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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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342/679

342:復活しよう。

 もふっと頭を埋めたお姉ちゃんの上に、両方の羽を被せて全身を覆い隠すぴーちゃん。
 うーむ、かなりぬくそう。

「お姉ちゃん、そのまま寝ないでね?」

「うー、いっそそうしちゃいたいくらい……」

「ぴぁぁ……」

 胸元で喋るから、ぴーちゃんがくすぐったそうじゃないか。
 いや、声かけたの私だけどさ。


「も、もうちょっと待ってね」

 お姉ちゃんがぴーちゃんの羽の内側でもぞもぞ動いて、くぐもった声を送ってくる。

「無理しない方が良くない?」

「一応、頭では大丈夫だって解ってるから。さっきみたいに慌てなきゃ問題無いと思う」

「ラキが怒ってたの、よく解ったでしょ?」

 さっき直接言ってたけど、改めて聞いておく。

「うん…… あれは襲ったって言われても仕方ないね」

 でっかいっていうのは、それだけで強くて怖いんだからね。
 あ、ラキが腕を組んで「解れば良いんだ」って顔で頷いてる。
 これでもう威嚇されなくて済むかな?



「よ、よし。ぴーちゃん、ちょっと開けてくれる?」

「ぴぅ」

 お姉ちゃんの言葉に従ってぴーちゃんが羽の囲いを少し緩め、顔を出せるように前に隙間を空ける。
 お、羽の上側を持ってそろーっと顔出してきた。

「ひぃ、やっぱでっかい……」

 ひゅっと引っ込んで、またそろそろ出てくる。
 ……なんか見てる分には面白いな。
 引っ越しとか買われたりで環境が変わった動物が、移動用の箱の入り口から周囲の様子をうかがってるみたいだ。
 本人的には笑い事じゃない辺りも同じか。


「あんまり無理するなよ? 別に急がなくて良いからさ」

「うむ」

「だ、大丈夫大丈夫。ぴーちゃん、ありがとね」

「ぴゃっ」

 羽を開けてもらって、ぴーちゃんから降りるお姉ちゃん。
 あ、そういえば土足だったな。
 太ももをぱふぱふ払ってあげてる。


「よーし、ミヤコちゃん復活!」

「ほー。それじゃ、もう一回やってみても良いか?」

「……やったらレティちゃんに同じ事してもらうからね?」

「うん解った、絶対にやんない」

 ……うん、まぁそうなるな。
 でもそれ、そもそも縮めるのにアヤメさんの協力が必要なんだけどね。
 いや、無理矢理できなくも無いけど、それは流石に怒るだろうし。


「しっかしまぁ縮んだな。親指と同じくらいか?」

「そんな太くないもん!」

「わかったわかった、小指な、小指」

 お姉ちゃんが変な所に文句を言う。
 まぁ確かにそうかもしれないけど、別に良いだろうに。


「ちょっと隣に指立てて、比べてみても良いか?」

「隣にドンッて突くのは止めてね?」

「ん、ダメか?」

「アヤメちゃん、自分の目の前に自分と同じくらいの柱が降ってきたらどう思う?」

「あー、うん。『あぶなっ!?』ってなるな。やめとくか」

 実際、大体同じって判ってるんだからやる意味ないしね。



「そういやミヤコ、今更だけどさ。白雪が色々やらかすのは離れて見てるスタンスだったのに、なんで急に立候補したんだ?」

「ん? あー、雪ちゃんのお友達となればぜひ一番乗りしないとって思って。最初のフレンドはアヤメちゃんに先越されちゃったしさ」

「いや、そんな理由かよ……」

「ていうかお姉ちゃん、実の姉から友達って逆に離れて行ってない?」

「はっ、しまった!」

 いや、まぁ姉妹じゃなくなるわけではないけどさ。
 お姉ちゃんもそこに気付いて「まぁいいか」って顔になった。


「よーし、それじゃ色々調べよっか」

「協力してくれるとありがたいけど、良いの? いろいろ変な事になるかもしれないのに」

「ほら、もうこの際だし。私も気にはなるしね。……お手柔らかにお願いしたいけど」

「まぁ止めてって言ってくれれば止めるし、大丈夫かな?」

「うん。それじゃ何からやる?」

「んー…… 耐久試験?」

「いきなり変なの来た! ……まぁ確かに、さっきの事も有るし気にはなるか」

 うん、どこまで大丈夫なのかは大事だと思うんだ。


「じゃ、じゃあまずは引っ張ってみる?」

 人差し指だけを立てた手をおずおずと差し出してきた。

「あ、うん。痛かったら手を上げてくださいねー」

「それ止めてくれない奴じゃない?」

 ツッコミをスルーして右手でお姉ちゃんの手を覆うように掴んで根元を固定し、左手で人差し指の先を摘まむ。


「それじゃ行くよー」

「うん、やっちゃって。……ゆっくりね?」

 うん、そりゃまぁ、一気に引っ張って千切れたりしたら洒落にならないからね。
 ……おー、指の形が崩れる一瞬だけ抵抗を感じたけど、伸び始めたらにゅーっと柔らかく伸びていく……

「うぅ、変な感じだなぁ。こんなことになってるのに、ちょっと強く引っ張られたくらいの感触しかなかった……」

「うわー、これまだ伸びるの……?」

 もう人差し指がお姉ちゃんの身長より長くなってるぞ……
 糸みたいに細くなっちゃってて、いつ切れるかハラハラするよ。


「あっ、ちょっ、ストップストップ! なんかちょっとチクチクする!」

「あ、うん。……アヤメさん、これ普段のお姉ちゃんの指の長さくらいじゃない?」

「あー、そうだな。見づらいけど大体そのくらいだろ」

「お姉ちゃん、小指も試してみて良い?」

「う、うん。ちょっと怖いけど良いよ」

 伸びきった人差し指をテーブルに置くと、ちょっとずつスルスルと戻って行ってる。
 あー、やっぱり良い匂いしてるなぁ。

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