんと一人で歩けるよ。二回目だしね」

「そう? それじゃご飯温めてくるね。今日はカレーだよ」

「もしかして明日の手間を減らそうと大鍋で作ってない?」

「あ、バレた」

「やっぱりか。まぁ好きだから良いんだけど」


 ご飯を食べ、諸々済ませてちょっと早めにログイン。丁度日が昇った位かな?
 とりあえず珠ちゃんを召喚して、モフモフに埋もれて皆を待つ。
 あー、役場に顔を出しづらいわー。まぁ面倒事はさっさと済ませるに限るよね。解散したらすぐ行こう。

 【魔力感知】で体内の魔力を感じつつ【魔力操作】で循環させるという地味な鍛錬をしながら待っていたら皆がログインしてきたので、ご飯を食べに屋台へ向かう。
 さっき現実で食べたばかりだから変な感じだけど、空腹度のシステムがある以上は仕方がない。
 いや私は関係無いんだけどね。一応ログアウトで休んだらMP回復してるし。


 今日はサンドイッチにした。なんか、どこの屋台にも台が増設されてる……
 しかもなんか装飾されてたりして昨日より手が込んでる。そのうち神棚みたいになったりしないだろうな?

 ここの屋台は細く切ったレタスとハムに、小さく切ったパンをくれた。
 だから皆、私を見てないで自分のご飯を食べなさい。見てても面白い事は何もないよ。

 皆食べ終わったみたいなので、おもむろにボックスから銅貨を二枚取り出して一枚をお皿に置いて飛び立った。
 もう一枚を持ったまま昨日の焼きそば屋台へ行き、台の上に置いて何か言われる前に手を振って離れる。
 昨日忘れてたよ。っていうか別に重たい思いしなくても現地で出せばよかった……


「ははっ。サービスさせて上げりゃいいのに、いけずだねぇ」

 北通りまで出てベンチに座ったところでアヤメさんがからかうように言ってくる。

「なんか私だけずるいって感じがするしなぁ。それにあんまり甘えるのもね」

「雪ちゃんは良い子だからね!」

 なんなんだお姉ちゃん。決め台詞みたいなノリで言うな。


「さて、そんじゃ行きますかね」

「あ、白雪さん。あの服、着るのなら帯を結びましょうか?」

 あ、お願いしようかな。自分で上手く結べないから一度脱ぐとそのままになっちゃうんだよなぁ。
 大金を払って買った意味が無いじゃないか。

 ボックスから服を取り出し、被ってから帯を渡して結んでもらった。

「ありがとー」

「どういたしまして」

 聞こえてないのに的確なタイミングで返事をするレティさん。流石だ。


「行ってらっしゃーい」

 手を振って三人を見送る。さて、役場に顔を出すか。
 流石にライサさんも落ち着いてるだろうから問題は無いと思う。

 役場の中に入ってライサさんの様子を……って暗っ!? 凄い落ち込んでるっぽい。
 隣のお姉さんが私を見て手を振り、ライサさんを指さした後両手を合わせる。「これ何とかしてください!」って事だろうか。

 私のせいだろうしなぁ。行くしかないか…… あ、珠ちゃんは皆に愛されてきなさい。


「大丈夫だって言ったじゃないですかー。ちゃんと仕事しないとダメですよ」

 カウンターに行って声をかける。
 私を見てハッとした。気付いてなかったのか? っておわぁっ!?

 凄い勢いで頭を下げるんじゃないよ! 危うく頭突きで死ぬところだったよ!
 言ったら更にループが伸びそうだから言わないけどさ!

「昨日は申し訳ありませんでしたっ!!」

「だから大丈夫ですってば。大体死んだのだって、私が何も考えずに飛んで結界にぶつかっただけなんですから」

「ですが、私がドアを閉めなければ」

「はいはい、死んだ私が良いって言ってるんだからこの話はおしまいですよー」

 パンパンと手を叩いて強引に打ち切る。
 そうでもしないと何か罰を与えられるまで続きそうだしなぁ。
 明らかに納得がいってない顔だけど仕方ない。諦めてくれたまえ。


 ずっと引きずってたのか疲れた顔をしているので【妖精吐息】を吹きかけておく。
 うん、少し血色が良くなったな。立ち直ってちゃんと仕事しなさい。

 さて、どうしよっかな。草取りの続きをしてもいいけど、先に中庭で色々練習しようか。
 あ、その前に図書室で【刀術】とかの教本が無いか探してみよう。
 ちょっとずつ練習してればそのうちスキルが取れるかもしれないし。
 多分魔法と違って、すぐには取れないだろうから気長にいこう。


 さて、やってきたは良いけどやっぱりドアは閉まってる。
 でも今度は【魔力武具】があるのだ。
 ハンマーを作ってドアの真ん中を叩く。 ……あれ?全然音が鳴らない?

 あぁ、そりゃそうだよね。重量が殆ど無いもんね。
 今度は両手の間隔を広めに持って、自分の力を伝える様にぶつける。
 うん、なんとか音はなった。別にこれ、ただの棒状でいいな。
 あ、でもぶつける所の面積は大きめの方がいいか。ドアに傷をつけたくはないし。

「はーい。あ、やっぱり昨日の妖精さんだ。いらっしゃーい」

 ハンマーを吸って、頭を下げてから入っていく。


「読みたい本が見つかったら呼んでねー」

 教本コーナーはこっちだったな。
 えーっと、刀術っぽい本…… いくつかあるな。流派とかかな? うーむ、よく解らん。
 っていうかよく考えたらどの流派でも、飛んでる状態で斬りつけるやり方なんて書いてないわな。来る前に気づけよ私。
 普通に素振りとか丸太で練習すればいいか。スキルは欲しいけど実際の刀術を覚えたい訳じゃないしね。
 あ、でもきちんとした動きをする方が習得し易いのかな? まぁいいや。


 そのまま帰るのも何か悔しいので別の本を探そう。
 前来たとき、【錬金術】とか【調薬】とかがあったっけかな。

 あぁ、あったあった。「初級錬金術」。「たのしいあんさつ」の近くにあったから場所を覚えてた。
 お姉さんを呼んでくるとしようかな。


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